修羅場のケーススタディ あるいは5日合同誌の話

腐女子のためのライフハックコラムをnoteでやってるんですけど、このタイトルで修羅場の乗り切り方を書こうと思って、

 

「あまりにも特殊な例すぎる……」と思って……。

 

あまりにも一般化しづらすぎるだろと思ったので、コラムとして投げるのどうかということで、ブログに書きます。同人生活は仕事や学業との兼ね合いに気を付けて用法要領を守って適切に行いましょう。

2015年のわたしはどうかしていました。

2014年~2015年に作った同人誌

ご覧のとおり頭がどうかしています。一年に出す冊数ではないし、月に三冊とか出しているし、五冊出してる月もある。一冊当たり一万字~なので(合同誌の場合ふたりで二万字ひねり出せば20ページの本にはなる計算です)実を言うと字数的にはそんなに書いてないと言いたいんですが厚い本は八万字あるし、この合間にpixivを、えーと今見たら三百件くらい更新している(pixiv更新用は一時間以上かけないと決めていて、わたし叩けるときは一時間六千字ペースなので一本千~六千字くらい)。いくら就活すらろくすっぽしていなかったとは言え「暇なのか?」では済まない量です。というか印刷費もそうだけどよく遠征費用があったな。

 

小説技法関係もそろそろいい加減もう一回ちゃんとまとめないといけない(旧ブログにちらほら書いてあります)と思うんですが、わたしの同人誌の作業としては、

  1. 企画を立てる
  2. プロット
  3. 本文
  4. 編集と校正

がワンセットでした。

1、企画を立てる

  • ネタ出し・コンセプトの決定
  • 同人誌の版型を決め、出すイベントを決め、印刷所を決める(順不同)
  • 同人誌のタイトルをつけて表紙を作るもしくは発注する

ここまでが「企画」。

『ルミナス』の話をしよう。この本は月曜にジャンプが来て火曜に企画を立てて金曜に入稿して日曜に頒布した本です。合同誌なんですがこの本は合同誌としての意見のすり合わせみたいなものが全く必要なかった(既に共有概念が成立していた)のでまあ合同誌だということは忘れていい。個人誌の進行と大差なかった。

ネタ出し段階で決まっていたのは「もしもボーダーで角移植技術を取り入れることになって荒船がその被検体に立候補するとしたら」で、当然「荒船はエネドラと同じ顛末を辿ることになる」が規定路線で、ここまでが共有認識。その上でテーマとしては「人間の死とは何か」で、「人間の手触りのある本」を作るということで、「視覚に訴える紙面構成」でやりたいということをわたしから申し入れて、それを踏まえた上でイラスト漫画班にも近いことをやってもらっています。わたしが既に視覚情報に訴える文章本(『まさかさかさま』を出していたのでイメージが共有しやすかったというのはかなり大きいと思います。

「直近のイベントにスペースがあるからそこに突っ込む」が目標だったので、とにかく印刷所を押さえられるかどうかが最大の焦点で、結局栄光さんの当日スタンダードに滑り込ませました(お世話になりました)。締切が遅いというのもありますが栄光さんはこういうざっくりした質感の本を作りたいとき向いてるという認識です。栄光コミックという本文用紙が好きなんだよ。

B5の小説本が作ってみたい、というのもひとつわたしの目標としてあり、そういう一般的ではないことをやる機会としてこういう「本文を読ませることそれ自体が目的ではない本」はチャンスではないかということでB5で作るよもわたしが言った気がする。B5本というか、「本文の量に対して余白の多い本」がやりたかったのです。これはまたやりたい。

表紙はひずみさん(言い出しっぺ)が描いてくださって、あとこういう写真素材を用意して、タイトルはこれまどマギですけども、「ものすごく明るくて、ものすごく絶望的で、何も伝わらないし表紙の雰囲気と何も合っていない」みたいなイメージでこのタイトルにしました。その上で、「人類の未来は明るい」みたいな意味。

ここまでで火曜。

 

2、プロット

ルミナスは企画の時点でプロットが半分くらい決まっていたようなものではあったし合同誌なのであとは各自自由にやってくれという部分は大きかったのですが(実際「好きに書いて!」以外伝えずに投げたらなんか全部パーツが揃いましたみたいになりました)、わたしの担当した範囲のプロットだと、「角の話をするんだからヒュースと諏訪という『荒船本人とは関係ないエネドラ関係者』の話を入れなくてはならない」と「こういうコンセプトの本である、という屋台骨の部分はわたしが書かないといけない」がわたしのなかでは決まっていて、その上で「人類の限界と絶望を踏まえた上で、前向きで、明るい話にすること」というルールがありました。

わたしはプロット作業が一番苦手です。この本は外注できる部分が多かったので小説を書く作業自体は極めて楽でしたが、プロットに詰まるとよくファミレスに行って出来上がるまで帰れないをやっていました。

 

3、本文

ここ二年近く、小説を書くときは即興小説(か即興二次小説)に30分(とりあえず勢いをつけたいとき)か一時間(多少呻かないと出てきそうにないとき)で入って、一時間五千字×何回で叩きだしています。書くのはまあ書けばいいから……。

ここまでで水曜。ていうかたしか水曜から職業訓練校が始まったはずだ。行きのバスでプロットを立てて、学校帰りに必要な文房具を買って、帰ってパソコンを叩いたんだな……。

 

4、編集

びっくりするほど時間が吸い上げられていくのが編集作業で、Wordというソフトはどうしてああも言うことを聞いてくれないのだろう。DTPソフトをいい加減買うべきではないかと言いながら結局今もWordを使っています。スキャナも欲しいんだよね……。

学校に行って帰って上がってきた原稿を読んでレイアウトを組んでこうなったよと連絡を入れて今晩徹夜するから大丈夫だから何時まででも待つからと声かけて細かいところをひたすら直して寝ないように見張っててくれとSkypeを呼びつけてスキャンしてもらったりいろいろ……みたいなことを……やってるうちに朝が来て入稿して終わった。金曜は学校が休みだった。徹夜明けに祖母の見舞いに行った。本は出た。

 

 

みたいなことを何冊も何冊も何冊も……。

もちろんこれは極端な例ですが何をそんなに頑張らなくてはいけなかったのかよくわからないが楽しかったです……。イベントが毎月あるのがいけない!(※出るのがいけない)

 

という前提において(※ここまでは前置きでした※)原稿中のおともにこういうのがよかったみたいな話をしたかったんだよ。

まず原稿中は睡眠時間を削るしかなくなるということはよくあると思うんですけどできれば寝よう。寝ることが可能なスケジュールを組もう。ということでまずスケジューリングが問題になり、「この原稿をやるのに何時間・何日かかるか」「その時間を確保するためにはいつから原稿を始めるべきか」をきっちり算出するのが必要ですが、手が早くなったからといって「まだ出せるな?」とか言うようになるまえに同人誌を出す以外のことが人生にはたくさん必要だということも思い出そうね……。

で、それでも睡眠時間を削るしかなくなったときカフェインが登場するわけですが、わたしは若いうちにカフェインを過剰摂取しすぎてカフェイン酔いがひどいので、できる限り飲まないように気をつけています。完全に禁止していた時期もあったんですが、一日一杯まで、それもできれば毎日は飲まない、というルールで運用しています。よく飲むのはリフレッシュ系のハーブティー、ミントならけっこうその辺のスーパーでも買えるのでよくペパーミントミルクティーを飲んでいました。ハーブティーのおすすめのエントリもそのうち書こう。

どうしても眠い時は仮眠の直前にカフェインを突っ込んでバタッと20分くらい寝るとスッキリ起きられていいよ! って現役の編集者さん(お疲れ様です……)に教わって一回だけ実行しましたが超命の前借りって感じでスッキリしました! このあいだライフハッカー読んでたら書いてあってフフッて思った……。

あとわたしは「深夜に炭水化物を摂ると眠くなるからタンパク質を摂るようにする」からスタートして(これは完全にただの体感です)「炭水化物を摂らないほうが眠くならないのでできる限り摂らない」をしばらくやっていて、原稿中は効率が良かった気がするんだけど、その後普通に炭水化物を食べようとしたら食後昏睡状態レベルに身動きが取れなくなるようになったので、あんまりこう……勧めない! 普通に食べた方がいいと思う!

 

健やかに食べて寝て無理のないスケジュールで同人誌を作るのが一番いいと思う!(※当たり前である)

 

あとぎりぎり入稿の時ってデータ不備がないかどうか全く把握できないので密に連絡を取ってもらえる印刷所にそういう時こそ入れた方がいいよね……と思います……。わたしは金もないし締切の余裕もないし部数が出る気もしないけど自分に確信も持てないときはブロスさんに入れています……。同人に慣れてくると安いかどうかとかオプションが多いかどうかとかじゃなくて何も考えなくてもどうにかなると信じられる印刷所に入れるよね……美容院と一緒だよね……。

 

ポイントは

  1. 最後まで走る体力と精神力を自分に問う
  2. 日数計算をミスらない、あとできればネームやプロットをやり直さないで済むように祈る
  3. 普通に寝て普通に食べて大丈夫なスケジュールで生きる努力をする

 

じゃないかなと思います! みんながんばってね! 週刊ジャンルは魔窟……泣きながら締切三日前にネームを切りなおす猛者を何人も見た……(みんなよくやるよな……)。