野生の万年筆屋店員が現れた!

をやるときのためのメモです。先に言っておくけどアフィリエイト記事だよ!

 

感想を送る送らないの話が長くなったし合間に仕事を噛ませたらやたら忙しくなってばたばたしてるので息抜きをさせてくれ。

 

万年筆、ちょっと気になるな……と言った瞬間、周りの人間がガッと立ち上がっておすすめを始めるという現象に遭遇したことはおありでしょうか。怯えなくても大丈夫です。

沼のどうぶつたちという共同askアカウントをやっているんですが、そこで万年筆関係の質問をいただくことが多くて、三匹の中だとわたし(鹿)は万年筆のスペックとか勧め方とかは雑なほうです。フワッとしたことしか言いません。なおこのアカウントは誰がこたえるかわからないというやつで、そう、鵺の穴さんを拝見して楽しそうだなと思ったんだね。でもコンセプトもテンションもノリもだいぶん違います。

というわけでいつもまじめに万年筆のスペックについて回答しているのは万事細かいことによく気のつく大抵魚なんですが(いつもありがとうな……)わたしそろそろ全部把握できなくなってきているので簡単なフローチャートを書いておきます。なんかてきとうにバージョンアップするかもしれない。しないかもしれない。めんどくさくてしない気がする。ていうかたぶんわたしがやるより丁寧に作れる人いっぱいいるはずだから、沼の二匹に限らず野生の万年筆店員はこれを叩き台にてきとうにそれっぽいのを各自作ったりする素材にしてくださって結構です。無断転載可。

万年筆沼に飛び込んで野生の店員によってたかっておもちゃにされたい人もご参照ください。

 

でも人によって押さえたい戦略は違うとは思う。

 

☆基礎知識

■万年筆とは

定義のくわしいことはナガサワさんのHPでも見よう!

鉄ペン(ペン先がスチール製)と金ペン(ペン先が金製)があります。金ペンは鉄ペンと比べてペン先が柔らかいので、最初は品質の良い国産の鉄ペンから入ってみるのがおすすめ。そう、カクノちゃんから入るのがお勧め。カクノちゃんはいいぞ。なんてったって不良品があった話を聞いたことがない。

■万年筆の管理は面倒ではない

顔料インクをペン先が乾きやすいペンに入れるなど、致命的なミスをしない限り、インクを入れっぱなしで数年放っておいても洗えば生き返ります。

■万年筆はそう簡単に壊れないし、現代の万年筆は現代人の手に合うように作られている

キャップをせずに床に落とすとかしない限り普通に書いていて壊れることはほとんどありません。ボールペン世代の現代人に合わせて筆圧をかけても大丈夫なように作られています。なおキャップをせずに床に落としても大抵生き返らせることは可能です。わたしはカレンさんをキャップをせずに落とした上そのあと振り回していて壁にぶつけて歪ませ二回ペンランドカフェの店長に呆れられました。何故名古屋にばかり持ち込むのかというと相方が住んでいるからです。

■でも整備不良は様式美

万年筆の不良個体も個性のひとつとしてあきらめましょう。専門店のペンクリニック(都市部にあり、企業による地方出張もたまにあります)に持ち込むと大抵どうにかなります。それでもどうにかならなかったら実家に送って部品交換だ!

■国産の万年筆は海外の万年筆と字幅の規格が違います

万年筆にはB(太字、国産はボールペンでいう1.0程度※あくまでも目安で、固体やインクや筆圧によって違います)M(中字、0.6くらいかな……)F(細字、0.5くらい)EF(0.3くらい)の字幅がありますが、国産の万年筆は細かい漢字を書きこみやすいように字幅を特に細く作られているので、海外の万年筆を選ぶときは一段階太いと見るのが妥当です。さらに海外万年筆は品質が一定じゃないのがデフォルトなのでこう……試筆して買おう! あるいは勘で買おう!

プラチナは国産の中でも更にもう一段細い印象です。細字ファンはプラチナがお勧め。

■万年筆とは

博打

■ついでに万年筆インクに付いて

インクの話を突っ込んでやろうと思ったらめちゃくちゃ長くなりそうだからあきらめた。気が向いたら今度別に立てる。基本的に水性インクです。水濡れで消えます。経年褪色もあります。そのかわりペンにやさしい。インクによって表面張力や粘度の関係でペンからの出方(インクフローと言います)が違い、色もいろいろあり、沼に沈むと水位が上がります。

顔料インクという、水濡れで消えないインクも出ていますが、取り扱いに注意が必要です。

そのほか没食子酸インクというものもありますが、とりあえずこの話は今回は割愛、プラチナとペリカンの純正ブルーブラックはこれです。

 

☆万年筆初心者のための最初の四つの質問

■普段手書きの書き物はしますか?

全くしない、書き物は嫌い→1へ

用途によってはすることもある→2へ

たくさんする→3へ

■万年筆を買うとしたら、用途は決まっていますか? あるいは、どこに惹かれましたか?

主に眺めたり持ち歩きたいので、たまにメモ書きに使うかも→1へ

とにかく書いて遊びたいだけなので、あまり決めていない→2へ

用途がはっきり決まっている→3へ

■好きな色は何色ですか?

■予算は何円くらいですか?

■自分でわかる範囲でいいので、筆圧や書き癖を教えてください。高い? 低い? 字は大きい? 小さい?

※この項を突っ込んで聞きたいのは山々で、軸は太いのがいい? 細いのがいい? ペンはどこ持つの? 先の方? うしろ? とかいろいろ聞きたいのはやまやまなのですがそもそもそこまで考えて文具選んだことねーよという人は多いと思うのでとりあえずそれは最初はいいということで……。

 

1、ふだんまったく書き物をしないけれど、万年筆ってなんかいいんじゃない? と思い始めた人の囲い込み方

「もしかして手書きって楽しいのでは?」と思わせることにつなげる(書き味の良いものを勧める)か「超かわいいからこれを持てるなら使うかどうかはどうだっていいや」から攻め落とすかは戦略次第といった感じです。ここで聞きたいのは「どうして書き物をしないのか」という点。

■そもそも生活のなかに書き物をする時間が全くない

「字とか会員カード作るときくらいしか書かないんだけど、でも万年筆かわいいよね」みたいな人には、何よりもまず外見重視で推していくのが正攻法ではないかと思います。「書く用事とかは作ればいいよ! ちょっといい紙を買って歌詞とか書こうよ!」からひたすらデザインと色と予算で絞り込んでいくのがよさそうです。ペンハウスあたりで色検索して好きそうな商品のアドレスを送り付けましょう。

■書き物をすると手がつかれる

「これまで使ってきたのが合ったペンではない」可能性があります。特に筆圧が高い人が手が疲れやすい傾向はあると思う。加えて筆圧の高い人は「ペンを潰しやすいから手書きは気が進まない、万年筆も壊すのではないか」と思っている人が多い印象なので、「硬いペン先」で「インクフロー渋め」で書き味書きやすさ品質ともに高い評価を受けているハイエースネオ、あるいはパイロットの中でもプレラカヴァリエあたりのインクフローの渋い商品、あるいはたとえ壊しても惜しくないし書き味は価格としては破格なプレピーあたりを勧めるのが順当そうです。サファリもまあまあ安牌ではないか。金ペンならエリート95S系(あるいはデッドストックやユーズドを勧めるという方向もありかと)の流線型のペン先のものは大抵ニブが硬いので筆圧が高い方にもお勧め。

慣れてきてからならともかく、しょっぱなからインクダバダバ海外万年筆やパイロットのそれ以外のラインナップの水鉄砲は微妙そう。

■自分の字が嫌い

万年筆を使ったら字が良くなるのでは? というのは幻想ですが、手に合ったペンを使うことによってぎこちなかった字がのびのびと書けるようになり読みやすくなるということはあり得ます。が、これまで「書く」とはどういうことか、どんなペンが好きなのか考えたこともなかった人だと思われますので、最初は「自分の字が嫌いでも、ペンとインクはきれいですよ! 誰に見せるわけでもないんだからそれで十分では!?」から攻め込みたいところです。ここはできれば書き味の点では日本人の手に合うことが織り込み済みの国産万年筆から、外観のデザインも優れたものをピックアップして推してみましょう。あるいはすべて忘れて美しさやコンセプトだけで殴りましょう。

 

2、書き物をしないわけではないけれど、たくさん書くわけではない人の囲い込み方

これはもう外観重視で推していくべきでしょう。こういう人が一番囲い込みやすいですね。

外観以外の選び方のポイントとしては、

■インクが滲んだり濃淡が出るのを楽しみたい人、すらすら書く感覚を楽しみたい人はM~Bの太字万年筆を

逆に言うと滲むのが嫌な人は太字は使わない方が。あと、太字は紙の裏にインクが抜ける「裏抜け」や、多少どころではなく判読困難なほどに読めないほどにじんでしまう現象が起こりやすく、ノートジプシーの旅が始まります。特にパイロットインクは「もはや水」と話題ですので太字万年筆と組み合わせたときすごい勢いでページの向こうへインクが抜けていきます。ダイナミック! わたしはパイロットエラボーSBにパイロット天色を入れているよ(わかる人にはわかるどうしてそんな冒険をしているんだ案件)!

■細かい字でメモを取ったり手帳に書きこんだりしたい人はFかEFが便利(海外万年筆はEFを選んだ方が安全)

よく手帳ユーザーでラミーサファリを毎年買っている人(※サファリは恐ろしいことに毎年新色が出ます)が、「今年のEFは本当にEFだったー! 手帳で使える!」って言っています(※サファリに使われているラミーの汎用ニブは個体差がめちゃくちゃ広く、うちのサファリはMなのにあきらかにFくらいしかありません)。太字だと小さな字は当然書けないし漢字も潰れちゃうので、細かい字を書きたい人は細字を買おう。

なおわたしは無理やりBや海外Mで手帳に書きこんでいるよ! それが太字ユーザーという生き物!

■いずれにしろ、専門店での試筆をお勧めします

高い買い物(基本的には)なので、買わずに「また来まーす」って感じで離れても別に何も言われませんし、かなりオープンな空間です。その場でお買い上げしなくてもちょっと試し書きいいですか~と声をかけると気軽に触らせてくれますし、「よく知らないんですけどお勧めしてください」とか「これいいけどここが気になる、もっとこういうのはないですか」と尋ねるとどんどん出して勧めてくれます。大丈夫、万年筆売り場にいるのは大抵万年筆を人に勧めるだけで幸せになれる人種です。

名古屋の方はペンランドカフェに行くといいよ! わたしが行った専門店の中でも特に敷居が低かったよ! カフェになってるからごはん食べれば「いっぱい遊ばせてもらってお金出さずに悪いなあ」みたいにもならないし……。

 

3、たくさんの書き物をする、運命の出会いを求めている人の囲い込み方

わたしだ。

何をどう殴ってもどうせ勝手に落ちる(あるいはどうせ全然合わないなと思って絶対落ちない、ガジェットオタクと万年筆オタクを兼任する人はさほど多くない印象)から別に囲い込む必要すらない気がしますが、とりあえず丸め込んで試筆に行かせましょう。一本くらい買うんじゃないですか。正直勝手に落ちるからやりがいはないよね! でもこの人、落ちたら最後次も買うかもしれないからね!

※参考 てがいたかった しかの おはなし

 

グッドラック!