手慣らしのためのさみしいなにかたち

こういうところに入るのははじめてだと言った。こういうところに入ってはいけないような気がしていたと言った。なにを選んだらいいのかわからないと言った。なにをどうしたらいいのかわからないと言った。そこにいる男が唐突に別の人間に見える。あるいは花に見える。好きな色を言ってみろと振り返った男が言う。さほど花には似ていない(花に失礼だと思う)。オレンジ、と答える。月に似ている。あらゆる聖なるものは白く見える。

哉村哉子さんは満月がしろく輝いていた夜、高級志向のアイスクリームショップでお焼香の作法がわからなかった話をしてください。
#さみしいなにかをかく
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冷蔵庫のない生活を考えたことがある? 貰ったアイスをすぐに食べられなかったらそれはなくなってしまうってことなんだよ。はじめて冷蔵庫にアイスを入れたときとてもうれしかった。勝ったんだと思ったよ。そこはおれの私有の空間ですらなくて皿を洗っている間に溶けてしまったアイスを冷蔵庫に入れて笑ったのを覚えている。とても笑ったのを覚えている。うれしかった。うれしいと思っていたはずだった。

哉村さんは私的な記念日に、大人なら32歩で一周できる小惑星でハーゲンダッツをうっかり溶かしてしまった話をしてください。
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半分をゆっくりとつついているあついあつい夏の日に吐いている繰り言。