窓のない密室、そして本棚への帰趨

まあいろいろ……あって……リアルタイムにこの記事を読んでいる人にはなんのいろいろだかわかるけどあとから読んだ人には何のことだかさっぱりわからなくなりそうだな。まあいろいろあり、個人サイトってやっぱいいよなみたいなムーブメントを眺め、まあいいですよね個人サイト、いいよねと思ってなかったらわざわざ有料サーバー借りてないですが、ていうかせっかく有料サーバーなんだから自分の借りてるサーバーをもうちょっとちゃんと使うかーと振り返り、ブログ、ブログなあ、ブログいい加減書くかーと思って戻ってきました。

 

こっちにいない間noteの更新はしてました。

note、ある程度テキストとしてまとまりがあるものを置く場所と思っているというか、よそゆきの文章を置く場所だとは思っていて、ありていに言うと投げ銭してもらえるような文章を置いて投げ銭してもらいたいと思っているという話ですが。投げ銭してもらいたいです。いつもありがとうございます。

で、ブログなんで書いてなかったかっていうとまあアニメの感想求めて読みに来る人が絶対いる期間は絶対更新しねえぞと思っていたというのが一番でかいんですが、いちおう書いておくけどなんでかって言ったらもはやわたしがアニメの感想書くという行為自体が気に入らない人が難癖つけにくるからだよ! こっちだって難癖付ける材料提供のために何千字も書いてるわけじゃないんだよ!! まあその話はいいです。

 

そもそもなんのブログなのかって言ったらパーソナルなテキストを書くためのブログですよ。広く訴えたいことを書いていた側面もかつてはありましたが、今はいろんな人に読んでもらいたいなーと思ったらできるだけnoteに書きます。SNSだし。

パーソナルなことを書くブログであって、別にめちゃめちゃ読まれることを目指しているブログではそもそもないし、めちゃめちゃ読まれる文章が書けるという気はそもそもしない。したことがない。ブログがバズったとき(※今更ですが、このブログは昔アニメの感想がバズって炎上したことがあり、うんざりしました)ヤケクソでウェブライターの求人を見て回りましたが自分には無理だと思いました。コラムは書けるかもしれない。記者にはなれない。そのとき感じたことをうまく説明はできないけどなれないと思った。

たぶん「事実を書く」ということにほとんど興味がないからですね。

「知ってることを書く」もそんなに……過去エントリを読むとなんとか頑張って事実関係をまとめる系のテキストを書こうとしているのはわかりますが別に……って感じだし、考えるのは好き、まとめるのは好きではない。パーソナルなことを書くブログだというのはそういうことです。そしてわたしの能力のなかで職能と呼ぶのにぎりぎり近いのは人生相談を受けることであって、その勉強をはじめたので微妙に忙しく、その他いろいろが積み重なって普通に忙しく、アニメの感想書いてる場合ではなくなってしまい楽しみにしていただいている方にはどうもすみません。ぼちぼちやります。人生にはぼちぼちやるべきことが多すぎる。ぼちぼちやるついでにいいかげん書きたいことを書きたいように書くよ。このクソ忙しいのになんで言いたいことを我慢しなきゃいけないんだ。

 

ここまでが「ご無沙汰しておりました」のご挨拶です。

 

パニック障害の話をしようと思います。

振り返るともともと躁鬱傾向も広場恐怖の傾向もあり、きちんとした診断を受けたら何らかの障害も見つかるのかもしれませんが、ここでは「そもそも傾向としてもともと健常ではなかった」を前提としておきます。

具体的に発病したのは23歳の5月頃だったと思います。当時わたしは図書館の地下倉庫で働いていました。

そこに至るまでの職歴もそもそもいろいろあり、そもそもグズグズだったメンタルが卒論完全にグズグズになって就活を放り投げ小説を書きながら卒業し卒業して2ヶ月ほど小説を書いていました。そして特に書くことがなくなったので工場で勤めていたところ最初の発作を起こして仕事に行けなくなったのですが、この時はこれが病気であるという認識はしていませんでした。

そのあと縁あって図書館司書のアルバイトの口をいただき、働き始めたのが図書館の地下倉庫です(このへんの細かいディティールには個人情報上のオブラートが50枚くらいかかっています)。メンタルがグズグズになる前は図書館司書を志して勉強していたこともあり、わたしは大変楽しく仕事をしていた。つもりでした。

仕事がキツかったとかではなく(人間関係や金銭面など、キツくなかったわけではないのですが、基本的には楽しい仕事でした)、もともと不具合がある状態で働いても無理しかないということですね。暗い倉庫の隅でパソコン処理をしているときにわたしは唐突に「わたしはここから永遠に出られないのだ」という恐怖心に憑りつかれて呼吸困難に陥りました。

広島は海辺の街です。

仕事が終わったら海に行こう。死ねば脱出できる」

そう思った直後にこう思いました。

「病院に行けばいいのでは?」

このブログでは以前触れたような気がしますが我が家はよくあるロハスハウスで(この発言にはロハスという概念に対する悪意が含まれていることをお詫びいたします)、西洋医学を疑って生きることを求められて育ちました。病院に行く、西洋医学の病院で精神疾患の薬を処方されるという行動は、「自分が悪かったわけではなく病気なのである」という自己肯定のための転換であると同時に「自分のために家族に背いてよい」というドラマティックな状況を作り出し、わたしのテンションは爆上げになって一瞬だけ事なきを得ました。

が、そもそもあからさまに勤務態度が胡乱だったらしく、数日後に解雇を言い渡されてもう一度底まで落ち込みました。人生は上がったり下がったり。このエピソードは下がりっぱなしであるといえばまあそうだし、どうせ辞めることにはなったとは思うんですが。

これが10年前。10年ですよ! わたしのパニック障害くんは小学五年生ですよ! 10年間わたしは狭い部屋に入れず、窓のない部屋に入るためには何らかの精神的ケアを必要とし、本棚のある部屋を恐れてきたのです。もちろん図書館には一回も行っていない。一回も行っていないことはないな、そろそろ大丈夫じゃないかと思って2回くらい行って吐きそうになって出ました。そのあいだ、窓のある職場でしか働けないので飲食店を転々とし、いいかげん飲食は限界だと思って職業訓練校に通い始めたところ職校の教室が窓のない狭い事務室でめちゃめちゃ具合が悪くなり出席日数ぎりぎりしか登校できず講師の方と「まさか事務室に入れないという理由で事務員に応募することはできない」と暗い顔で話し合ったりしているうちに、

ブログがバズって人生相談でお金をもらうようになってフリーランスを名乗るようになったのです。

人生は何があるかわからないわね。

 

さてわたしはこのように長い、長い間、長い間閉所恐怖に苦しんできたのですが、これに対して、たしか去年の春に友人が言いました。

「クトゥルフ神話TRPGをやるといい。あれは窓のない部屋がドチャドチャに出てくる遊びなんだ」

始めました。

結果としてですね、ぜんぶ治ったとはいわないが症状は劇的に改善しました。

クトゥルフ神話TRPGというのは基本的にはホラーゲームなのですが、仮想空間の密室を脱出する形式のシナリオがめちゃくちゃたくさんあり、これを大量に遊ぶことによって仮想空間における密室に対する恐怖とは何かという理解が深まり、かつ、大量にやったので耐性がついたわけです。十年目にして。こ……こんな……こんなことがあるのか!

今でも別に密室は得意ではないし、得意ではないのでやっぱりバイトもろくに続かないのですが、にしても窓に固執しなくて済むようになったのは大きな一歩です。何がきっかけになるかわからないものだと思う。

併せてよかったことですが、クトゥルフ神話TRPGは同時に、図書館がドチャドチャに出てくるゲームでもあります。

わたしは先日クトゥルフ神話TRPGのシナリオを二本書いたのですが、2本あわせて図書館2軒書店1軒書斎2ヶ所ブックカフェ1ヶ所をねじ込み、自分がそもそもは書痴だったという事実に素直に向き合うことになり、あきれるというより素直にうれしかったです。

わたしはかつて本棚が好きで、本棚を構成する仕事をしたいと思っていたのだった。

 

フィクションは偉いね。ゲームは楽しいね。なかなかうまくいかない日々ですが、なんとかぼちぼちやっています。またブログ書きます。ではまた。