2023年にサイボーグ009にハマっている

はじめに

リバイバルが流行っているので古い作品にハマること自体は昨今別にそんなにめずらしいことではないような気もしますが、2023年にサイボーグ009にハマってBLのカップリング小説を書いています。

その経緯を記録しておこうかな~と思いました。

告知

同人誌も作りました。

2023年5月4日SUPER COMIC CITY 30 東1ホール ケ49a「月刊かびや」にて新刊4冊ご用意しております。詳細は別エントリにて。

経緯

思い出のこと

前回サイボーグ009にハマっていたのはたぶん2002年です。

2001年版アニメ(平ゼロ)から入ったのですが、完全なリアルタイムで観られる環境じゃなかったと思う、たぶんアニマックス(アニメ専門の有料チャンネル)で観ていたはずなので、2002年から2003年にかけて観ていたのではないかと思われます。

わたしは20代に入ってから精神疾患で過去の記憶が大分飛んでしまったので、十代の頃のことをあんまり覚えていないのですが、ここ数ヶ月必死で当時の記憶を取り戻そうとした結果得た情報は以下の通りです。

・イワン・ウィスキー氏がとにかく熱烈に好きで、乳幼児の身体感覚について調べたり、イワンの二次創作をぼちぼち書いていたはずであるということおよびその内容(ハインリヒとイワンがお散歩に行く話とか、イワンの両親の話とか、改造初期イワンとジェットだけだったときの話とかを書いていたので、記憶の再現をいずれ書きたい気もする)

・昔書いた夢小説がひとつだけ残っている→「おめでとう」(※他のナンバーズは死んでる設定っぽいので注意)

・イワンの二次創作を欲する余りありとあらゆるサイボーグ009の二次創作サイトを見まくっていたので、当時ウェブ上に存在したものはひととおり読んだはずであるということ

・高校2年生のとき(2002年)、課題で書店にインタビューに行ったときついでにサイボーグ009原作コミックの買えてない巻を探していたら、教師に若干とがめられ、おお、このような名作コミックであってもとがめられるのか……と思ったこと(今思うと買った本がどうというより一応授業中だったからでは……)

・「自分はサイボーグ009で特別気に入っている組み合わせがあるわけではないのだが、しいていうなら7と6(グレートと張々湖)だと思う」という趣旨のことを日記に書いた覚えがあるのだが、そのわりに76の二次創作を読んだ覚えがないというか、これは! と思った覚えがないので、目立った活動をしていた人はその当時は少なくとも見つけられなかったのではないかということ。なお当時は4+3の疑似兄妹っぽいのを書いてらっしゃる方が特に好きだった覚えがあります。

・原作の「変身編」がこの20年間滅茶苦茶に好きで、サイボーグ009の思い出が風化し原作も実家に置いてきたので手元になく長らく読み返していない状態でもこのエピソードだけは覚えており、というか「サイボーグ009における自分にとって重要なエピソードは、グレートと張々湖がなぜか一緒に住んでいて、グレートが女の子と劇をやり罪悪感でクチャクチャになる話」であるということだけが記憶に残っていたこと。しかし「父と子編」と頭の中でごっちゃになっており、自分の頭の中では目の見えない女の子を騙す話になっていました。元々の「変身編」よりいっそう悪い気がするな……。

2023年冬のこと

2023年1月、わたしは仕事を辞めたりとか、書いているゲームシナリオの進捗が悪かったりとか、そろそろ確定申告しなきゃで焦ってたりとかで、とにかく疲れていた――

たぶん1月末の限定だったと思いますが、YouTubeで平ゼロの最初の方を無料配信していて、なつかしくなり久しぶりに観たのが1/30のことです。4話くらい観たんだったかな。

1/31にはもうグレートと張々湖の話をしているので、この1日で完全に覚醒しているのですが、平ゼロの何がというより(平ゼロはこの2人のコンビエピソードをかなり丁寧にやってくれているのはそうなんですが)前述の通り「変身編」を20年間噛んでいて、噛んでいたという事実に急に直面したのだと思われます。

Twitterにも1/31に「グレートと張々湖の『永遠に特に何事もないくたびれたおっさんで前にも後にも進めず展望とかもなく、別に深い愛とかですらない』が人生にすごい勢いで突き刺さってしまったままここまで来た気がする」って書いているし……。そうですね……突き刺さっていますね……。

2月はずっと張々湖の人種ステレオタイプ的な描写をどう処理したら差別的でない二次創作ができるのか考え続けていて、答えが出なくて、二次創作はしないかも~と思っていた。二次創作を……するか! に踏み切ったのは、平ゼロでかなり張々湖のステレオタイプを払拭する努力をしている(全廃はしてないにしろ頑張ってはいる)というのに気づいたからなので、平ゼロにめちゃくちゃ感謝があります。ありがてえ~。というか20年前のアニメなのにえらいよ……。

同人活動のこと

「同人女」を一度やめたこと

わたしは2001年くらいから2016年くらいまでめちゃくちゃな量の二次創作同人をやっていて、いわゆる「同人女」であることが自分の人生の軸、アイデンティティのひとつだったと思っているのですが、2016年に「同人女」だから「劣っている」的な文脈の攻撃を受けることが多くあり、全て嫌になって二次創作を1回辞めました。

そのあと2019年にのっぴきならなくなり、二次創作をちょこっとやったのですが、いろいろ悩むことの方が多くてやっぱり身が入らず、3ヶ月くらい書いてただけだったんだったかな……。

という経緯があったので、二次創作をやること自体にネガティブな状態だったのですが、しかし2/10にはもう「自カプに対する感情が、『手順を踏んでセックスするようになってほしい』『手順を踏んでセックスを回避してほしい』『手順を踏まないでセックスしてほしい』の三方向に分かれてそれぞれの道を歩んでいるので頭の中がめちゃくちゃに忙しくなってしまった いつもこう 20年間これをやってきた」って言っているため、だいぶ苦しみつつ二次創作の方に踏み切りつつあったようです。10日でこれか~。

だから二次創作ができる! したい! に加えて、楽しいと感じていて書きたいことがあるタイミングで過去のイヤだったことを払拭したい! トラウマを克服したい! という気持ちもありました。

現在の同人活動のこと

わたしは現在、同人ゲームを作っているので、イベントには同人ゲームで出ることが多くなります。今年はあと4回くらい同人ゲームでイベントに出る予定がある&出たいなーと思っています。

なので二次創作でスペースを取る機会が……ない! どうしよう!

と思っていたのですが、スパコミは両日開催で、奇跡的にゲームとマンガFCが日にち違ったので、じゃあここで両日出てみるか……と踏み切りました。判断できるタイミングでスパコミが申し込み延長になって助かったというのもあります。ありがてえ~。

作った同人誌のこと

目標

スパコミ30に申し込んで、当初の目標は以下の通りでした。

①TRPGの既刊の再版
②二次創作漫画の同人誌を出す
③二次創作小説の同人誌を出す
④クトゥルフ関係のグッズを作る
⑤TRPGの新しい何かがあるとうれしい

あとは短歌の本とか原作の考察本とか出せば出せるな~とは思ったんですが、一般的に新刊って1冊あればいいので、小説と漫画があれば十分だろうという……。

①と④と⑤はゲームの方の話なのでここでは軽く触れるだけに留めますが、④は結局スペースがごたつきそうなので今回は見送りました。①と⑤は無事本になりました。やっぱりゲームの方が自分の今のメインなので、せっかく出るならこっちも手を抜きたくなかった……。

実際に出る本

以下、全てpixivに上がっていますので、興味持って頂けましたらリンク先で読んでください~。

SOAP OPERA』(小説 文庫90ページ 30000字)

とりあえず今考えていることを形にしておこうと思って書いた本。こういう解釈をしているよ~というより、時系列と設定を整頓して原作内でつじつまをあわせるならこのへんが落とし所かなあというこの時点での整頓の結果です。

ここ7年くらい、小説を書かずに自作ゲームやゲームシナリオを作っていて、そっちで事件ものを書く訓練をしたので、事件が次々起こる内容にしようという予定でした。もうちょっと壮大な話にできたと思うんですが、20年ぶりに書いた(20年前もそう書きまくっていたわけではないし……)ので、結局かなり駆け足で書いてしまった。

張々湖は中華人民共和国大飢饉をバックグラウンドにしているキャラクターだと思うんですが、今回きちっと調べて書くひまがなくて、ふわっとさせてあるので、時間あるときにこのへんはもうちょっと書きたいです。

記念碑的な本にしたかったので装丁も頑張っています。

3/4に計画を立て始めて、3/19に初稿をあげて、3/28に入稿しました。

Little House』(漫画 文庫16ページ)

石ノ森先生の絵を真似して書くのは単純に気持ちが良いので、真似していっぱい描きたいぜ! と思って漫画を描くことにしました。絵は2017年くらいから描き始めて(これも色々紆余曲折あって正確には違うのですが割愛)、漫画もなんだかんだで何度か描いたことがあったのですが、漫画同人誌を作るのは始めて。

レトロ印刷で二色刷の中とじ本を作ろうよ~と友人にそそのかされて作りました。二色刷自体は小説の表紙でしたことあったのでハードルはそこまで感じなかったんですが、割付が苦手で、不安だったので、順番間違えてもまあいいやというつもりで1ページ漫画にしました。

レトロ印刷さんで漫画同人誌を作るレポ自体はいろいろ上がっていたと思うので簡単に記載しますが、まず「あそびかたろぐ」を取り寄せて読んで何ができてどうなるのかを把握して、試し刷りを1回お願いして、そのあと改めて入稿という手順でした。このへんは何をどうしたか別エントリで書いてもいいかも。

試し刷りをお願いした際、部数少ないと試し刷りと製本本番で価格にそこまで差が出ない(ほぼ倍払うことになってしまう)のですが大丈夫ですか~という連絡をいただきました。ありがとうございます。そのままお願いしました。

3/4に計画を立て始めて、3/26に脱稿、4/4に試し刷りをお願いして4/12に届いて、そのまま微調整して4/12のうちに入稿しました。自宅納品にしていたのですが19日に刷り上がって届きました。可愛くて嬉しい~。

こどもたちはねるじかん』(小説、R18 文庫90ページ 15000字+WEB未公開11000字)

上記2冊で目標としては達成していたんですが、漫画を描きながら平ゼロを見返していたらテンションがめちゃくちゃになってしまい、やっぱり……書く……かあ! と思って……。

原作と平ゼロでだいぶ性格の設計が違う感じがして、違って楽しい、そこがいいと思うのですが、やっぱりこっちはこっちで書いておきたいな……というのと、メイン回である12話・13話・18話が結構ハイコンテクストな本歌取りだと感じたので、感じたことを整頓しておこうと思って書きました。

あとは、わたしは張々湖に恋愛感情とかなさそうだと感じていて、自分としてはなさそうであることにかなりうれしさを見いだしていたので、恋愛ではないけどラブコメではある、という感じにならんかな~と思って書きました。

4/6に計画を立て始めて、4/8にWEB公開版を書き上げているので早いな……。4/18に加筆分(エロコメ短編5作)を書いて、そのまま入稿しました。

キャンディーヌ』(小説 文庫50ページ 15000字)

全てが終わって時間を持て余していて……。

ブロスさんの通常締切が27日で……。

暇だしなんか書くかと思って……。

ここまで、恋愛をやっていて成就する話がひとつもなかったので、恋愛をやっていて成就する話も書きたいな~と思ったのはそうなんですが、そこに「谷山浩子モチーフの小説を書きたいな~」と、「もう何年もクトゥルフ神話のことを考えていたんだからクトゥルフ神話の話を書きたいな~」が混ざり合った結果出力があったため、内容が胡乱です。伝わるのかなこれ……まあ……いいか……と思いながら書きました。

たまには普通のフルカラーの表紙にするかと思って描いたのですが、入稿中に手が滑ってホログラムPPをかけた。かけてみたかったのでよかった。

これはねえ、4/26に書き始めて、書き終わって、4/26に入稿しました。こういうのもうやめな。いい年なんだから……。

雑感

カプのこと

20年前に読んだ読切、その後の人生に影響を与えている可能性がかなり高いので、もしかしたらわたしが「愛と罪悪感」のカップリングをその後何度も書いているのはそもそも6と7の影響なのかもしれません。そう思うと回遊魚のように戻ってきただけともいえる。

同人誌のこと

特殊装丁って……楽しい……ということを久しぶりに思い出して良かったです。あとわたしは本当に締切に向かって走るのが好きなんですよね……。好きだから……めちゃくちゃをやってしまうため……気をつけたいですね……。

あと自分としては「同人誌の表紙を全部自分で描いた」というか「描けたし、描きたいと思った」というのが地味に大きく嬉しいことでした。絵をなんだかんだで5年くらい頑張っていたので……。

作品を作ること

今回、「とくにイケメンというわけでもないおじさんとおじさんが、愛に関して真面目に向き合う」というのをてらいなく描こうというのをだいぶきっちり意識していて、あと原作の人種ステレオタイプをそのままトレスする必要は全然ないのでそのへんはもう自由にやろうと割り切ってから書き始められたのでよかったです。そういう意味では2023年になってから、いろんなことがアップデートされてから書いてよかったかも。

わたしはBLを書き始めたのが比較的遅くて、24歳からなので、17歳(前回009にハマっていたとき)はそもそもBLとしての読み解きができなかったと思うため、20年かけて読み解き方、出力方法、なにが自分にとって心地よく、何を書きたくないか、といったことが理解できていてよかったなーと思っています。

BLとして作品を読み解くという工程に、わたしはそれなりの挑戦をやっている側面があって、このへんもまたどっかで書けたらいいんですけども。

まあそれはともかく、かなり楽しくやっています。よかったらスパコミのスペースにもお立ち寄りください。2023年5月4日SUPER COMIC CITY 30 東1ホール ケ49a「月刊かびや」にて新刊4冊ご用意しております!(1日目には009の本はないんですが1日目にもいます。東2ヌ22a「月刊かびや」です)

同人誌をまた楽しく作れるようになってよかったです。今後も楽しく作りたいが、スパコミの次はどこに出ようかなあ……。