おそ松さん関連雑誌まとめ(1)藤田監督&松原シリーズ構成編その1

おそ松さん関係の雑誌の整理を延々としているのですが全然終わらず、雑誌&ムックの中から、ひとまず藤田監督&シリーズ構成の松原さんの、「特に作品自体に関係ありそうなところ」を抜粋しています。一冊松原秀×櫻井孝宏インタビューが抜けていることに今気づいたけどどこにあるのかわからないので見つけたらあとで入れておきます。それ以外に漏れがあったら申し訳ない、たぶん買い忘れです。

引用が多すぎてどうなんという量になったのでわたしからの雑感も挟んでますがどうでもいいことしか書いてないのでそこはべつに読まなくていい。薄い色になってるところがわたしの雑感です。

最初は藤田監督だけでとりあえず分けようかなと思ってたんですが、藤田監督の単独インタビューって3回しかなくて、松原さんとセット(というか)の回が2回、+キャラデザの浅野さんが1回、ついでに松原さんは単独が5回、という……もういい! 藤田さんと松原さんでまとめればいいんだろ! と思ったのでこのようになりました。

内容としては、赤塚作品に対して恥ずかしくないような作品作りをすることに全力投球したこと、ここまでのヒット特に女性人気に関しては完全に想定外だったこと、スケジュールがかなり厳しい状況だったこと、「なんでもあり」の現場だったこと、あたりが共通の話題かな、という感じです。女性人気を想定してなかったのも意外だったけどスケジュールに関してもかなり意外な印象を受けました。赤塚作品への理解やキャラクターの生々しいキャラメイクあたりの綿密な準備をしてそうに見えた部分は、おおむね「スタッフが本当に得意なことだけに注力した」ことと「妥協のない打ち合わせ」によって生み出されていたんだなあ……。

2015/9/10 アニメージュ 10月号

特集「大人になっても6つ子」A4版1/3インタビュー

※アニメージュ5月号ふろくMemories of OSOMATSUSANにも収録

新番組紹介の2ページのうちの1/3の短いインタビューですが、藤田監督がゴリゴリの原作読者で、かつ原作から6つ子について広げていった話がしっかり語られています。かなり硬派な印象でコンパクトにまとまっています。

「自分の世代としては珍しく原作派です。小学校低学年の頃に、親戚の兄ちゃんから『おそ松くん』と『天才バカボン』を全巻譲り受けて、ずっと読んでいたせいで人生がおかしくなったというか(笑)。だから、今回のお話をいただいたときも運命というか、縁というか、やらざるを得んな、という感じでした」

「実は、原作をすごーくしっかり読むと、ちゃんと6人それぞれに個性が微妙にあるんですよ。それを拡大解釈しながら、できるだけ描きわけができるようにこだわってはいます」

 

2015/11/10 アニメージュ 12月号

特集「ふみこめっ! 6つ子の素顔!?」過激な6つ子の誕生秘話![シリーズ構成]松原秀 A4版1/2インタビュー

※アニメージュ5月号ふろくMemories of OSOMATSUSANにも収録

4ページの特集。松原さんと藤田さんの出会いや、食事中に「今度、『おそ松くん』をやることになるので、助けてもらうかも」と誘われた経緯が言及されています。シリーズ構成として加わった時点で6つ子ひとりひとりに個性をつけることは決まっていたとのこと。藤田監督のインタビューも参照した限り、6つ子に個性をつける発想自体は藤田監督によるもの、「6人の言動や細かいクセを固めていくというのは、僕に与えられた最初の課題でした」。

「フジオプロの方から「思いっきりやってください」と言われたので。赤塚先生の作品なので、とにかくおもしろいことをやるだけです」

「(藤田監督は)NGがない監督さんだなと思います。出したアイデアは絶対に否定から入らず、活かす方向で進めてくださるので、ライターとしてはものすごくノります。あと、お客さんのことしか考えてないです。究極のサービス精神おじさん(笑)。藤田さんが作ってくださる前向きな雰囲気が、『おそ松さん』の脚本の最大の武器な気がしています」

 

2015/12/28 Spoon.2Di 09

シリーズ構成 松原秀interview B4版3ページ

おそ松さん関係でははじめてのロングインタビューじゃないかな? こういうときにまず脚本が呼ばれるのかなり珍しいような気がするんですが藤田監督はもしかしたらあんまりインタビューがお得意ではないのかなという気もする。

スプーンは紙面が広いのでかなり長いインタビューです。深夜にダラダラしてるときに観て、何が起こるかわからなくてドキドキしてほしい、という発言がありますが、松原秀、後述のとおり人の心がない(笑)あと先のアニメージュでも言及されてましたが藤田監督に対する信頼が語られています。

「たぶん、普通のシリーズ構成の方って1クール12話の中で″3話まででこれをやって、4話5話でこれをやって……″というふうに決めていかれると思うんですけど、藤田陽一監督とお話して″『おそ松さん』ではそれをなくそう″と決めたんですね。もう何でもアリで、縛りはナシにしようと。なので、シリーズ構成を担当しているのですが、構成の仕事をしたという感じはそんなにないんですよ。構成を決めないことが構成でした」

「毎回何が出てくるかわからないので、テレビの前でドキドキしていただけたらいいなという想いがあります。(略)夜中だし、やっぱりみんなカチッとして観るわけではなく、ソファーでだらっとしていたり、コタツでミカンを食べながら観ると思うんですよね。そこをベースにした感覚は共有していると思います」

「よく言っているのは観ている人を”安心させたくない″ということで(笑)」

「(藤田監督は)究極にお客さん目線な方です。作り方がものすごく誠実で、お客さんを絶対に舐めない」

「本当にNGがない何でもアリな現場だなと思います」「何をやってもいいということは、何なら宇宙に行ってもいいといいことで。それはメリットだと思うのですが、たまにハードルにもなって苦しいです」

「″キャラクターを守りすぎない″」「もちろん、キャラクターたちがやりそうにもないことは描かないですけど。原作では、せっかく積み上げてきたものを平気で破壊することがけっこうあるんですよ。正直に言うと、キャラクターにいつもと違うことをさせるのって、とても怖いんですよね。それで嫌がられたらどうしようと思ったりもしますが、でもまあ、原作は『おそ松くん』なので」

 

2016/2/10 アニメージュ 2月号 おそ松さん特集号

特集「ナンセンスの天国」

※アニメージュ5月号ふろくMemories of OSOMATSUSANにも収録

おどろきのインタビュー! その2 監督 藤田陽一「とぼけた顔して赤塚スピリッツ!」A4版4ページ

藤田監督おそ松さん関係のロングインタビューとしては初。放映中に読んだときはかなり腹芸というかわりと適当なこと言うて躱してないかという印象だったのですが(笑)、もちろん放映中で言えないことも多かったんだろうけど終わったあとのインタビューと比較すると赤塚作品というビッグネームを背負って緊張なさっていた&単にまだ忙しい時期だったのではないかという気もします。

「(ヒットしていることに関しては)スタジオのなかで仕事ばっかりしてると、現実感が全然ない」

「シリーズ構成の松原くんも毎回アフレコに来ていて、キャストさんの演技を脚本にフィードバックしていく作業もうまくいってる感じがします」

「最初は(個性の出し方を)口で説明してもなかなか伝わらなかったけど(略)今はもう、(修正を)細かく入れなっくてもけっこううまくやってくれる感じ」

「こんなに脚本に時間をかけてる作品、ほかにねえよなあってくらい、脚本には時間をかけてる」

「『おそ松の憂鬱』は松原くんが最初にプロットあげてきてくれたのかな。『カラ松事変』も、松原くんがこういう話をしたいということで、ざっとプロットをあげてきたところで、『カラ松の話だったら、こうじゃないか』って、みんなでネタを叩いていった感じですね」

「赤塚さんって、『何がおもしろいんだろう?』って何周も考えた末に、『おもしろい/おもしろくない』じゃなくて、ルールを壊したり、普通じゃないことをすること自体が目的化していたりするじゃないですか。『笑える』っていうより、もう『ズレてる』『狂ってる』という領域に足を踏み入れているというか」「『とりあえず壊してみよう』ってことだけが、どんどん目的化していったようなところがあると思うので」「そういう世界を、せっかくのチャンスなので『おそ松さん』でも垣間見せることができれば、と」「自分も、小学校低学年頃に赤塚さんのマンガを読んでたんですけど、変な気持ちにしかなんないんですよ。(略)やっぱり、それが、『常識を壊していく行為』を目の当たりにしている感覚なのかなって」

「ギャグを撮るんじゃなくて、シチュエーションを撮りたい。おかしなことが起こっている空間の、空気そのものを撮っていきたい」

「オレ自身が本当にモテたいですね。そのためにも、これからも頑張って作ろうと思います」

 

2016/2/10 PASH! 2016年3月号 おそ松さん特集号

監督藤田陽一&シリーズ構成松原秀「伝説はここから生まれた!」 A4版1ページインタビュー

一ページにふたり分と短いですが、「この段階で伝えておきたいことはひととおり」みたいな内容だなと思います。「お客さんを驚かせたい」「喜ばせたい」というメッセージはインタビューで繰り返し出てきてますね。

松原「当て書きとまではいきませんが、映像で動いて、キャストさんたちの演技を受けて徐々に出来上がっていった部分もあります」

藤田「作品を作ることって、結局『コミュニケーション』だと思うんです。常にお客さんを意識しているだけですね」

松原「藤田監督とネタや構成を打ち合わせているときに考えるのは、『こうすればお客さんが驚くんじゃないか』『喜ぶんじゃないか』ということ。お客さんと会話したいんです」

藤田「作品作りもサービス業だと思うので。かといって当然、媚びるわけでもなく。純粋にみんなが気軽に楽しんでくれればという思いで作っています。だから女性人気は想定外でした。かといってもちろん嫌われるのはイヤですから、そこはデリカシーを持ってやっているつもりですけど(笑)」

 

2016/2/27 TV Bros. 平成28年2月27日号

シリーズ構成・脚本 松原秀インタビュー A4版2ページインタビュー

インタビュアーさんがかなり攻めたことを聞いていていつもと違う雰囲気があってとても面白かった。最後、「続編があるとしたら」と振られた松原さんが突然テンションが上がって、というかヤケになって「全然まったく問題ないです! あと8000パターンありますから!」とか言っているところで落としているのが本当に手馴れたインタビューだなという印象(笑)

『「個性をつける」というのは、いただいた課題みたいなものだったので、その次に考えたのは『関係性』でした。(略)僕はもともとコント畑からデビューしたんですけど、アンジャッシュさんや東京03さんのように、しっとり始まって関係性や展開で見せるものが好きだったんですね。それで『おそ松さん』でも関係性を意識しました」

「(インタビュアー:表現の幅として、『このへんまではやっていい』というのは、さじ加減を見ながら幅を広げていった感じですか? それとも、後先考えずに……。)いや、逆かもしれないです、僕と藤田さんで『面白いですねコレ』『みんなびっくりするんじゃない?』とか言いながら作るんですけど、原作の『おそ松くん』とか赤塚不二夫先生のラインにちゃんと到達してるかな……と心配になります。『自分たちは面白いと思ってるけど、赤塚先生のレベルからすると、ぬるいんじゃないか?」とか」

「『これで大丈夫か?』『パワーは足りてるか?』みたいなこと、本当に毎回思ってるんですよ。このタイトルはどうしても刺激の強い系の話が出やすいので、そうすると自分たちが作った過去の話が首を絞めてくるんですよ。『あっ、前回これやったしな……』みたいな」

「キリがないんですよね。あっという間に行き詰まって、ウケないゾーンに入っていく可能性もあるわけだし。なので、間でリセットするようなことはやっていますね。でも、『おそ松さん』はそれが効くタイトルでもあるんですよね。もうなんでもありなのが一番のメリットだから、尺が長くてもいいし、ものすごく短くてもいいし、今までとまったく別の話をやってもいいし。なので、あんまり一方向だけにグーンと上がらないように、一回ちょっと散らすというのかな、『こんなんもあるよ』みたいなことをやっておいて、その前のことをみなさんが忘れかけた頃に、またそれをやる……というようなパズルは多少意識しています」

 

2016/3/5 MdN 2016年4月号「[特集]おそ松さん 赤塚不二夫のDNAを継ぐものたち」

シリーズ構成編 松原秀 A4版2ページインタビュー

二次創作というか、女性人気、関係性萌え、というところに対する認識のズレと、そういうところになぜリーチしたかについての松原さんの自己分析の部分が面白い。あとほかのインタビューでも出てますが温度感のコントロールというかいろいろな雰囲気のネタをやることで視聴者を飽きさせない話も出ています。

「藤田さんに以前教えてもらったのは、表情や間の取り方で笑わせるのは結構難しいよと。リアルに比べて、どうしても情報量が少なくなるんです。(略)感情の「おもしろ」の時は、脚本を丁寧に積んでくださいと言われました」

「『恋する十四松』で言えば、タイトル通り、十四松が恋をしたっていうことが大切で、そのほかの部分はメインの話じゃない」「わからなくてもよいかな、と思っていて」「(「恋する十四松」には)裏設定のようなものがありますが、それはお話を作る上で必要だから作っただけなので、全部出すのは違うなと」

「全部ホームランを狙うと、きりがないんですね。それでは何にもやることがなくなってくるし、最後にはなにもウケなくなってくる。よくシナリオ会議で、『温度を下げましょう』と言うんです。一回、ハードルを下げるというか、熱を冷ましたりリセットしたりしてみる。それで、見る側が置いてきぼりを食らうような回ができたりしてもいい。これはやっぱり、どこかバラエティ番組の感覚に近いのかもしれないですね」

「(二次創作的な感覚については)まったくしてないです。(略)藤田さんと僕がそんなの作ったらクソ寒いと思いますよ」「僕には『関係性おもしろ』の地はあるんですよ、コントや漫才を作る時に。普段仲良くさせていただいてるアンジャッシュさんや東京03さんのコントは、人の生々しい内面が出てくるやりとりが多いですよね。僕はそれを『関係性おもしろ』としてコント的な要素として面白がってるんですけど、それがアニメの脚本になってこのキャラに載ると、関係性に萌える人たちに刺さるものになるのかなと」

 

2016/3/9 TV Bros. 特別編集 カルチャーブロス vol.2 「今、語りたいラジオの話」

松原秀(シリーズ構成・脚本)「『おそ松さん』の裏側に潜む「コント」と「深夜ラジオ」」A5版6ページインタビュー

雑誌の特集に合わせて、深夜ラジオのハガキ職人だった話、高校を留年して卒業後21歳でNSCに入るまで「(バイトはしてたけど)ニートみたいなもん」だったこと、芸人としての目標は挫折して構成作家に、「エンタの神様」で構成作家デビューという経歴が語られる。松原秀という「人物」についていろいろな知見があってよかったです。あとこう、なんというか「おそ松さんらしい」経歴だな。トド松によく似ていると言われるそう。「よく「心がない」みたいなことは言われます。そんなことないのになあ(笑)」

「(赤塚作品について仕事をもらってから勉強しても)たかがしれているじゃないですか」「結局、小手先で対応することになって、「求めていたのと違う。お前を起用した理由はそこじゃないんだけど」って思われる気がしたんで、それなら自分が身に着けた筋肉(ネタハガキやコントを指す)を思いっきり発揮しようと。アニメのスペシャリストが本当に凄いんです。だから、僕がやらかしてもどうにでもなるかなって(笑)。皆さんに助けてもらえるんで、自分の強いところを出して、アニメっぽくない違和感が出ればいいなと。で、悪い違和感は皆さんにフォローしてもらう。そういうところに落ち着きました。やっぱりカッコつけないでおこうって。できないものはできないですから(笑)」

 

2016/3/19 CUT 4月号 No.367 「『おそ松さん』2号連続特集第1弾! 第2表紙&描き下ろしイラスト

「超絶大好き!『おそ松さん』放送終了直前! 6つ子キャスト緊急アンケート 松原秀(シリーズ構成)×富永禎彦(プロデューサー)に訊く『おそ松さん』誕生物語」 A4版2ページインタビュー

※富永Pの発言に関してはまた別にまとめます。今回は松原さんの分のみ。

このへんのインタビューになってくると色々スタッフもどういう姿勢で作っていたのかという言及がけっこう出てきている感じがする。「どうしようもない彼らを好きになるどうしようもない人がこんなにいる世界は素敵な世界」、おそ松さんという作品の魅力の真髄という感じがします。

「僕が呼んでもらってチームに入れてもらった段階では、6つ子が大人になっているというのと、全員ニートで童貞だっていうのは決まってて。でもキャラはついてなかったんですね。なので最初に与えられた課題はキャラクターづくりでした。監督がよく言うんですけど『そこだけ唯一、隙があった』と。(略)6つ子は個々のキャラクターでいうと無色だったので『ここは掘れる』と。でも、それが決まるまでは――富永さんには初めて言うかもしれないですけど『どこで勝つんだ』と思ってましたね(笑)」

「『森のおんがくだん』『銀魂』の2タイトルでこれまで藤田さんとお仕事させてもらった時に共有できていたことがあって。今も富永さんと藤田さんと僕とでよく飲みにいくんですけど、話していると子ども時代とか若い頃に共通点があったり。『部活の時の理不尽な上下関係、あったよね』とか。モテなかった感じとか(笑)。笑うところも、もともと似てたんだと思いますね」

「なんかアニメのなかでも3列目くらいに控えていて、2列目の最前列まで上がりたいなと。だから精一杯、ふざけようっていう。本当に『ちょっと面白好きな人が観てくれれば』ぐらいの感じでした。爆弾落としてやろうとか、事件起こしてやろうとか、まったくないですね」

「なんで女の子に人気が出たんだろう。全然わからないですけどね(笑)」

「これが話題になって数字が残ったと言われた時に一番最初に思ったのは『本当に素敵な世の中だな』ということでした。(略)偉そうな言い方ですけど、これに受け皿があるって素敵じゃないですか」「彼らはどうしようもないですけど、彼らのことを好きになる人もどうしようもないはずなんですよ(笑)」

 

2016/3/23 an・an 2016年3月23日号「幸運の女神の前髪は、一瞬でつかめ! あなたにも必ず訪れる、運命の出会い」

「シリーズ構成/脚本 松原秀インタビュー」A4版1ページインタビュー

内容としてはほかのインタビューと被ってますが、まあなにしろan・anですからね! なんで!? とファンだって言っていたよ!

「僕はもともとお笑い番組の脚本などを書いていたんですが、登場人物に役割をつけてくという意味では、コント台本の登場人物を考えるのと似てますね」

「12話のアニメを作る場合、普通は最初に12話分どんな話をやるか、おおよそ決めるんです。でもこの作品は、最初に監督が『縛りなし、なんでもあり。気楽に作ろう、くだらなくていいんだ。だって赤塚先生の作品なんだから』って言ってくれた。だから毎回、『次何やる?』ってゼロから考えて、好きなことができる。これってかなり特殊な作り方だし、すごく楽しいです」

「冷静に見ると、ニートだし童貞だし正直全然モテ要素ないキャラ。しかも作ってる僕や浅野さん、藤田監督、全員おじさんで、かわいいキャラを作る引き出しはないはずなんですが…。でも、浅野さんの描く絵は本当にかわいい。だからこそ、クズなエピソードとか下ネタとか、そういうものをぶっこめるな、とは思いましたね。いい意味で、そのかわいさを利用させてもらおうかな、と」

 

2016/5/15 『TVアニメ「おそ松さん」ファンブック われら松野家6兄弟!

製作陣ぶっちゃけ鼎談 監督藤田陽一×シリーズ構成・脚本松原秀×キャラクターデザイン・作画監督浅野直之

※浅野さんの発言に関しては別にまとめます

キンドルで買えます!(たぶんほかの雑誌も買えるのがあるような気もするんですが確かめてなくてごめん!)『森のおんがくだん』みたいなものを作っている人が「バンドやろうぜ!」って超雑にインタビューを締めているの本当にどうかと思うというインタビューです(爆笑しちゃったよ……)。なおインタビューは居酒屋で行われた模様。このあとのan・anといいそういうことは一般的に行われるものなのか? というか藤田監督をインタビューに引っ張り出すのはそんなに困難なのか?

藤田「いろんなタイプの話を作って、思いつく限りやりましたね。反響どうこう以上に、『赤塚先生の作品を扱っているからには、最低限の結果を出さなきゃいけない』という重圧から解放された感覚はあるかもしれないです。若い人たちに赤塚作品の名前を覚えてもらうために、なりふり構わずやったので。それが自ずと作品のコンセプトにも繋がったのですが」

藤田「(キャラの設定を)焦って完成形で出していたら、最初から“できすぎたもの”になったと思います。今回はそんなに決め込まずにやろうと思いました。基本的には赤塚作品ですし、1話完結のこんとなので、それを成り立たせるために個性が必要なのであって。逆に、個性ありきでモノを作っちゃうと良くなかったと思います」

松原「今っぽさを出すのは最初の段階から共有されていましたね。『ノスタルジーに寄せてはいけない。それは赤塚先生がもっとも喜ばないことだから』と」

藤田「(絵に関しては)ちゃんとオリジナリティがあるものでなければダメだという想いはありました」

藤田「結果的にスケジュールがなかったことで、いろんな部分に相乗効果が生まれて」

藤田「いわゆるアニメキャラじゃなくて、どっかで会ったことがある感覚。浅野さんのデザインにしても、松原さんのダイアログにしても、「どっかにこういう人いるんだろうな」っていう生っぽさが、デフォルメされた世界だけど地に足がついた感に繋がっていて。ちゃんと体験から起こされているのは大きい」

松原「僕たちが監督と6つ子について考えていることって、作品上ですべて見せているわけではないんですよね。全25話のなかで、その一端が見えている形なので。だから視聴者からすれば、「えっ!?」って驚く瞬間はあるかもしれないです。でも、全てを丁寧に『こういうキャラクターですよ』と見せるものでもないと思うので」

 

2016/5/18 an・an 2016年5月11日号「日笠雅水さん特別監修 恋のお悩み、仕事のモヤモヤ、Q&Aで解決します 教えて、手相!」「16ページSPECIAL BOOK おそ松さんがやってきた!」

「シリーズ構成、脚本 松原秀 監督 藤田陽一 深夜の電話、熱海で合宿…。今だから話せます! おもいっきり“松トーク”inおでん屋。」

酒を飲んでいる……ビール片手にって書いてあるけど日本酒も飲んでいる!(写真が載っている)藤田監督と松原さんがビールジョッキ片手に楽しそうに歓談しているかわいい写真が3枚! 内容も延々と藤田監督が松原さんの脚本を褒めていたり、時々話題に出ていた「ふたりで食事をしているときに藤田監督が松原さんをおそ松さんに誘って」の舞台が「上井草のバーみたいな店のカップルシート的な席」だった話や、秋に煮詰まりすぎて熱海に行った話だったり、いや、最後の話は「こっちが思ってたよりぐちゃぐちゃな現場だったんだな」という感じですが(毎日のようにメールや電話でやりとりをして週に3回以上打ち合わせをしていた話とかも)全体的にわいわいとした楽しそうなムードのインタビューでなんというか、資料としてどうというより「おふたりが楽しそうで元気そうでよかった! おつかれさまでした!」という感じなので抜粋はまあ、いいかな……。

最後に「気が付くと三年会ってないとかありそうですよね」などと松原さんが仰ってますがこの時点ではおそ松さん二期の話はおそらく出てなかったんだろうなと思うとほほえましいと同時に「きつい仕事を再び、おつかれさまです、楽しみにしております……!」と頭が下がる思いです。

 

2016/6/29 pen+ 「完全保存版 いまだから、赤塚不二夫」

藤田陽一インタビュー「思いつくものは、すべてやり切りました。」A4版4ページ

特集内容に合わせて、赤塚作品をどう意識したかについての言及が多いですね。赤塚作品に対して思い入れの深い藤田監督の熱い思いが感じられるまじめなインタビュー。

なお「シェー教の崩壊」は赤塚不二夫還暦&漫画家生活40周年を記念して1995年に制作された、1995年の「地下鉄サリン事件」で一躍有名となったオウム真理教を題材にとったと思われる作品。『泉麻人『シェーの時代 おそ松くんと昭和子ども社会』によると赤塚作品中最後の「シェー」が描かれた作品、だそうです。

「今回一番警戒したのは、リスペクトとノスタルジーだったんです。もちろん僕も、赤塚さんという偉大な方にリスペクトは持っています。でもそれは面白いものを作るには必要ないんですよ。ご本人もご存命だったら、そういうものは求めていないだろうと思いましたし……」

「(30分1本ネタを作るのは時間がかかるので)あの最終回ですら、年明けから週3~4回の打合せを3週間くらい続けて作ったので」

「(原作回では)「こじきロボット」なんかはどうカスタムしてもなかなか関係者のOKが出ませんでしたね(笑)」

「今はスターシステムに対するリテラシーがなくなっているような気もするので、スターシステムをやるのは義務というか、ある程度キャラクターが認知されたらちゃんとやらなくてはと思っていた部分です」

「2クール目はお笑い、麻雀、ヤンキー、カンフー、それに野球と、昭和のボンクラが好きなものしか並んでないですよ」

「『おそ松さん』は、赤塚先生が還暦の1995年に描かれた短編『シェー教の崩壊』にすごく影響を受けているんです。あのタイミングで新興宗教をいじるという攻めの姿勢。そういう原作者を前にすると、「こっちは何ができるんだ」ということを突きつけられますよね。だからこそ「思いついたらやるべし」という姿勢で取り組んだんです。そうでないと失礼ですよね」

 

2016/9/25 サンデー毎日 2016年9月25日号

特集「おそ松さん」は、文学である!

「『おそ松さん』脚本・シリーズ構成 松原秀×小説家 柚月裕子 Wクリエイター120分徹底対談! 結論「面白さ」に正解なんてない」B5版3ページ

※松原さんの発言のみまとめています

ハガキ職人としての松原さんの話を結構突っ込んで言及されています。おそ松さんの打ち合わせの現場では「人の言ったことを拾う、ネタを拾ってきてまとめる」という方向の作業をけっこうしていた印象のある松原さんの原点という感じ。

「僕は『笑わせる』より、『笑っている』のが好きだったんですね。だから、『一番面白い人』になりたいとは思っていなくて、『一番面白い人』の横でケラケラ笑っていたいタイプでした。(略)中学生になってから、お笑いにハマったんです。特にナインティナインさんにハマって、中3の時に『オールナイトニッポン』に投稿するようになったのがそもそもの始まりです」「とにかく目立ちたかったんです。だからペンネームでなく本名ではがきを出していました。有名人の方が僕の名前を読んだり、僕のことをいじってくれたりしたのがうれしかったし、まわりも『読まれてたな』とちやほやしてくれて、それが嬉しかったんです」「その頃は毎週20通をノルマにしてましたね」「ナイナイさんをテレビで見て、お二人が気にしていることとか、芸能ニュースを見て『この件は面白がっているだろうな』とか、ナイナイさんが笑いそうといいうものをベースに、ネタを拾っていました」

「僕は一人で作れない、共同作業でしか作ったことがないんですよ」

おはなしのタイトル(フリー素材)

以下は、ウェブショップドーナツ革命党事務局で扱っている「タイトルをつけます」というコンテンツのサンプルとして、ask.fmからログを回収してきたものです。フリー素材です。商用同人個人使用問わずご自由にご利用ください。

「タイトルをつけます」商品はもともとask.fmで無償で行っていたサービスを有償化したものです。有償化以降のデータの使用権は購入された方に帰属します。というか、データのバックアップを取っていないので、購入された方の手元にしかデータがありません。

 

人魚姫の眠りを醒ますのは誰
極点の鷹
スーパーラヴァーズ・ロンリースカイ
いつか飴玉を誰かにやってよ
木々について
赤い屋根のある大きな家の肖像
うさぎたちは眠たい
どこまでいっても終わらない坂
未だ/既に
いのりびとのためのエチュード
それから彼らを誰も見てない
日曜日は嘘つき
可憐で馬鹿でダイナマイト
にんじんケーキの正しいレシピ
明日、TUTAYAで、別の映画を
渚のリヴァース
ふたつめの星を指せどれほどの澱
夢、海月、金平糖、世界の終わり
どこからいってもミステイク
犬はなんにも考えない
魔性の受が多すぎる!
遠ざかりゆく地平線
敵はどこだ!
おやすみをいうまえにきみとしたいこと
16:00
あしもとからひたひた
ひからびた蝉
夏休みの前の夜
暗幕をおろす
まちにすむひと
適切な朝を知らない
缶コーヒーは飲まない決まり
ノーコンティニューゲーム
朝に聴くための音楽
水辺にて
冷凍睡眠
どちらかがボタンを押した
チョコレートの殻を剥く
蜜の色
かばんのなかみをぜんぶ捨てたの
あたたかな腕
おしまいから二日まえ
螺旋階段てっぺんからばいばい
ななつのこ
こども部屋
ある日死神さんが来て、愛してるって言いました
いち、に、さんぽで滅びの呪文
タナトス
はるのひ
りぼんの騎士になれなかったの
いつまでも続く道
ぐるぐるまわる
蜜蝋
ぱたん
ハレノヒ通信
小麦粉を買う
たのしかった、と彼女は言った
観覧車のない街
イージーリスニング
エデュケーション
みにくい神様
にくしみならばすくわれる
ヒーローショウタイム
つまさきにKISS
みつばちにさよなら
よかったんだよ
電源が入らない携帯電話を捨てた話
どうでもいいこと
春雨
わたしは迷子
もうラブソングが聞こえない
手を取る
きれいな一日
流れ星、忘れたことと失くしたこと
劇薬の取り扱いに関する議定書
劇薬をこぼした
かなしかった男の子と、ただしい王国
二点間の移動
それでも僕は優しくなかった
対話篇
たたかいの結論
君の窓枠
いってきます/おかえりなさい
ただしい花束のつかいかた
井戸水のんだ
あたらしい言葉
ゆめをみること
クロゼットのなかにはりんごがふたつ
雑談と嘘
他人がぐるぐる暮らす街
愛ある生活
雪のひとひら
あしもとだけ見て歩く
さあ行こう、と彼女は言った
パノラマブルー
羊飼いのいる風景
ワールドエンドホリック
あさってウィスキーをみんなで
鳥たちはばたきつづけなさい
手酌デイズと隕石の朝
明日は千円返せるからね!
ぼくのしたにはなにもない
空が割れる
待ち針
誰かがわたしの名前を呼んだ
指さした指を撃て
壁に目
WCを信じるしかない
割れた鏡
鼠を飼う
汚れた空気
上書き保存して消して
もう二度と踏まない土
この電車が遠くまで、行くはずだからひとまずは海を
コンビニエンスラブリー充電池
おうちがどこにもみつからない!
地上二センチのラブファンタジー
永遠リスニング
猫はおひざでまるくなってよ
雪道サプライズ
あかるい朝
きみは天使
ごはんの匂いがしてきたみたい
庭先に薔薇の花
いちばんおいしい味だった
あした、あなたと、食べるための葡萄
おかえりなさいお客様
西日に向かう
ログアウトしたの
靴飛ばし、結果は見ないで目を閉じて履く
あたらしい定期
スクリーン・ゼロ
見てよ虹
チョコレートを買いに行く
城壁の高さを測量するための靴
人工衛星
ばらばらと黄金
野生の王国!
錠剤だらけの部屋に帰った
グリーンティーはカメラに映りこまない
滅びの呪文を唱えるの
修行の夏と衛星放送
手と足
押し入れに住みたかった
ハイティーに薔薇を
部屋中に散らかった箱を眺めている
おねだり
生きること、魚のことと寝床のこと
さらば落日よ
ムーンシャドウを追跡して
ヒーローショウは録画した
ノット・アイラブユー・シングス
未来圏の庭
ゆびさきがもとめるもの
柘榴の花を見つけたの
びいどろ割り
俯きと傾き
貨物車について
雪道をあゆむもの
鴉のはばたき
削られてゆがんだ木々のために
野に放て
最終回は忘れちまった
クローゼットに鍵とミシン
あかるい太鼓
目を閉じて開いたあとで呼ぶ名前
すべての花がおまえであれば
余白から
どこまでも白い壁
ワルツに至るまでのすべて
肩ごしの嘘はらわたの色をうたえ
寂しい生活
メリーゴーランドの最後の一回
虹の底
夜行列車に乗りこまなかった
吊るされた人
エデンはこちら
しろい雪あかるい雪
井戸から銀を汲む
とまどう丘の果てから
水のない生活
めざめたときにてのひらを抱く
たのしくてすぐできるはじめての戦争
心音の上下
味のついた水
なにもかもが遠ざかってゆく
星の数を数えながら眠って
どんどんぐるぐるまわっています
バニラソーダ
サイズ
西に光るもの
有限論の続きを語る
レモンと杏とマンゴスチン
ここにおいでよ
滑り台のうえとした
キッチンナイフでりんごはふたつ
リメイクモンスターはどこだ
ふたりぶんのシーツ
行き止まりまでの広い道
背の高い男を見た
ホームシックシアターで見るべき三本のホラー映画について
足裏からささめき
痛み、鈍い金属、ざくざく
ぱちん
さあリボンに入刀です
黄色いリボンをゆるやかにかけて
ちがでた
道々を繋ぐもの
あかるいあかるい
春は夢のうつろ
跳ねるひとをみつけた
歩きにゆこうよ
ゆら窓に口笛
あったかくってぐずぐずしてる
チョコレートドロップスミックスはミルクボックス
シフォンケーキの穴に棲む
にやにやソルベ
おふとん王国を建立します!
スーパーヒーローのせなかの苺をさがせ!
地を這う虫の靴を舐めろ
ハニー・シュガー・スプレットはお好き?
空撃つ鏡とミラクルファイターズ
ニューロマンスはカンタンじゃない
男子校で料理研究部をはじめたら、世界征服が始まりました
オムライスが得意な俺と、帝王閣下の秘密の呪文
チョコと苺と緑の王冠
王子様に花冠を!
王政国家に転入してしまいました。
パーフェクト・ロマンスはキッチンの隅
たのしいたのしいアクアマリンバイバイ
手の届くところまで来たらパイをひときれ
短い制圧
ノットジャスティス・バットオンリーユー
生まれ変わったらあなたになるの
八月に墜ちる爪
憎悪は翼をあかあかとして
産声の死に様
カーテンレールはゆっくり捩れ
ひとつのものになればいいのに
奇譚集
放課後はレクイエム
十年と嘘と自由、それからホワイトキャット・ワールド
バビロンの悪夢を僕は黙り込んで
おしまいの骨の位置
部屋一面にナイフを並べ
夢遊病患者を毎夜見送って
憎悪に辿りつくまえのスキン
ルインブルーをゆっくりと削ぐ
選択される世界のありか、ルビーはもうない
卵の殻
マグカップポートレート
自在であったかつてを厭う
しらない夢、しらない光
そこなわれる
地平線を撫でながら
階段のしたの鏡
残響に弓はふるえ
いずれかを踏む音楽
おまえは右から帰りなさいね
ホットミルクのための牛乳瓶を提げて
はったりの要る生活である
ジーザス!
足首に甘い味
その人を見ているとお菓子が食べたくなる
甘い味にやすらぐ
犬がじゃれているように懐くも、頭の中では欲にまみれ
触りたい
ドッグパレードにご用心!
正しい味の見つけ方
ゆうやけ色のハローを食べた
たじろぐ
フレッシュミート・スイートサファリ
あおい火
右側から銃を撃て
コンビニエンスストア、二十五時、星の色
遠巻きにむらさき
夜道は遠い
八月の階段を下る
星の味から声がきこえた
ムーンセットを忠実に嘘
ファーザーコンプレックスレクイエム・ビーチ
どくろ拾い
とある夏の日、とある冬の日
追いかけっこはぐるぐる続く
ぺったり王国
手をつないだら不足はぜんぶ
HUG!!
間違った世界
まじわる
最後のヘヴン
革命に火を
つまさきに逃げ水
ここまでおいでよ
昔、湿原だった頃
月の満ち欠け
遠くまで、行くことのできない王国の底と、はるかなよびごえ
ティーセットに鈍い瑕
こわれるひととみちゆくひと
つめたいみずうみ
月と星を見ていた
あしもとに白い壁
おしいれからはびいどろの音
窓際にアイスクリーム
明日の話をしよう
道には花が咲いている
タナトス、呼ばれた月のささやかな欠け
わずらわし電算部
くすぶり
夜を放つ
じりじりと遠い影
いっぽいっぽと歩むたび、世界の破滅が作り出される
死について
箱庭コンチェルト
いつもの明日が怖くてならない
屋上への階段を上がらないためのtips
左足から撃て!
朝焼けを越えてゆくか
静かな音楽
湯を浴びてから帰るよ
雨の窓辺
たんすの裏の蛙が鳴いた
みえなかった、と嘘をついた
世界の終わり
銀の匙を咥えさせ
わたしたちどんどんたしかにあいしあっていますのね
ぬかるんだあたたかな闇夜
星の輝き
ちらちらと花弁
水落ちる庭
おまえの目が見ていた
斜めから降るひかりのかたち
数を数えて全部忘れて
みちびき
ゆっくりと足から
肩ごしにぬるい月
いずれかの海において
混泳の夜
べたぬり
夜でコンビニ
妄想ジゴロ
にょろにょろ猫背
それから?
彼らを構成する架空の動物の骨
にぎやかな軒下
雨が晴れたらここへは来ないと彼は思っている
じわりか
コーヒーをもうふたつ
船旅
底まで降りてゆくときに
マグカップをあげる
わたしをさがさないでいてね
水のあるところの死
左足のつまさきに砂
なにもかも寝室のできこと
部屋の隅の机
豪華な晩餐
湿り気
銀の星から霧が降る
八月の夢の船
線路はどんどん広がっている
ろうそく色のお酒を飲もう
みつばち
扉には花の陰
螺旋階段ミズーリ投下
それではつぎはキャラメルラムを
ゆびさきとつまさき
からからの瓶詰め
迷子の羊はあと何匹?
数えるの、最後のあしたが始まる前に
さらばの呪文はもう埋めました
滅びとパフェと天気占い
おにいちゃんはアンハッピー!
神の所在
運命論
じきに来る終末のために
道々を笛吹きが行き
誠実な猫
日々の冬
一族
冬の夢
朝なき世界
俺も眠ろう
寂しかったのか
やわらかな殻を千ほど拾い、おまえの城を築きたかった
ざらりざらりと川は流れて
戸口に金の栗
少年Aの秘密
おとうさんから遠く離れて
ゆびさきの震えを止めたきり
誰かがそこにいた
もりのなか
嘘つきシールをぺたぺたにして
ほがらか廃墟のメリーゴーランド
万年筆三本分の生涯
恋するざくざく人魚の右手
埋もれ
おとうさん、とびらをあけて
ゆきのひのおくりもの
しずかなしずかな
だれかいる
ゆきのなかにはだれもいないよ
楽園の最後の香り
ふたつめの銀の星
いなくなったら魔法で呼んで
捩れ則ムゲン
夏につないだ手
三十三枚目の切符
雨の終り
肉の味
水色青色スカイブルー黒、そしてアクアマリン
ウオータースパイダーズ
いけないことならここでもできるよ
とろとろ怪談
3ミリ向こうに甘い蜜
背骨をつたって落ちてゆく水
ぬるい部屋
のらくら怪獣
饅頭みっつにあんぱんひとつ
間違えて買ったパスタ測りの使い道
裏階段に昼寝に行こう
森のような人
吊るし杏は風に揺られる
振り子の価値を数え終わって
わたしたちの百個の林檎
あがなう
神を買い来て野に放つ
ミルクの川をふたりは渡り
すずのね
二度目のない旅
月面を遠く離れて
あたたかな座席
湿った庭
椅子を買うときわたしを呼んで
昼間の奥の奥
ワンピースに赤い花
歩きにゆこうか
砂金拾いとレッドミックスジュース
ころがるセメントロールを追え!
ミッシング・リンクは忠実に
豪勢な羅針盤
ハロー、グッドアフタヌーン、ミスター・ヒーロー
箱庭作りと彼の美しい庭
光なき星
放浪を終える
ハートとヘヴン
システム
上手に走るための満ち欠け
わずかに欠けた月の修復
聖域のとびら、夢の外で見たこと
みずうみに潜る
パルスを繰り返して送るから
夕焼け軸の並行」
ライクアサンダーストーム
めざましい月
なくなる
忘却のためのワルツ
いつも満月を崩さず
無限の蝙蝠の流れ
ひとつものこらない
かくれる
コンマを蒔いた森で
心音と雑音
モーニングセットを食べない議論
うずもれうたかた
あかるいさみだれの日々
モノリス破壊
つくってこわそう
being now
十二番目の朔月の頃
戸をたたく
メロディラインあるいはかかとのひくい靴
ピアノソングが果てる頃
さいはてサンセット
こんなに広すぎる
おしまいの飼い方
海が煮える
ティーパーティーまであと少し
そのまま撫でてね
あらかじめ決定されている俺達の人生
聞こえないのは心臓の意味
八月の蠍の火
てのひら/切断
ファーストシーンとラストシーン
きょうのごはん
あかるいニュースを窓に留めて
冷蔵庫にはプリンもあるよ
まっすぐにおうちへ
おなかのすいたいぬがいます
ソーダ水の栓を抜く
不完全な部屋
ペーパーウェイトコンプレックス
指紋と審問
みみをとじる
むすんでひらいたあとのできごと
変に静かな
壁から遠ざかって待って
どおんと鳴る街を逃れて
冬の日には会えるよ
身近なかなしみと遠くのにくしみ
ひとりぼっちで嘘をつかずに
シリウスから遠ざかるための日
みにくいけもののための管理都市の夢
間違いとただしい
毛布のなかで静かにおやすみ
あしたまた闇夜に
ショウアップから遠く離れて
あしたのいばしょがみつからないの
ヘヴンリー
右端から触る
壊されてゆく時計台
ゆっくりと西の方へ歩く
リライトマシーンコンプレックス
スイートエンドレスホリデー
サンデーアフタヌーンドリーム
ループシグナルループ
エントランスミュージックメビウス
からくりショウケース
きみとぼくの融通無碍宇宙
こえとうた
骨髄にぬるい痺れ
ワンタッチユアハンズ・ノットチープトリック
楽園を出るためのスターシップ
きれいな虹のつくりかた
混ざら/なかった
オーバードーズレインフォレスト
ざっくりと或か
六月には嘘をつかない
くうはくのためのエチュード
窓枠からは銀の指
あと三回、繰り返して言って
廻転する王国の階段にいる
きんいろ猫まわる
二度とは来ないサーカスを待つ
パレードシアター午後13時
ぴりるら
おはようのまえのやみよ
薔薇、たくさんの薔薇
中庭から空
ねじれのあるきざはしの涯
ゆめのなかで貴方に会った
真中からゆっくりと芯を抜く
うんめいの最初の一字をまちがえた
ざくざく、ざらざら、へらへら
ゆかいゆかい
明日になったら星のした
天色問答
左手にたくさんの荷物、右手には
きのうのゆうやけについての詳細なレポート
やさしいとやさしい
磨りガラスごしの庭
どうしようもない、どうしようもない、大丈夫、どうしようもない
この世で最も素晴らしい俺の敵に関する話
ニーチェによる神の死の証明あるいは少年Aの肖像
解剖学序論
ハッピー(と呼ばれることはおそらくない輪転する夢の)エンド
みみをすましてめをあけてせかいのあなたのわけまえを射る
フリートーキンググッドナイト
バッドデイアフタートゥモロー
ノットオンリーユーライクミー
ユーセイミスエアリング
ハローマイキングダム
プールインザハピネス
ファーストアフタヌーンティー
ルールオブハニーミルク
ドントタッチミー、アゲイン
テイクサムシングシャワー
スイートホーム、ララバイ
箱の中にはしろい花
あしあとだけ追跡して
ゆっくりと溶けてゆく
ねむたい
螺旋階段
ゆめをみる
春の日に終わりを撃つ
眠りはしろく
はばたき
残弾はホームメイド
やわらかい花を摘む
ゆびおりかぞえて・小指を折って
ガラス瓶のある小景その他
弓を射るひと
きみとハッピー
ワルツと水、水辺と冬
ロストシップドリーマーズ
わたしたちは著しく夜をむかえた
果てなき夢
エモーショナルカウント
羽搏きと落日
無惨なソネットのための喜劇
搖れる、蕩く、さざめく
君のディレクション
あした、晴れる、ときには
錆とロマンチシズム
あなたの頬はひどく冷たかった
手を取れ(ば)
にぶい爪
未来圏へのアポトーシス
さようなら焔
かがやきに満ちて
no filing nights
ぱちん、おしまい
みどりのカナリアの死
火の中で救われる
そろり足を踏み入れて奈落
ハッピーエンド
まがいごと
閉ざされたとびらのはざまにみえるもの
明日のパンを買いにゆく
箱庭のあなた
あなたにつくられる日々
終わらない夏のようなもの

五月の月間目標(と、タスク管理のやりかたまとめ)

マインドマップで五月のタスクを整理していたところ画面に収まらない広さになり縮小したら読めないサイズになってしまってバチギレしているようすです。

ともあれマインドマップ式整理は便利でどうにかいま即座にすべきことが整理できてよかった、地味に三時間くらいかかったけど……。さいきん何回かGTDのやりかたを指導していたんですが、まあわたし相当簡略化してるのでもうあんまりGTDじゃないのでは? という気もするんですが、GTDの実践の一番最初にタスクを全部書き出すんだけどそれをやるのにマインドマップは便利だということがわかったけど三時間くらいはまあかかるな……。

 

五月の目標は

魚の国を完結させる

物語以前を完成させる

今夜裏庭で会いましょうを完結させる

・おそ松さん関係の雑誌目録を作る

・こまめにプールに行く

・ファミレスに行かない

ファミレスに行かないというのはどういうことかというと、仕事と私生活が混然一体となってグチャグチャになり、グチャグチャになると飯が作れなくなり、タスク管理もできなくなり、部屋の狭さも気になりはじめて閉所恐怖を発症すると逃れるように大きな窓と大きな机と食料を求めてファミレスに行くので、冬からこっち行きすぎだったのでこのへんでそもそも生活がグチャグチャになるのを止めようという考えです。ファミレスに行くと金がずるずるなくなっていく

というわけでファミレスに行かないためにどうしたらいいのかというと、

・仕事をしすぎない

仕事をしすぎることによって無理が生じて無理が積み重なった結果グチャグチャになるのでタスク管理をしっかりやってコントロールする。

・自炊ほか家事の実行

食べるものがなくならない状況を作りグチャグチャになりにくくする。

・タスクを定期的に見直す

立てた予定に無理があるのではないかという確認をこまめに行う。月曜あたりに見返す習慣をつけましょう。

 

 

ということで頑張ってほしいと思います(わたしが)。

 

最近ゼミ(今週1000円です、気軽に遊びに来てね)でタスク管理の話をすることが多くて、わたしがやってるのは適当に簡略化したGTDとポモドーロなんですけど、要点としては

1、時間の管理

(1)仕事や学業の時間を引いた(睡眠時間等はここでは引かない)自分の自由時間を把握する

(2)睡眠時間、食事の時間といった、絶対に必要だし削ろうと思ってもどうせ削れない時間をゆとりをもって計上する、ここにはTwitterを眺めるとかpixivを眺めるとかなにもしてないけどなんかボーッとしてるとか寝ると思って布団に入ったけど眠れない時間とか、「よくわからないけど一日のなかでそういえば無自覚的に使っている時間」も含む(絶対にそれはやるし、それを含まないで予定を立てても絶対に破綻するので)

(3)残りの時間を把握して、タスクを割り振る(タスクに関しては次を参照)、タスクが割り振り切れない場合、タスクの量を減らすか、(2)を調整できないか検討する

2、タスクの管理

(1)やらないといけないこと、やりたいこと、できればやりたいこと、いつかやりたいことなど、とにかく全部書き出す(使っていて楽しい文具を使う、気軽に捨てられる紙に殴り書きをする、大きな紙に適当にどんどん書き込んでみるなど、あらゆることを気軽に書ける状況をそれぞれ考えて用意するとよい)

(2)書き出したタスクを「今月やること」「今月はやらないこと」「いつでもいいから余裕があったらやりたいこと」に分ける(抜き書きする、蛍光ペンなどでマークするなど)

(3)「今月やること」のタスクの必要な時間をそれぞれ考える

(4)「今月やること」のなかで長い時間を要するタスクを取り出して、「今日の」あるいは「今週の」メインタスクとして扱い、メインタスクが複数ある場合は適宜要する時間に合わせて振り分ける

(5)残りの小さなタスクを、「今週中にやること」「今日やること」「このあとすぐやること」などに整理し、メインタスク分を抜いた残りの時間にあわせてスケジュールにはめこんでいく

(6)「いつでもいいから余裕があったらやりたいこと」はタスクが思ったより早く片付いたときのおたのしみ

(7)「今月はやらないこと」は来月になったら見返して「今月やること」を掘り返し「やらなくてよくなったこと」を消し、また残りは「今月はやらないこと」として残す、この場合新しくタスクがある場合は書いて同様に処理する

(8)できれば一週間に一日~数時間程度「タスクを割り振っていない時間」を余らせておいたほうがよい

☆ポイント

・メインタスクとなる大きなタスクはできるだけ小さなタスクにさらに分割し、「これとこれとこれは終わった」という状況を作ることで、少しずつ進んでいるという実感が持てる、分割できない作業の場合は「一時間×何回」で把握する。45分作業+15分休憩×何回、別に40分+20分でもいいんだけど、というやり方だと作業効率が上がる……人もいる(ワンセットの時間は適宜自分に合った長さで)。

・ひとつのタスクに取り組んでいる間はほかのタスクのことは考えない(忘れるために書きだしたので)。

・一週間ごとくらいの頻度で、「このスケジュールで遅れてないか」を確認し、遅れている場合はタスクの量を減らすか減らせない場合は間に合わせる手段を講じる

・スケジュールに余裕がある場合は前倒しで作業を進めても良いが無理はしないこと、どちらかというと余暇として扱ったほうがいいかも

・タスクに「タスクのための時間を作る」を入れるのを忘れないこと!!!!

 

まあ理想ですよね。実際はタスクをぎちぎちに詰めすぎて爆死したり、ビビッてガンガン前倒ししちゃって爆死したりしてるからグチャグチャになってるんですけど、今月は気をつけてしっかりタスク管理しようと思いまーす……。

思索のための手仕事、あるいは相談を受けるということについて

夏コミ申し込みました。で何冊出すんだっけみたいなことを考えたら四冊スタート本音としてはもうちょっと出したいみたいな状態になって、ウワッこれどこから手をつけたらいいんだって感じになり、結果として、考え事をしながらコイルを巻いていました。だいぶん上達をした……と思う……。

コイルを巻くとこういうものができる。これはモールス信号ネックレスです。モールス信号ネックレスの発展として短歌や俳句をモールス信号でネックレスにするというのも考えてるんですけどなにしろ長いのでデザインに難渋している。服飾デザインの勉強、全然関係ない世界すぎて知らないことばっかりで面白いし、模索しているうちに近代アメリカにするっと行きついてやっぱりなーと思った。わたしはデザイン関係はたいていアメリカに行きつく。

 

なんでアクセサリー作るようになったかという話はいろいろな理由があるんですが、なんでそれを続けているのかというと考え事をしているときにワイヤーをいじくりまわしているのが一番捗るというのがあり、次点ぼんやりしているときや目を通さないといけないけど特に何も考えないでいたいときは編物が捗ります。いえ、作るのが捗るのではなくて、思索が捗るのです。思えば子供のころからずっとそうだったような気がする。何かを考えるために歩き回り、泳ぎ、手仕事をし、料理をする。うっすらと考え続けるために。

 

人生相談を受け始めてから何年になるのかよくわからない。このよくわからないというのは数が数えられないという意味ではなくてどれが相談でどれがスタートだったのか切れ目がわからないという意味です。でも子供のころからなんとなく長話を聞かされることが多くて、なんとなく聞く側に回ることが多かった。という話は前にブログに書いたんだったか。わたしの家庭環境においては「わたしから語り始めることが可能なこと」は少なくて、だから黙って聞いていることのほうが多かった、そうするとほかの子はみんな自分の話をしたいので聞いてもらえる相手を見つける、わたしが見つかる、わたしが聞く。という順番だったんだろうと思う。

わたしにも話したいことがないわけではなくて、でもわたしの話したいことはうまく説明できなかったので、聞かせる相手はいなかった。だからわたしは自分と話し合うことにした。自分と話し合うというのが思索ということで、思索をうまく行うためにコイルを巻いたり編物をしたりしているわけです。散歩と水泳ももうちょっとやってほしいものだと思う。特に水泳はここのところ体調が悪かったのでまる一か月ほどさぼってしまっていて……。

思春期の頃はほどんど緘黙症だったこともありました。今でも疲れているとよくどもる。別にわたしは喋るのは得意ではない。

 

たぶん人より、ものを考えている時間が長いんですよね。黙っていることも苦にならない。人の話を聞くのは本当は別に得意ではないんだけど、なにしろ訓練する機会はたくさんあったので、「重要な情報」と「聞き流していい情報」を切り分けることができるようになった。喋るのはいまでも別に得意ではない。よく黙るし口ごもる。口ごもっている間は待っていてもらう。喋るのは得意ではないけど、口ごもったりどもったりするのを恥ずかしいとはあまり思わなくなった、しょうがないので。思わなくなるまでにはいろいろなできごとがあったのもたしかです。

 

まあそんなわけで「相談を受ける」ということに人より慣れていて、いまのところをそれを収入源にしていて、いや別に聞くのはいいんだけど喋るのはそんなに得意じゃないんだよなあ、こんなこといつまでも続くかどうかとは思うんだけど、まあ今のところやっていて、そもそもここ五年くらい相談を受ける頻度がめちゃくちゃあがっていたのもたしかでした。そりゃそうで、インターネットで匿名の人から質問を受けるプラットフォームが流行ったのがきっかけでインターネットの不特定多数から相談を受けるようになって、その結果爆発的に増えたという経緯なんですが。ask.fmというサービス、そういうかたちで相談に乗るのが上手い人がどんどん可視化されているところ、かなり高頻度で見かける感じがする。

 

相談を日常的に受けるようになってようやく相談を受けるときのこつみたいなものが最近つかめてきました。最近かよって感じですけども。まあ長い間人の相談に乗ってきたとはいえこんな量の相談をさばくこともなかったから……。

・依存関係に陥らないこと

・相手は自分の話がしたいのであって「わたし」はできる限り「あなた」を理解することに注力する必要があること

・必要な助言は大抵パターンが決まっていること

悩みを打ち明けられて一番徒労に終わりやすいのが親身になって一生懸命最適解の助言を出そうとすることで、これは大抵の場合必要がない。それはもちろん「殴られたんだけど警察と病院どっちでしょうか」「おそらく警察です」みたいな、いや状況によると思いますがこれは喩えですが、具体的な助言が具体的に役立つシーンというのはあるんだけど、はっきりと割り切れない問題はめちゃくちゃ多くて、それに対して「こうでこうが正解だよ、これをやれば解決するよ」は、親身になっているのは確かなんだけどお互い別に何の役にも立たない、徒労、ということがけっこうある。ので、たとえば接客業とか、あとわたしのような相談に乗り慣れている人間とかの、「パターン化された回答」のほうが役立つというシーンのほうが、個別にいちいちちゃんと考えて対応するより相手にとっては受け止めて処理しやすい、みたいなことはわりとあるっぽいなと思う。

必要なのは「これが正解」じゃなくて「何が『あなた』にとって正解なのか」を理解すること、わからないなら「あなたはどう思う?」と問いかけることなんだろうな、必要なのはある程度マイルドに映る鏡であって他人じゃないんだろうなと思う。

「こんなことずっとやってられるのか?」と思うのはその点で、「相談を受けているとき、わたしはそこにはいない」をあんまりやっちゃうと「わたしとはだれか?」がきわめて曖昧になってしまうのでは? なりかけているのでは? ということで、たぶんバランスを取るためにコイル巻いてる(あるいは糸をいじってる)部分はあると思う。

 

ところで相談に乗るとわりと高頻度で「何か恩返しをしなくては」と言われることがあって、一方的に与えられて終わるということを受け入れるのは体力の要ることで、要ることだということはわかるけど頼ってしまったのは事実なので一方的に与えられて終わるしかないということをある程度は受け入れて欲しいと思う。「親身にしてもらったから恩返しをしないといけない」という感情自体はべつに否定しないけど、「自分も親身になる」以外ないし、申し訳ないけど普段親身になり慣れてない人が親身にしてもらったからといって自然に親身になれるかというとなれない人がほとんどだし、別に普通に感謝するだけでいい。感謝というか、わたしが親身になったという事実、そしてそこで親身になってもらったことで扱われた自分自身に対して、敬意を払ってほしい。

相談を受けて一番徒労感を感じるのが、「自分に向き合う」以外ないですよとお伝えしたのに「自分に向き合っていない」人を見るときで、依存というのは結局そういうことだと思っている。わたしが敬意を払ったあなたに対してあなた自身も敬意を払ってくれ。徒労に終わらせないでくれ。

 

それで結局わたしは夏コミで何冊出すんだろう……。

「描きたいこと」と「伝えたいこと」について

以下の文章はウェブショップでやっている「萩ゼミ」という創作講座のテキストとして書かれたもので、そのテキストが冊子形態で売り出せる見通しがさっぱり立たない(進捗的な意味で)ので、まあこのくだりサビの部分でゼミで死ぬほど何回も繰り返すのでブログに投げておこうと思って投げました。

萩ゼミというのは昔わたしがask.fmでやっていたことを一時間~長くて三時間くらい(盛り上がるとずるずる長引く)延々としゃべっては質問を受けしゃべっては質問を受ける場所で、有料です。有料なのはいい加減金を取るべき濃さなのが半分、あとの半分は不要なノイズを弾くためです。

水金土日祝開催、平日22時から休日24時から。内容や時間帯などご相談いただければ融通がききます。黙ってても酒飲んでても大丈夫。どなたさまもお気軽においでください。

……というのをテキスト媒体に起こしてくれと言われ続けてもう半年くらいになるのでいい加減起こそうとして四苦八苦しているんですけど、マンツーマンだと伝わったかどうか確認できるけど文章は大多数に向けて発信するわけで原稿を書くのがとてもつらい。

とてもつらいという気持ちを押して書いているのだということを念頭においてもおかなくてもいいですがとても大変な思いをして書きました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(主張)

なおnoteに置いているものとはちょっと違う内容ですが言いたいことは同じです。noteのほうがもうちょっとわかりやすいはずだ。と思う。

 

―――――――

ゼミをはじめてから二か月ほど、質問持ち寄りで、どういうことでお悩みですか、相談に乗って考えていきましょう、といった感じでやっていました。

実際作品を作る方からの相談を受けてどうこう、というのが多かったのですが、そうやってご相談をお受けしてみたところ、どうも、プロット以前、物語を作る以前のところの作業をもう少しやったほうがいいのではないか、ということがとても多かったのです。

集まった質問の内容は、具体的にはこんな感じでした。

・エピソードが広がらない

・話が一本調子で、おもしろみがない

・考えたできごとやキャラクターの動きがご都合主義で不自然な気がする

どれも、結局のところ、「お話を組み立てるうえで、おもしろくする方法がわからない」というご相談です。ひいては、「キャラクターの外側にあるものがうまく作れない」ということです。この章では、「描きたいキャラクターは用意できた」という前提において、「キャラクターの外側を構築する」方法について考えていきます。

以前から友人からも、「事件性のある話が書けない」「社会のある話が書けない」といった悩みをちらほら聞いていました。

「事件」「社会」つまり、「主人公の外部にあるもの」や「主人公に起こった出来事」をどう設定したらよいか、わからない、という状況です。恋愛を扱った作品、特に二次創作では、このような状況に陥ることがよくあります。主人公、もしくはカップルが存在している、というところまでは想定できる。好きなキャラクター、もしくはカップルを描きたい気持ちはある。描くために、「何か」を起こしたい。でも「何」を起こせばいいのかわからない。

1、まずキャラクターがいる、もしくは舞台がある。

2、そこに「事件」が起こる。

これはプロットの最小限のサイズです。物語には必ず「事件」が起こります。「事件」あるいは「できごと」あるいは「異変」「ノイズ」。

それは日常から脱出すること、もしくはさせられることです。

「事件」という言葉では大きすぎるかもしれません。「殺人事件」や「大災害」、あるいは大恋愛のはじまりなどを想起してしまうかもしれませんが、必ずしも大きいものである必要はありません。

普段始業ぎりぎりまで寝ている人が、五分早く起きることができた。

いつものスーパーで、好きなお菓子が半額だった。

普通は通り過ぎてしまう道端に、手袋が落ちていた。

「この物語での、いつもの風景」を設定すること。そして、そこから、「違う風景」へ移動すること。

これが「舞台」と「事件」の関係です。その移動の距離や齟齬は大きくても小さくても、どちらでも構いません。

重要なのは、この物語は、何のために存在するのか? ということです。事件のサイズはそこから導き出されます。

「物語を書こうとするとき、それを書くことでなにを描きたいのか」

「物語を書こうとするとき、それを書くことでなにを伝えたいのか」

このふたつをまず明確にしましょう。

 

 

2、イメージとテーマ

 

「描きたいこと」を明確なイメージにするということは、自分にとってこの物語の核になる部分、モチベーションになる部分、そこは絶対に外せないという部分を用意して、それを中心に描いていくために役立ちます。キャラクターの魅力に迫る話が書きたいのなら、キャラクターの中の最も魅力的と思える部分、もしくは今回特に取り上げたい部分はどこかしっかりイメージしましょう。

対して「伝えたいこと」は読者へ向かって差し出したいもの、もしくは突きつけたいものです。その読者は自分自身でも構いません。読み終わった人にどういう感想を持ってほしいか、どういう感情で読んでほしいか、どういう情報を持ち帰ってほしいか。これは物語のテーマであり、もしくは問題提起です。

二者は同じようでいて違うものです。

「キャラクターの魅力を描くこと」と「キャラクターが魅力的だと伝えること」は、同じ目的ですが、プロットの作成において違う作用をします。

「キャラクターの魅力を描くこと」は、情報を絞り込んでいく行為です。「どうしてもこれだけは外せない」情報だけを残して、それを最も効果的に使えるプロットを考えます。

「キャラクターが魅力的だと伝えること」は、情報を広げていく行為です。「魅力を感じるとはどういうことか」「誰に魅力を伝えるのか」「どんなふうに伝えれば伝わるのか」伝える相手を、架空の存在でも構いませんので具体的な相手を想定して、その相手により伝わる方法をたくさん考え、広げていきましょう。

「伝える相手」「読者」とは実在の誰かでも構いませんが、その相手に読んでもらえることを期待するよりも、まず自分自身にとって面白いものを書こうとするほうが目標としては現実的です。アマチュア作家にとって、自分自身は最も読者になってくれる可能性が高い存在です。絶対に読んでくれる(読み返してくれる)とは限りませんが、それでも、自分自身にとって面白いものであることで、書きあがりを楽しみにすることができます。

「自分が描きたいものを書くこと」と「自分が読んで楽しいものを書くこと」。それが何であるかを考えること。

これが「物語の始まるところ」にあるもの、プロット以前、事件以前にあるものです。

これは両方必要です。自分が書きたいものと、相手に読ませたいものは、同時に、感情と風景、抽象と具象のバランスを取ることにもなります。テーマは抽象、イメージは具象です。

収入がホニャララみたいな額になったのでみたいなお知らせ

わたしは知っている……! こういうとき具体的な額を出すと燃えるもとだということを……!

 

何回か書いたお仕事進捗のおしらせの続きです。フリーランスで在宅でなに……何かを……できるかぎりのいろいろなことをやっています。

最近は生活パターンがぐちゃぐちゃなのでそのへんうまいこといっていません。朝は七時に起きてはいますがよく昼前後くらいに床で死んでいます。夜はなんだかんだで二時ごろまでいろいろ終わらないことが多い。ゼミを始めてしまったので夜遅くなるのはもうどうしようもない側面があり(別に毎日やってるわけではないはないんですが)床でぶっ倒れてないでちゃんと昼に昼寝の時間を作ることで調整しようと思います。朝は起きたいんだよ。というか、朝起きるようになっちゃったから、もう今更変えられないんだよ。まあ夏の真昼間なんて寝るためにあるような時間ですからフリーランスをせいぜい楽しむ形で昼寝昼風呂しようと思います(夜はなんかぶっ倒れてるうちに風呂を忘れる)。

 

noteは投げ銭フォーマットとしてよくできてるんですが、そしてみなさんさくさく投げ銭してくださるのとわたしがぱかすか更新するので実を言うと生活費くらいさらっと頂けているのですが、noteは結局フォーマットに依存していることになるわけで、そこでライフラインを担保するのはかなりまずいだろう、しかしブログで稼ぐという感覚がよくわからんし広告収入はギャグでやるんじゃない限りあんまり真剣にやればやるほど泥沼って感じするんだよな、などと思っていたところ、「鹿さん(※わたし)タイトル考えるやつやめちゃったんだっけ」と誰かが言いました。

ask.fmやってたころ、あらすじ投げたらタイトル考えるよという遊びをやっていたんですね。

無料でやるとまあめんどいのがまた来るかもだし、百円でいいよ一応有料ねとか言って、ショッピングカートサービス借りてきて、開業しました。

購入には住所登録が必要なので、「じゃあどうせ住所登録してもらうんだからそれ有効活用しよう、手紙書くよ」ということになって、タイトルと手紙で開業しました。あとおはなしもあったかな。あれはなんで置いたんだったかな。小説が書きたかったのかな。今扱ってないですがそのうちまたなんか執筆依頼フォーマットは用意するようにします。

 

「そんならあれもやってくれよ」

「これも前やってたじゃん、金取っていいからやってよ」

がめちゃくちゃいっぱい来て、今の状態になりました。今再構築中でいくつか下げてますがそのうち戻します。

君にジュースを買ってあげられるくらいの額になりました。おめでとうございます。こっちはショッピングカートさえあればできるので、BASEが沈んでも最悪自分で構築するか人に金を払って構築してもらえばよくて、体力の限り続けられると思います。というわけで毎日のようにSkypeをしたり一日に手紙を十通書いたりしながら暮らしています。

 

わたし多分人生相談やさんとしての能力が一番金銭的価値があって芸術や文学のほうはおそらくたいして金にならんだろうなと思ってはいたんですが、まじそうだな、と思いながら日々人に寄り添うことを考えて生きたりその裏で必死に埒もない芸術やったりしています。なるほどなあ……自分で人生相談やさんを開業したらよかったんか……まあでも萩の原ってフォーマット自体がインスタレーションアートじみてるところはある。体験型アトラクションていうか。

 

そのうち「おはなしランダムガチャ」を設置するよ。

 

 

床でぶっ倒れるのをやめたいです。二次創作同人やってた頃もよく床にぶっ倒れてたな……。

まあでも、あと、店に客が来ない時はnoteやればよくて、店が忙しいならそれでよくて、みたいなところでいまバランスが取れてるのでありがたいこってす。

塾を始めました

まあいつか始めるだろうとは思っていたよね……。

そもそも小説技法の話を一問一答ではじめたのは、ask.fmがきっかけだったと思うんですが、なんか延々と二年間くらい一問一答を続けまして(途中もう無理だと思ってブログでやろうとしてなかなかうまくいかず)、諸事情あって匿名のやりとりにうんざりし、撤収した結果、金銭の絡む形でやるしかないだろうという結論に達して、今に至ります。金が欲しくてやってるわけじゃなくて、いや、金は欲しいけど、インターネットの有象無象のノイズがやかましいからだよ!!

わたしがだれのせいでインターネットで金の話しかしなくなったと思っているんだ!

まあでも「金くらい払いたかった、今の状況は素晴らしい」と言ってくれる方だけ相手にしているのはたいへん楽でいいです。

 

ということでコースが松竹梅とあります。

Skypeセッション 一時間2600円

マンツーマンでお話を伺って色々相談に乗るコースです。人生相談とかなんでも可。事前予約制。

萩ゼミ 一時間1500円

Skypeが落ちない範囲内で(うちの回線だと何人で落ちるのかまだ不明)何人か集まって創作技法関係二次創作関係の講義やら軽い演習やらというのを想定しています。安いのは団体割引ですが、当面マンツーマンしか集まらなくても開講予定です。希望の時間帯を教えて頂ければ他に集まらないかどうかアナウンスします。

原稿督促メール 月額648円

わたしが忘れているか死んでいないかぎり毎日メールマガジンが届きます。メールフォームからご連絡いただくとだれそれさんは締切もうじきですね白紙何枚ですかとかアナウンスします。用事がない日はどこそこの印刷所のこのプランが気になるとかワールドトリガーのオンリーイベントがどうとか適当な雑談とウェブショップの広告が届きます。

あとメルマガ会員特典として自習室を開けています。他の予約やゼミの予定がない限り、メールに記載したSkypeの専用アカウントに13時~22時までログインしてますので、適当に声をかけてください。これは自習室なので特にアドバイスとかはありません。打鍵音と外国語のラジオと鳥の鳴き声が聞こえるだけです。どうせわたしはそこにいるんだから別に遠慮しなくていいよ……。

 

以上です。特にメルマガに関しては人が集まらないとコンテンツとしていまいちおもしろくないところがあるのでできればたくさんの人に登録していただければと思っています。

あとえーとなんだ……講師の紹介をしなくてはならない……哉村哉子(かなむらかなこ)と申します。20年くらい小説を書いています。去年同人誌を30冊くらい出しました。最短記録個人誌8時間合同誌5日。現場からは以上です。

昔話「感想とわたし」

同人作家に感想を送るということの続きですが、とりとめもなく自分の話をしてしまった。もっと「作家の方は感想とどう向き合うべきか」みたいな話をしようと思ったのに。まあいいや。ケーススタディだと思ってください。

 

ところでわたしはオンライン小説を読むのがメチャクチャ好きです。

オンライン小説に限らず素人の書いた文章を読むのがメチャクチャ好きで延々とググって延々とブログを読んでいることがあります。気に入ったオンライン小説はその作家のぶん全部読みますし、ブログはさかのぼれる限りさかのぼります。Twitterも文章が気に入ったらさかのぼれる限りさかのぼります。

別に「名文家」ではない人がほとんどです。内容にも共感できないこともある。でも好きです。

文章が文章であるというだけで結構好きなのです。そして文章に含まれる湿度とか体温とか呼吸感とかそういうものに惹かれて読んでいる。うまい文章が読みたかったら死んだ作家の本だけ読めばいい。わたしはうまくない文章、うまくないと言ってしまうと語弊がありますが、商業的にパッケージングされていない、むきだしの、本人が選んでそれを書くのを是としている、あるいは是とすらしていない自然のまま吐き出しているだけの文章が好きです。普段文章を書かない人の文章がずるずる読めるというだけでTwitterは存在する価値があるのでいいかげん金を払わせてくれ。

 

今も大概な量のブログやオンライン小説(pixivを含む)を読んでいますが、高校生くらいから二十代前半くらいまでは暇だったこともあり、めちゃくちゃな量読んで、めちゃくちゃな量の感想を送っていました。そしてある日唐突に同人作家に対して感想を書くことを諦めました。以降親しい友達にすら詳細な感想を伝えていることはあまりないと思います。

 

先のエントリでも何度も言いましたが、「送るな」とは一言も言っていません。

「人間は分かり合えない」って言ってるんだ。

分かち合うことはできるかもしれない。でも分かり合えない。

 

というのは「じゃあ感想送るのもうやめよう」みたいな意見を散見したからです。別にそう結論してもいいけどそうじゃないんだって。

 

好きな作家さんには更新即日長文のメールや掲示板の書き込みをするのが当然だったころのわたしは、当然自分のところの掲示板の書き込みやメールにも同じだけの熱量でレスを返していました。めっちゃ感想ほしかったし、今日の更新分どう思われるかなと思ってドキドキしてました。一個一個のやりとりが楽しかったです。当時オールキャラギャグをやっていたのでそれなりに舐めた書き込みもあったというか、「こいつ喧嘩売ってんのかな……」みたいな書き込みも頂きましたが、しれっと受け流して腹芸をかますのもそれはそれで楽しかったです。掲示板のレスでどれだけ面白いことを書くか姉と競い合うみたいにしてわいわいやっていたし(共同サイトでした)、ウェブ拍手が始まったらウェブ拍手のフォーマットでどれだけ遊べるかを考えるのに熱中しましたし、ウェブ拍手リリース前だったと思うんですが「通りすがりのものです! 大好き!」みたいなことがデフォルトで書いてある一言メールフォームをサイトに埋め込んで遊んだこともあります。インターネットが双方向で、どこかの知らない誰かとやりとりをしているということ自体が超楽しかった時代です。

受験生になって、大学生になって、忙しくなって、そういう熱量をキープするのがまず難しくなりました。掲示板いつ外したっけな。なんとなく、「ちゃんとやりとりできてない」ことと、「自分がだんだん気難しくなってきてて、というか、本来気難しいのに明るいキャラを装ってることの無理が来てる」ことが悲しかった。「メールを貰っても疲れててあんまり喜べない、疲れてるのにが先立ってちゃんとお返事ができない自分」が嫌で、性根が腐っていっているような気がしました。

「メールボックスを開く」こと自体が辛くなったのは同人とは関係なく友人と世にも凄惨なやりとりがありメンタルがずたぼろになっていたからでしたが、それに加えてものすごくささいなきっかけでウェブ拍手が荒らされて、今思うと別に全然幼稚な手口だったんだけどいろいろ疲れててぷつんとインターネットが無理になりました。20歳くらいの頃だったかな。サーチエンジンの登録を全部切って、日記とか作品分析とか全部消して、ブログのリンクをサイトに貼らなくなりました。そのうち貼るようになった気もするし、22歳くらいの頃にもう一回サイトをやるのが盛り上がっていた時期があって、長文メールのやりとりをしたりしてた時期もあったけど、それも個人が相手で、だんだん、「いろんな人がいるインターネット」が怖くなった。

24歳でBLを唐突に書き始めて、BLを書いている間はTPOがあっているかわからなくてめちゃくちゃ怯えていた。萌えましたと言ってもらえると村の一員にしてもらえた気がして嬉しくて、でも「一員にしてもらうために」書いてるだけのような気がしてきてどんどんよくわからなくなった。「書きたい」と「書くべき」と「書いたら褒められる」の境界があいまいになっていった。頑張ったら「正しい答え」が貰えるような気がしていたし、もう何を言われるのもなんだか怖かった。自分で合ってるか書きたいかわからないのに人に褒められてそれで嬉しいのかどうかもわからない。

 

歴史があるんですよ。

17歳の頃のわたしなら、どんな感想でも嬉しくてはしゃいだと思います。煽ってんのかな馬鹿にしてんのかなと思ってもヒュウと言って煽り返したでしょう。齢を経るごとに、自分の書きたいものが明瞭になっていけばいくほどに、だんだん「相手の文脈に則って感想を読み解いて返事をする」のがキツくなってきた。ギャグを書いていたときは少なくとも「笑ってもらえればそれでよかった」。そしてそれができなくなった自分がなんだか恥ずかしかった。でも自分にはギャグのセンスはないと思った。ラブコメのセンスもないと思う。でもギャグやラブコメを書くと褒められるし自分でも結構よくできているのではないかと思う、「優等生」だと思う、でも、「勉強しただけ」じゃないか、とも思う。なにが「良い作品」なのか自分でもわからない。誰に何を言われてももう全部ノイズに聞こえる。

 

という時期があって……28歳くらいかな……。

まあ今それほどこじらせてないですし、勉強して書いて何が悪い立派な才能だと思いますし、褒められたらアザースと言って笑い返すけども、28歳くらいの頃はわたし本当に「わたしを褒めるな、とくに、小説を褒めるな」ってずっと喚いてたし、今思うと自分に自信なかったんだなあと思う、逆に言うと今なんでこんな益体もないことばっかりやってるのに堂々としてるのかよくわかんないけど。

 

「わたしが書いているもの」に確信が持てていたころ、あるいは確信は持てないけど何かやりたいことがあることだけは誰かにわかってほしいと思っていたころ、「あなたはわたしにとってこういう人間だ」「あなたの作品をこう読んだ」と言われるのはすごく気持ちいいことでした。

たぶんそれが怖くなったのは、「わたしはわたしだ、ということを、わたし自身が決めないといけなくて、ほかのだれもそれを認めてくれないかもしれない」と思い始めて以降だと思う。「変な子」になんかなりたくなかった。みんなが面白いって言ってくれるような、誰が読んでも笑ってもらえるようなものがもっと書きたかった。でもそれを書けば書くほどわたしが遠ざかっていく気がした。そうしてある日疲れて泣きわめいて、「そんなに頑張る必要なんてないのに、やりたいことをやればいいのに」と言われて絶望した。「やりたいことをやっていたらわたしの書くものに興味なんかないくせに、意味もわからないくせに」と思った。「意味が分からない」と言われすぎていた。

 

どれだけ言葉を尽くしても意味が分からないと言われるのが怖くてたまらないので意味が分からない文章だけをいっそ書きたい。

つまり感想を書くことはできません。書き手に言いたいことが伝わらない感想を書くことは大抵の場合無意味だからです。

そしてわたしは作者相手ではなくインターネットにほそぼそと感想を垂れ流し、そしてばっちりその感想に対して第三者から「意味が分からない」と言われたのでありました。

 

 

伏線の回収……。

 

 

たぶん今でもわたしはわたしのことをわからない人に怯えていますよ。感想を貰って嬉しくないわけではないけど、怯えてはいる。誰のせいでもないんだ。

意味がわからないだけなんだ。

文章を読んで褒める商売

水曜限定バーゲンセール文章を読んでメッチャ褒めるという商売を始めた。わたしが水曜だと言った日が水曜だ。(※週中心が折れたときに類する状況でどうぞという意味です、別に水曜限定ではない常設商品です、そもそも今日は木曜です)

感想云々の話の続きというか、「じゃあ逆に言うけどとりあえずメッチャ褒めるサービスが実際あったとして君ら利用すんの!? それで何を言われるかわからないとしても!? 正直何を言われているかすらよくわからないとしても!? 何のために払った何の金なんだよと思うとしても!?」くらいの感じでキレ散らかしながら朝一で商品を用意したんですけどね。

 

楽しくてね……。

 

二万字二千円という価格設定は読む側の感覚としては破格です。なぜなら

  • 内容によっては長さにかかわらず何時間も食われる可能性がある(時給換算という概念が死んでいる)
  • 内容によってはものすごく情緒が不安定になって一日飛ぶ危険性を踏まえてやっている
  • 何があっても褒めると確約した以上何があっても褒める語彙を引っ張り出さなくてはならない

感想は200字程度ですが一字一句ちゃんと読んで至極まじめに書いています。それが欲しかった感想かどうかに関しては確約できませんしそもそもわたしの言っている意味が分かるかどうかすら確約できません。知らない人の書いた文章なんだからわかるわけがない。どういう意図で書かれたんですか、その点においてここはうまく書けていると感じられました、みたいな話をするためにはもっと何時間もかけて話し合わないとわからないしさすがにそれは二千円でやってられません。というわけで読んで「ここのポイントがとてもよかった、効果的だった、ここで感動した」みたいなことをお伝えするだけに絞っています。あとわたしの個人的な好みの話は極力頭のどこかに追いやっています。追いやらないとうっかり地雷を踏んだ時にキレ散らかして仕事にならないからです。

というわけでわたしのメンタルが死んだらこの商品は閉じます。リスクを背負い個という概念を消してひたすらに読んでおります。いや、全部おもしろかったですけど。

 

褒めるところがない文章というものはこの世に存在しません。存在するだけで尊いからです

ただその点を褒めることが道義上どうかとか相手にとって褒められたと感じられるかどうかは微妙というだけで……。

 

人の文章を褒めるのはとても楽しいです。

楽しいのは楽しいけどしかしこんなことばっかりやっていたら仕事にならない!

時間泥棒!

 

ご利用お待ちしております。

 

言っておくけどうちのお店はコンセプト優先で採算度外視すぎて手間のわりに全く儲かっていません。手間のわりに全く儲かっていないようなことをするのが好きなんだよ。わたしの人生そのものですね。

短歌連作を依頼していただきました

ハスミケイさんから、「おはなしのタイトル」経由のご依頼で、Kのイメージ短歌連作25首をつくりました。楽しかったです。転載の了承を頂いたのでここにも載せておきます。

 

「誰もいない世界があればいいのかな」こどものようなささやかな声

誰、という問いに百回零音を床にこぼしてはじまりとする

空襲のあったあとだねなんていう間投詞には風は要らない

オゾン層のない世界に行こうって真空パックに語り掛けてる

海ですと幼子に言うように言う 小さな小さな子供になって

手のひらを生まれて初めて触れ合った子供のようなうつむいた頬

まずいウソだったのですよ真実を告げるっていうこと自体がね

どこまでも行けるといいねと言いたくて言わないことが永遠になる

はるしおんくらいはわかる道のりではるしおんのかずをかぞえた

道のりに唐突にある青薔薇があなたのことだといま気づかずに

のど元にパッションフラワーのそり生え恥じらいがちな聖人の閨

ざらざらの嘘のなかった山中の問答のない背中を見てる

花の名をみっつ数えてそれ以外解けぬ謎のように塞がれ

ルール無用 まっすぐ見えるものだけの名前を呼んで 今 すぐに

きまりごとのない世界を胎内に呪いのように刻んだ香り

砂のあるところをゆけば道すがら足跡のない世界が残る

ズルのない友情も職も敬愛も 愛も 愛も 愛ならすべて

はじまりがくるみたいです身を伏せて声だけずっと聴いてください

温かいものをはじめて食べているような顔をしたあなたの現世

三日月のとがったところを折り取ってふたりで食べたような思い出

ようやくのことになったと靴音を立てて歩いてまた頷いて

ありとあらゆる床に零れゆく砂のかけらを追いかけてゆく

もう一回言ってみせてよ飴玉の作り方をいつ習ったの?

どこまでも続く旅だよ海よりも青い世界へまた収まって

手のひらをまた繰り返し触れ合わせ明日のぶんのチャージを終えた