おそ松さん関連雑誌まとめ(1)藤田監督&松原シリーズ構成編その1

おそ松さん関係の雑誌の整理を延々としているのですが全然終わらず、雑誌&ムックの中から、ひとまず藤田監督&シリーズ構成の松原さんの、「特に作品自体に関係ありそうなところ」を抜粋しています。一冊松原秀×櫻井孝宏インタビューが抜けていることに今気づいたけどどこにあるのかわからないので見つけたらあとで入れておきます。それ以外に漏れがあったら申し訳ない、たぶん買い忘れです。

引用が多すぎてどうなんという量になったのでわたしからの雑感も挟んでますがどうでもいいことしか書いてないのでそこはべつに読まなくていい。薄い色になってるところがわたしの雑感です。

最初は藤田監督だけでとりあえず分けようかなと思ってたんですが、藤田監督の単独インタビューって3回しかなくて、松原さんとセット(というか)の回が2回、+キャラデザの浅野さんが1回、ついでに松原さんは単独が5回、という……もういい! 藤田さんと松原さんでまとめればいいんだろ! と思ったのでこのようになりました。

内容としては、赤塚作品に対して恥ずかしくないような作品作りをすることに全力投球したこと、ここまでのヒット特に女性人気に関しては完全に想定外だったこと、スケジュールがかなり厳しい状況だったこと、「なんでもあり」の現場だったこと、あたりが共通の話題かな、という感じです。女性人気を想定してなかったのも意外だったけどスケジュールに関してもかなり意外な印象を受けました。赤塚作品への理解やキャラクターの生々しいキャラメイクあたりの綿密な準備をしてそうに見えた部分は、おおむね「スタッフが本当に得意なことだけに注力した」ことと「妥協のない打ち合わせ」によって生み出されていたんだなあ……。

2015/9/10 アニメージュ 10月号

特集「大人になっても6つ子」A4版1/3インタビュー

※アニメージュ5月号ふろくMemories of OSOMATSUSANにも収録

新番組紹介の2ページのうちの1/3の短いインタビューですが、藤田監督がゴリゴリの原作読者で、かつ原作から6つ子について広げていった話がしっかり語られています。かなり硬派な印象でコンパクトにまとまっています。

「自分の世代としては珍しく原作派です。小学校低学年の頃に、親戚の兄ちゃんから『おそ松くん』と『天才バカボン』を全巻譲り受けて、ずっと読んでいたせいで人生がおかしくなったというか(笑)。だから、今回のお話をいただいたときも運命というか、縁というか、やらざるを得んな、という感じでした」

「実は、原作をすごーくしっかり読むと、ちゃんと6人それぞれに個性が微妙にあるんですよ。それを拡大解釈しながら、できるだけ描きわけができるようにこだわってはいます」

 

2015/11/10 アニメージュ 12月号

特集「ふみこめっ! 6つ子の素顔!?」過激な6つ子の誕生秘話![シリーズ構成]松原秀 A4版1/2インタビュー

※アニメージュ5月号ふろくMemories of OSOMATSUSANにも収録

4ページの特集。松原さんと藤田さんの出会いや、食事中に「今度、『おそ松くん』をやることになるので、助けてもらうかも」と誘われた経緯が言及されています。シリーズ構成として加わった時点で6つ子ひとりひとりに個性をつけることは決まっていたとのこと。藤田監督のインタビューも参照した限り、6つ子に個性をつける発想自体は藤田監督によるもの、「6人の言動や細かいクセを固めていくというのは、僕に与えられた最初の課題でした」。

「フジオプロの方から「思いっきりやってください」と言われたので。赤塚先生の作品なので、とにかくおもしろいことをやるだけです」

「(藤田監督は)NGがない監督さんだなと思います。出したアイデアは絶対に否定から入らず、活かす方向で進めてくださるので、ライターとしてはものすごくノります。あと、お客さんのことしか考えてないです。究極のサービス精神おじさん(笑)。藤田さんが作ってくださる前向きな雰囲気が、『おそ松さん』の脚本の最大の武器な気がしています」

 

2015/12/28 Spoon.2Di 09

シリーズ構成 松原秀interview B4版3ページ

おそ松さん関係でははじめてのロングインタビューじゃないかな? こういうときにまず脚本が呼ばれるのかなり珍しいような気がするんですが藤田監督はもしかしたらあんまりインタビューがお得意ではないのかなという気もする。

スプーンは紙面が広いのでかなり長いインタビューです。深夜にダラダラしてるときに観て、何が起こるかわからなくてドキドキしてほしい、という発言がありますが、松原秀、後述のとおり人の心がない(笑)あと先のアニメージュでも言及されてましたが藤田監督に対する信頼が語られています。

「たぶん、普通のシリーズ構成の方って1クール12話の中で″3話まででこれをやって、4話5話でこれをやって……″というふうに決めていかれると思うんですけど、藤田陽一監督とお話して″『おそ松さん』ではそれをなくそう″と決めたんですね。もう何でもアリで、縛りはナシにしようと。なので、シリーズ構成を担当しているのですが、構成の仕事をしたという感じはそんなにないんですよ。構成を決めないことが構成でした」

「毎回何が出てくるかわからないので、テレビの前でドキドキしていただけたらいいなという想いがあります。(略)夜中だし、やっぱりみんなカチッとして観るわけではなく、ソファーでだらっとしていたり、コタツでミカンを食べながら観ると思うんですよね。そこをベースにした感覚は共有していると思います」

「よく言っているのは観ている人を”安心させたくない″ということで(笑)」

「(藤田監督は)究極にお客さん目線な方です。作り方がものすごく誠実で、お客さんを絶対に舐めない」

「本当にNGがない何でもアリな現場だなと思います」「何をやってもいいということは、何なら宇宙に行ってもいいといいことで。それはメリットだと思うのですが、たまにハードルにもなって苦しいです」

「″キャラクターを守りすぎない″」「もちろん、キャラクターたちがやりそうにもないことは描かないですけど。原作では、せっかく積み上げてきたものを平気で破壊することがけっこうあるんですよ。正直に言うと、キャラクターにいつもと違うことをさせるのって、とても怖いんですよね。それで嫌がられたらどうしようと思ったりもしますが、でもまあ、原作は『おそ松くん』なので」

 

2016/2/10 アニメージュ 2月号 おそ松さん特集号

特集「ナンセンスの天国」

※アニメージュ5月号ふろくMemories of OSOMATSUSANにも収録

おどろきのインタビュー! その2 監督 藤田陽一「とぼけた顔して赤塚スピリッツ!」A4版4ページ

藤田監督おそ松さん関係のロングインタビューとしては初。放映中に読んだときはかなり腹芸というかわりと適当なこと言うて躱してないかという印象だったのですが(笑)、もちろん放映中で言えないことも多かったんだろうけど終わったあとのインタビューと比較すると赤塚作品というビッグネームを背負って緊張なさっていた&単にまだ忙しい時期だったのではないかという気もします。

「(ヒットしていることに関しては)スタジオのなかで仕事ばっかりしてると、現実感が全然ない」

「シリーズ構成の松原くんも毎回アフレコに来ていて、キャストさんの演技を脚本にフィードバックしていく作業もうまくいってる感じがします」

「最初は(個性の出し方を)口で説明してもなかなか伝わらなかったけど(略)今はもう、(修正を)細かく入れなっくてもけっこううまくやってくれる感じ」

「こんなに脚本に時間をかけてる作品、ほかにねえよなあってくらい、脚本には時間をかけてる」

「『おそ松の憂鬱』は松原くんが最初にプロットあげてきてくれたのかな。『カラ松事変』も、松原くんがこういう話をしたいということで、ざっとプロットをあげてきたところで、『カラ松の話だったら、こうじゃないか』って、みんなでネタを叩いていった感じですね」

「赤塚さんって、『何がおもしろいんだろう?』って何周も考えた末に、『おもしろい/おもしろくない』じゃなくて、ルールを壊したり、普通じゃないことをすること自体が目的化していたりするじゃないですか。『笑える』っていうより、もう『ズレてる』『狂ってる』という領域に足を踏み入れているというか」「『とりあえず壊してみよう』ってことだけが、どんどん目的化していったようなところがあると思うので」「そういう世界を、せっかくのチャンスなので『おそ松さん』でも垣間見せることができれば、と」「自分も、小学校低学年頃に赤塚さんのマンガを読んでたんですけど、変な気持ちにしかなんないんですよ。(略)やっぱり、それが、『常識を壊していく行為』を目の当たりにしている感覚なのかなって」

「ギャグを撮るんじゃなくて、シチュエーションを撮りたい。おかしなことが起こっている空間の、空気そのものを撮っていきたい」

「オレ自身が本当にモテたいですね。そのためにも、これからも頑張って作ろうと思います」

 

2016/2/10 PASH! 2016年3月号 おそ松さん特集号

監督藤田陽一&シリーズ構成松原秀「伝説はここから生まれた!」 A4版1ページインタビュー

一ページにふたり分と短いですが、「この段階で伝えておきたいことはひととおり」みたいな内容だなと思います。「お客さんを驚かせたい」「喜ばせたい」というメッセージはインタビューで繰り返し出てきてますね。

松原「当て書きとまではいきませんが、映像で動いて、キャストさんたちの演技を受けて徐々に出来上がっていった部分もあります」

藤田「作品を作ることって、結局『コミュニケーション』だと思うんです。常にお客さんを意識しているだけですね」

松原「藤田監督とネタや構成を打ち合わせているときに考えるのは、『こうすればお客さんが驚くんじゃないか』『喜ぶんじゃないか』ということ。お客さんと会話したいんです」

藤田「作品作りもサービス業だと思うので。かといって当然、媚びるわけでもなく。純粋にみんなが気軽に楽しんでくれればという思いで作っています。だから女性人気は想定外でした。かといってもちろん嫌われるのはイヤですから、そこはデリカシーを持ってやっているつもりですけど(笑)」

 

2016/2/27 TV Bros. 平成28年2月27日号

シリーズ構成・脚本 松原秀インタビュー A4版2ページインタビュー

インタビュアーさんがかなり攻めたことを聞いていていつもと違う雰囲気があってとても面白かった。最後、「続編があるとしたら」と振られた松原さんが突然テンションが上がって、というかヤケになって「全然まったく問題ないです! あと8000パターンありますから!」とか言っているところで落としているのが本当に手馴れたインタビューだなという印象(笑)

『「個性をつける」というのは、いただいた課題みたいなものだったので、その次に考えたのは『関係性』でした。(略)僕はもともとコント畑からデビューしたんですけど、アンジャッシュさんや東京03さんのように、しっとり始まって関係性や展開で見せるものが好きだったんですね。それで『おそ松さん』でも関係性を意識しました」

「(インタビュアー:表現の幅として、『このへんまではやっていい』というのは、さじ加減を見ながら幅を広げていった感じですか? それとも、後先考えずに……。)いや、逆かもしれないです、僕と藤田さんで『面白いですねコレ』『みんなびっくりするんじゃない?』とか言いながら作るんですけど、原作の『おそ松くん』とか赤塚不二夫先生のラインにちゃんと到達してるかな……と心配になります。『自分たちは面白いと思ってるけど、赤塚先生のレベルからすると、ぬるいんじゃないか?」とか」

「『これで大丈夫か?』『パワーは足りてるか?』みたいなこと、本当に毎回思ってるんですよ。このタイトルはどうしても刺激の強い系の話が出やすいので、そうすると自分たちが作った過去の話が首を絞めてくるんですよ。『あっ、前回これやったしな……』みたいな」

「キリがないんですよね。あっという間に行き詰まって、ウケないゾーンに入っていく可能性もあるわけだし。なので、間でリセットするようなことはやっていますね。でも、『おそ松さん』はそれが効くタイトルでもあるんですよね。もうなんでもありなのが一番のメリットだから、尺が長くてもいいし、ものすごく短くてもいいし、今までとまったく別の話をやってもいいし。なので、あんまり一方向だけにグーンと上がらないように、一回ちょっと散らすというのかな、『こんなんもあるよ』みたいなことをやっておいて、その前のことをみなさんが忘れかけた頃に、またそれをやる……というようなパズルは多少意識しています」

 

2016/3/5 MdN 2016年4月号「[特集]おそ松さん 赤塚不二夫のDNAを継ぐものたち」

シリーズ構成編 松原秀 A4版2ページインタビュー

二次創作というか、女性人気、関係性萌え、というところに対する認識のズレと、そういうところになぜリーチしたかについての松原さんの自己分析の部分が面白い。あとほかのインタビューでも出てますが温度感のコントロールというかいろいろな雰囲気のネタをやることで視聴者を飽きさせない話も出ています。

「藤田さんに以前教えてもらったのは、表情や間の取り方で笑わせるのは結構難しいよと。リアルに比べて、どうしても情報量が少なくなるんです。(略)感情の「おもしろ」の時は、脚本を丁寧に積んでくださいと言われました」

「『恋する十四松』で言えば、タイトル通り、十四松が恋をしたっていうことが大切で、そのほかの部分はメインの話じゃない」「わからなくてもよいかな、と思っていて」「(「恋する十四松」には)裏設定のようなものがありますが、それはお話を作る上で必要だから作っただけなので、全部出すのは違うなと」

「全部ホームランを狙うと、きりがないんですね。それでは何にもやることがなくなってくるし、最後にはなにもウケなくなってくる。よくシナリオ会議で、『温度を下げましょう』と言うんです。一回、ハードルを下げるというか、熱を冷ましたりリセットしたりしてみる。それで、見る側が置いてきぼりを食らうような回ができたりしてもいい。これはやっぱり、どこかバラエティ番組の感覚に近いのかもしれないですね」

「(二次創作的な感覚については)まったくしてないです。(略)藤田さんと僕がそんなの作ったらクソ寒いと思いますよ」「僕には『関係性おもしろ』の地はあるんですよ、コントや漫才を作る時に。普段仲良くさせていただいてるアンジャッシュさんや東京03さんのコントは、人の生々しい内面が出てくるやりとりが多いですよね。僕はそれを『関係性おもしろ』としてコント的な要素として面白がってるんですけど、それがアニメの脚本になってこのキャラに載ると、関係性に萌える人たちに刺さるものになるのかなと」

 

2016/3/9 TV Bros. 特別編集 カルチャーブロス vol.2 「今、語りたいラジオの話」

松原秀(シリーズ構成・脚本)「『おそ松さん』の裏側に潜む「コント」と「深夜ラジオ」」A5版6ページインタビュー

雑誌の特集に合わせて、深夜ラジオのハガキ職人だった話、高校を留年して卒業後21歳でNSCに入るまで「(バイトはしてたけど)ニートみたいなもん」だったこと、芸人としての目標は挫折して構成作家に、「エンタの神様」で構成作家デビューという経歴が語られる。松原秀という「人物」についていろいろな知見があってよかったです。あとこう、なんというか「おそ松さんらしい」経歴だな。トド松によく似ていると言われるそう。「よく「心がない」みたいなことは言われます。そんなことないのになあ(笑)」

「(赤塚作品について仕事をもらってから勉強しても)たかがしれているじゃないですか」「結局、小手先で対応することになって、「求めていたのと違う。お前を起用した理由はそこじゃないんだけど」って思われる気がしたんで、それなら自分が身に着けた筋肉(ネタハガキやコントを指す)を思いっきり発揮しようと。アニメのスペシャリストが本当に凄いんです。だから、僕がやらかしてもどうにでもなるかなって(笑)。皆さんに助けてもらえるんで、自分の強いところを出して、アニメっぽくない違和感が出ればいいなと。で、悪い違和感は皆さんにフォローしてもらう。そういうところに落ち着きました。やっぱりカッコつけないでおこうって。できないものはできないですから(笑)」

 

2016/3/19 CUT 4月号 No.367 「『おそ松さん』2号連続特集第1弾! 第2表紙&描き下ろしイラスト

「超絶大好き!『おそ松さん』放送終了直前! 6つ子キャスト緊急アンケート 松原秀(シリーズ構成)×富永禎彦(プロデューサー)に訊く『おそ松さん』誕生物語」 A4版2ページインタビュー

※富永Pの発言に関してはまた別にまとめます。今回は松原さんの分のみ。

このへんのインタビューになってくると色々スタッフもどういう姿勢で作っていたのかという言及がけっこう出てきている感じがする。「どうしようもない彼らを好きになるどうしようもない人がこんなにいる世界は素敵な世界」、おそ松さんという作品の魅力の真髄という感じがします。

「僕が呼んでもらってチームに入れてもらった段階では、6つ子が大人になっているというのと、全員ニートで童貞だっていうのは決まってて。でもキャラはついてなかったんですね。なので最初に与えられた課題はキャラクターづくりでした。監督がよく言うんですけど『そこだけ唯一、隙があった』と。(略)6つ子は個々のキャラクターでいうと無色だったので『ここは掘れる』と。でも、それが決まるまでは――富永さんには初めて言うかもしれないですけど『どこで勝つんだ』と思ってましたね(笑)」

「『森のおんがくだん』『銀魂』の2タイトルでこれまで藤田さんとお仕事させてもらった時に共有できていたことがあって。今も富永さんと藤田さんと僕とでよく飲みにいくんですけど、話していると子ども時代とか若い頃に共通点があったり。『部活の時の理不尽な上下関係、あったよね』とか。モテなかった感じとか(笑)。笑うところも、もともと似てたんだと思いますね」

「なんかアニメのなかでも3列目くらいに控えていて、2列目の最前列まで上がりたいなと。だから精一杯、ふざけようっていう。本当に『ちょっと面白好きな人が観てくれれば』ぐらいの感じでした。爆弾落としてやろうとか、事件起こしてやろうとか、まったくないですね」

「なんで女の子に人気が出たんだろう。全然わからないですけどね(笑)」

「これが話題になって数字が残ったと言われた時に一番最初に思ったのは『本当に素敵な世の中だな』ということでした。(略)偉そうな言い方ですけど、これに受け皿があるって素敵じゃないですか」「彼らはどうしようもないですけど、彼らのことを好きになる人もどうしようもないはずなんですよ(笑)」

 

2016/3/23 an・an 2016年3月23日号「幸運の女神の前髪は、一瞬でつかめ! あなたにも必ず訪れる、運命の出会い」

「シリーズ構成/脚本 松原秀インタビュー」A4版1ページインタビュー

内容としてはほかのインタビューと被ってますが、まあなにしろan・anですからね! なんで!? とファンだって言っていたよ!

「僕はもともとお笑い番組の脚本などを書いていたんですが、登場人物に役割をつけてくという意味では、コント台本の登場人物を考えるのと似てますね」

「12話のアニメを作る場合、普通は最初に12話分どんな話をやるか、おおよそ決めるんです。でもこの作品は、最初に監督が『縛りなし、なんでもあり。気楽に作ろう、くだらなくていいんだ。だって赤塚先生の作品なんだから』って言ってくれた。だから毎回、『次何やる?』ってゼロから考えて、好きなことができる。これってかなり特殊な作り方だし、すごく楽しいです」

「冷静に見ると、ニートだし童貞だし正直全然モテ要素ないキャラ。しかも作ってる僕や浅野さん、藤田監督、全員おじさんで、かわいいキャラを作る引き出しはないはずなんですが…。でも、浅野さんの描く絵は本当にかわいい。だからこそ、クズなエピソードとか下ネタとか、そういうものをぶっこめるな、とは思いましたね。いい意味で、そのかわいさを利用させてもらおうかな、と」

 

2016/5/15 『TVアニメ「おそ松さん」ファンブック われら松野家6兄弟!

製作陣ぶっちゃけ鼎談 監督藤田陽一×シリーズ構成・脚本松原秀×キャラクターデザイン・作画監督浅野直之

※浅野さんの発言に関しては別にまとめます

キンドルで買えます!(たぶんほかの雑誌も買えるのがあるような気もするんですが確かめてなくてごめん!)『森のおんがくだん』みたいなものを作っている人が「バンドやろうぜ!」って超雑にインタビューを締めているの本当にどうかと思うというインタビューです(爆笑しちゃったよ……)。なおインタビューは居酒屋で行われた模様。このあとのan・anといいそういうことは一般的に行われるものなのか? というか藤田監督をインタビューに引っ張り出すのはそんなに困難なのか?

藤田「いろんなタイプの話を作って、思いつく限りやりましたね。反響どうこう以上に、『赤塚先生の作品を扱っているからには、最低限の結果を出さなきゃいけない』という重圧から解放された感覚はあるかもしれないです。若い人たちに赤塚作品の名前を覚えてもらうために、なりふり構わずやったので。それが自ずと作品のコンセプトにも繋がったのですが」

藤田「(キャラの設定を)焦って完成形で出していたら、最初から“できすぎたもの”になったと思います。今回はそんなに決め込まずにやろうと思いました。基本的には赤塚作品ですし、1話完結のこんとなので、それを成り立たせるために個性が必要なのであって。逆に、個性ありきでモノを作っちゃうと良くなかったと思います」

松原「今っぽさを出すのは最初の段階から共有されていましたね。『ノスタルジーに寄せてはいけない。それは赤塚先生がもっとも喜ばないことだから』と」

藤田「(絵に関しては)ちゃんとオリジナリティがあるものでなければダメだという想いはありました」

藤田「結果的にスケジュールがなかったことで、いろんな部分に相乗効果が生まれて」

藤田「いわゆるアニメキャラじゃなくて、どっかで会ったことがある感覚。浅野さんのデザインにしても、松原さんのダイアログにしても、「どっかにこういう人いるんだろうな」っていう生っぽさが、デフォルメされた世界だけど地に足がついた感に繋がっていて。ちゃんと体験から起こされているのは大きい」

松原「僕たちが監督と6つ子について考えていることって、作品上ですべて見せているわけではないんですよね。全25話のなかで、その一端が見えている形なので。だから視聴者からすれば、「えっ!?」って驚く瞬間はあるかもしれないです。でも、全てを丁寧に『こういうキャラクターですよ』と見せるものでもないと思うので」

 

2016/5/18 an・an 2016年5月11日号「日笠雅水さん特別監修 恋のお悩み、仕事のモヤモヤ、Q&Aで解決します 教えて、手相!」「16ページSPECIAL BOOK おそ松さんがやってきた!」

「シリーズ構成、脚本 松原秀 監督 藤田陽一 深夜の電話、熱海で合宿…。今だから話せます! おもいっきり“松トーク”inおでん屋。」

酒を飲んでいる……ビール片手にって書いてあるけど日本酒も飲んでいる!(写真が載っている)藤田監督と松原さんがビールジョッキ片手に楽しそうに歓談しているかわいい写真が3枚! 内容も延々と藤田監督が松原さんの脚本を褒めていたり、時々話題に出ていた「ふたりで食事をしているときに藤田監督が松原さんをおそ松さんに誘って」の舞台が「上井草のバーみたいな店のカップルシート的な席」だった話や、秋に煮詰まりすぎて熱海に行った話だったり、いや、最後の話は「こっちが思ってたよりぐちゃぐちゃな現場だったんだな」という感じですが(毎日のようにメールや電話でやりとりをして週に3回以上打ち合わせをしていた話とかも)全体的にわいわいとした楽しそうなムードのインタビューでなんというか、資料としてどうというより「おふたりが楽しそうで元気そうでよかった! おつかれさまでした!」という感じなので抜粋はまあ、いいかな……。

最後に「気が付くと三年会ってないとかありそうですよね」などと松原さんが仰ってますがこの時点ではおそ松さん二期の話はおそらく出てなかったんだろうなと思うとほほえましいと同時に「きつい仕事を再び、おつかれさまです、楽しみにしております……!」と頭が下がる思いです。

 

2016/6/29 pen+ 「完全保存版 いまだから、赤塚不二夫」

藤田陽一インタビュー「思いつくものは、すべてやり切りました。」A4版4ページ

特集内容に合わせて、赤塚作品をどう意識したかについての言及が多いですね。赤塚作品に対して思い入れの深い藤田監督の熱い思いが感じられるまじめなインタビュー。

なお「シェー教の崩壊」は赤塚不二夫還暦&漫画家生活40周年を記念して1995年に制作された、1995年の「地下鉄サリン事件」で一躍有名となったオウム真理教を題材にとったと思われる作品。『泉麻人『シェーの時代 おそ松くんと昭和子ども社会』によると赤塚作品中最後の「シェー」が描かれた作品、だそうです。

「今回一番警戒したのは、リスペクトとノスタルジーだったんです。もちろん僕も、赤塚さんという偉大な方にリスペクトは持っています。でもそれは面白いものを作るには必要ないんですよ。ご本人もご存命だったら、そういうものは求めていないだろうと思いましたし……」

「(30分1本ネタを作るのは時間がかかるので)あの最終回ですら、年明けから週3~4回の打合せを3週間くらい続けて作ったので」

「(原作回では)「こじきロボット」なんかはどうカスタムしてもなかなか関係者のOKが出ませんでしたね(笑)」

「今はスターシステムに対するリテラシーがなくなっているような気もするので、スターシステムをやるのは義務というか、ある程度キャラクターが認知されたらちゃんとやらなくてはと思っていた部分です」

「2クール目はお笑い、麻雀、ヤンキー、カンフー、それに野球と、昭和のボンクラが好きなものしか並んでないですよ」

「『おそ松さん』は、赤塚先生が還暦の1995年に描かれた短編『シェー教の崩壊』にすごく影響を受けているんです。あのタイミングで新興宗教をいじるという攻めの姿勢。そういう原作者を前にすると、「こっちは何ができるんだ」ということを突きつけられますよね。だからこそ「思いついたらやるべし」という姿勢で取り組んだんです。そうでないと失礼ですよね」

 

2016/9/25 サンデー毎日 2016年9月25日号

特集「おそ松さん」は、文学である!

「『おそ松さん』脚本・シリーズ構成 松原秀×小説家 柚月裕子 Wクリエイター120分徹底対談! 結論「面白さ」に正解なんてない」B5版3ページ

※松原さんの発言のみまとめています

ハガキ職人としての松原さんの話を結構突っ込んで言及されています。おそ松さんの打ち合わせの現場では「人の言ったことを拾う、ネタを拾ってきてまとめる」という方向の作業をけっこうしていた印象のある松原さんの原点という感じ。

「僕は『笑わせる』より、『笑っている』のが好きだったんですね。だから、『一番面白い人』になりたいとは思っていなくて、『一番面白い人』の横でケラケラ笑っていたいタイプでした。(略)中学生になってから、お笑いにハマったんです。特にナインティナインさんにハマって、中3の時に『オールナイトニッポン』に投稿するようになったのがそもそもの始まりです」「とにかく目立ちたかったんです。だからペンネームでなく本名ではがきを出していました。有名人の方が僕の名前を読んだり、僕のことをいじってくれたりしたのがうれしかったし、まわりも『読まれてたな』とちやほやしてくれて、それが嬉しかったんです」「その頃は毎週20通をノルマにしてましたね」「ナイナイさんをテレビで見て、お二人が気にしていることとか、芸能ニュースを見て『この件は面白がっているだろうな』とか、ナイナイさんが笑いそうといいうものをベースに、ネタを拾っていました」

「僕は一人で作れない、共同作業でしか作ったことがないんですよ」