インターネット腐女子フォークロア「上原あい子さんとわたし」

上原あい子さん(以下うえくん)はわたしの友人で、合同サークル「もろとも」を中澤ユーハイムと雪原ゴンチャロ子名義で共同運営している、いわゆるところの「相方」です。わたしが人生で二度目にパートナーシップを得た相手であり、ちなみにそのひとりめは姉なので、他人としては最初の人です。

うえくんとはワールドトリガー(葦原大介著・週刊少年ジャンプ連載中)の二次創作に関係するコミュニティを通じて知り合ったのですが、ここで重要なのは「コミュニティを通じて知り合った」のであって「ワートリ二次創作を通じて知り合った」わけではないという点です。一昨年の八月の話なんですが、当時我々の間には複数の共通フォローイングがおり、うえくんとわたしは実はその共通フォローイングのネタ振りに対して全然無関係な場所で同じネタについてぶつぶつ言っていたことがありました。これがなかなか愉快な展開を迎えるのですがそれについては後述します。

 

さて、先ほどのエントリで触れましたLDCというコンテンツですが、もともとはフォロワーBL化の悪ふざけでした。こちらのトゥギャッターまとめにもある通り、通りっていうか全員名前がおかしいですが♡さんと身辺整理さんとあしもとスベリさんはわたしとうえくんの共通フォローイングで、深夜にキャッキャと悪ふざけをしていて、唐突に登場しているミナシくんというのはわたしの当時の別名義ですややこしいなこの話! わたしは当時佐々田端束さん(ささだ・はなつかさん、友人です)に悪ふざけ交じりで粘着していて(当時は本当にごめん)、それがここでネタにされているわけですが、ふと起きたらわけのわからない世界に巻き込まれていたかわいそうなはなちゃんは「ええいわたしだってやられっぱなしじゃないぞ! 出てこい友達! 上原さん!」と魔法の呪文を唱えて、はなちゃんの供述によると「そこそこ共通フォローが多い人でこういうのに巻き込んでも怒らなそうだったから」という理由でうえくんだったらしいんですが、

そんなわけでわたしとうえくんは「フォロワー男体化BL企画のネタ元」として知り合いました。

わたしがうえくんをうえくんと呼ぶのはそのようなわけです。上原さんが「男の子」だった頃の名残です。

 

LDCというコンテンツはこの8/25深夜から思わぬ拡大を見せメンバーを増やし長編小説が書かれ冊子化に至り今グッズを作って売ろうという方向で動いているのですが、ともあれうえくんとわたしはそのようにして出会いました。

 

その後の展開としては、当時人の本の表紙を勝手に作るのが趣味だったわたしがうえくんの本の表紙をぽいと投げ、そしてわたしが(うえくんにもほかのみんなにも一切黙って)唐突にその本の初売りの会場に現れてうえくんの隣のサークルで売り子として座っているというドッキリを仕掛けるというハプニングや、うえくんの新刊の文章チェックをほいほい請けて「アッ今度の新刊地雷CPだ!!!!!」と双方あとになって気づいて冷や汗をかくというハプニングを経て結果的にそのCPと和解して本まで出してしまうといったいい話や、わたしが「ああもう疲れたアホみたいなBLが書きたい」と口を滑らせた瞬間うえくんが「出水受だったら委託置くよ!!!!!!!!!!」と言ったためにわたしは結果としてすごい量の出水受を書いてわたしの本命CPはいったい何だったかわからなくなるといったミステリーがあるのですが、

うえくんとの話の白眉はそこではありません。

 

一昨年の年末、青春十八切符が余るなあという話をしていたところ、うえくんが「じゃあうちおいでよ! でもわたし年末年始は家にいなくて、一月最初の日曜にイベントで、4日から仕事はじめで、原稿がまだ終わってないから、3日に来て原稿合宿ね!」と言いました(だったと思う、5日から仕事はじめだったかもしれない)。わたしは電車に乗って広島から名古屋までとことこと出かけていき、ついたのは夜、その夜うえくんとわたしはだらだら酒飲んで寝ました。

翌朝、うえくんは言いました。「初詣に行こう」締切を抱えているのはわたしではありません。我々は初詣に行き、うえくんはわたしにロボニャンの水笛を買ってくれました(「光る方が600円で光らない方が500円」「水笛が光る意義とは……」と言っていたらうえくんは「俺が金を払うんだよ! 光る方がいいに決まってんだろ!」と言いました)。初詣から帰宅する途中でうえくんは言いました。

「鹿ちゃん、ゲスト原稿を書いてもいいんだよ」

「いいよ、でもそれならうえくんの原稿に合わせたほうがいいからその原稿は明日書くね」

「ヤッター、でも今日は付き合ってくれないとだめだよ」

というわけでわたしはこの日pixivをえんえんと更新していました。うえくんはたしか19時からはじめて五千字くらい書いて我々は寝ました。

翌日からうえくんは仕事でした。わたしは起きてうえくんと共に出かけ、名古屋モーニングを愉しみ、共通フォロワーさんと会って遊び、万年筆を買い(この店でうえくんはのちにクリアーキャンディコレクターとしての第一歩を踏み出すのですがそれは別の話です)、そして夜になってうえくんは合流して我々は手羽先を食いに行きました。名古屋ですからね。

うえくんは生ビール行きました。

締切をかかえているのはわたしではありません。

そしてうえくんは帰り道、言いました。

「鹿ちゃん、いっぱい書いたら合同誌になるんだよ」

 

さて、問題のこの本の企画は8月頃から動いており、いろいろあってずれこんでいたのですが、つまり、8月、わたしとうえくんが共通フォローを介して話していた「アートアクアリウム出水」の話がこの本です。

更に、この本の表紙担当のまがりちゃんの進捗管理を、この年末わたしは、何故かなりゆきで、だらだらSkypeでやっていました。

おおもとのネタを振った伊藤さらばと、このとき名古屋で一緒に遊んでいた音さんも含め、全員LDCメンバーです。

 

伏線の回収ー!

 

本は出ましたが、「序章と最終章は上がった」「間を詰めます」「エピソードが何個いる」「わたしがTSUTAYAに行くシーンを書くから」「じゃあそれ回収する」「タイトルがジオラママーメイドだからジオラマ出すね?」「はーい」「TSUTAYAが横倒しになるんだけど」「直しといて」と、ノートパソコンふたつを向かい合わせにちゃぶ台に座ってその場でリアルタイムにネタを詰めて書きました……。楽しかったです……。

「次はちゃんとした合同誌を出そうね」と言ってから一年、結局出した合同誌は一年でふたりで出したのが七冊+みんなで出したのが一冊+上原さんのところにゲストが一冊、あとLDC。

 

この話を一通りしたあとでふと振り返るとなんとなく「うえくんがすごい暴君」に見えてしまう現象というのがありわたしの語り方におそらく問題があるのですが、うえくんはジャイアンではありません。わたしがドラえもんです。あとうえくんが少女ポリアンナで、わたしが、えー、ポリアンナに諸々される側です。わたしはLDCらへんのみんなとか、あと鬼火さんらへんのみんなとかと知り合う前、オンオフともに相当殺伐とした生活を送っていたのですが、うえくんがこういう感じでガンガン来た結果「友情は最高!」という状態にまで回復したので、うえくんには恩があるのである。人間力ですね。

 

以上美談でした。なんでこの話をしたかというと、「腐女子百合が書きたい」「しかし政治的にいろいろと障りが」「とりあえず腐女子の話を書くか……」といった経緯でした。うえくんはいい奴だよ!

ちなみに、うえくんとわたしのカップリングは、基本的に被りません。まあ些細な問題だよ。