松野兄弟万年筆奇譚第二回 ミラーボールと登山のあいだ

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万年筆オタクによる独断と偏見の松野兄弟万年筆&インクセレクト、第二回はトッティこと松野トド松くんです。

写真の画像はパーカーアーバン。クールマジェンダ超いい色なんだよね……。アーバンのえっちなシルエットに対して赤やピンクを持ってくるとセクシーになりすぎそうなところを、このクールな光沢感がスッと引いた視座を作っていて、アーバンの中で一番格好良いと思うというか、アーバンって形が独特すぎてわりとダサくなりがちで、パキッと仕上げたほうが絶対かっこいいと思うんだけどね。クールマジェンダが一番良いと思います。

アーバン、きゅっとくびれたシルエットが最高にセクシーな一本で、スタバァは(たぶん)アメリカ資本だしアメリカ万年筆からということで……「なんだかちょっと気になるけど、明るくてやさしそうなのにクールでミステリアス」というイメージ。これくびれた胴軸を握ると持ちやすいというプロダクトデザインなんですが、胴軸を握らない人にとっては全然それ持ちやすくないんですよ! 全然万人向けではない! 「こっちは寄せてるよ、君はそれにちゃんと乗っかれるかな」って試してくるペン……。挑発的……。

 

ていうのが多分トッティの「こうでありたい自分」じゃないかなって思いました。

 

それにエルバンのカーマインを合わせています。

リンク先だとよくわかんないですがこのインク、金色の偏光があり、ぎらぎら光ります。トド松のミラーボール状の自意識をイメージして入れました。

クールマジェンダもカーマインも分類としては赤なんですが、万年筆インクのぱっと明るい赤のセクシーな感じはトド松によく似合うと思います。持ってないけど色彩雫の紅葉も似合いそう。神戸インク物語なら元町ルージュ。国内のインクのピンクは「愛らしい」に傾きがちなので、トド松は明るいセクシーさを含みながらぱっきりと素直な赤が似合うと思います。そのうちネチネチ書きますが対照的におそ松兄さんはどこかに昏さを隠し持ちながらも甘い赤ってイメージ。

 

続いてもう一本。クリア―キャンディメタリックピンクに色彩雫の山栗

クリア―キャンディは廃番になってしまいましたねえ……。ネットではすっかり見かけなくなりましたが、文具店にはまだ結構あるのでみかけたら一本どうぞ、セーラーの1000円万年筆です。とびきりキュートでポップで、そして昭和の匂いがして、意外とごつい復刻商品。

廉価帯でねじキャップ(廉価帯万年筆は気軽に使いたいし、高額帯帯の万年筆がねじキャップなのは家でゆっくり使うからいいけど、そうするとクリア―キャンディの立ち位置が……)というどう扱ったらいいのかわからない立ち位置と軸の微妙な太さが災いした印象で、さらに1000円帯のライバル・カクノのバカ売れに完全に食われ、同じセーラーでもハイエースネオのほうが取り回しも利くし……ていうかハイエースネオが一松くんでカクノがおそ松兄さんのイメージなんですが要するにそういうところも含めて……あの……って気持ちもあります。トッティは要らない子なんかじゃないよ!

逆に言うとクリア―キャンディもアーバンと同じく、「僕の都合のほうに、みんなが合わせてよ、僕はちゃんとみんなの都合を考えて合わせてるんだから」ってペンで、はっきりとした「意思」のあるペン、だと思います。自立心が旺盛なあまり存在することからログアウトしてしまったクリア―キャンディちゃん、手に入るうちにお求めください……。

わたし結局クリア―キャンディ四本も買ったんだな使わないのに……もう二本くらい欲しいんだよな……どうしようかな……。

メタリックピンクはクリップや天冠が青くて、自意識を見る限り結構カラ松くんのことをなんだかんだで慕ってるっぽいトド松にこれを持ってくるのはわりとせつないなって思いながら眺めています。別にトッティのために買ってきたわけじゃなくて、うちに、あったのです……。そしてクリア―キャンディのなかではメタリックピンクがいちばんトッティに似てるよ……。

色彩雫の山栗はトド松の本当は地味な趣味が好きで堅実志向という側面のことを考えながら選びました。本当にうっすら赤みがかっていて静かな秋のさみしい切なさが混ざった、さらりとしたセピアで、いい色です。

 

プラチナ 富士五湖シリーズ 西

これをトッティに持って行かないわけに行くまい! わたし富士五湖精進しか持ってなくてそれはカラ松兄さんに割り当てられてるけどね(精進は青みがかってるからトド松には割り当てられない)。西欲しい……超欲しいと言いながら発売からずっとウダウダしてるんだけど買うならそろそろ買わないといいかげん買えなくなる……。近所の本屋に売ってるけど……。本栖は絶対手に入らないと思うけど山中はしょうじき十四松だと思うし河口に何がくるかこわくてたまらない……。

トッティはほんとプラチナだと思うんですよ。全体的に決して悪くないしそつもないしきれいにまとまっているのにどこか何かが足りないんだけど、堅実なんだからそれでいいんだよ、って思うけど、堅実に堅実に頑張りすぎてちょっと暴走もしちゃう……。まじめで責任感も強いのに、どっか抜けてて、ええかっこしいで、そしてすごく優秀な男の子であるところのトド松にはあっけらかんとした澄み切った富士五湖の軸と堅実さ堅牢さを絵に描いたような3776のニブはほんとうに似合う。

インクはダイアミンのホープピンクっきゃない(持ってないけど)。希望の星! トッティ!

 

というわけで第二回でした。あと四人だよ! 楽しい以外の感想がない!