外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

Ⅱ とある黒幕について『悪夢』

午前二時頃にはいずれ来るであろう眠気の切れ目に突き飛ばされて

ざらざらの現実感を逃げ延びることができない閉ざされた町

ゲーム機を叩いて遊ぶ こんなにも小さな場所で小さく消える

another side わたしが生きて足裏に水を飲ませてばかりいる夜

十字架にはりつけられているときに退屈していたかもしれないね

現実がいつか圧倒的な数やってくるならアザミを踏んで

毒苺ないよ毒だけ苺だけ分けておいたら危なくないの

とりあげる夢を見ている上がっては上がっては見る下を見ている

生きているだけでいいって窓辺では花が咲いててきれいらしいね

「それでも生きているだけでいい」不可思議で甘ったるい夢を見ていた

こまぎれの人生だったかもしれぬ ゲームオーバーだけがないまま

来世にはプリズムになりおまえの目いっとき照らす 風が吹いてる

手と足がばらばらにある他人事のような生れで幸福でした

動物はきたない 一生触れないかもしれなかった燐光のよう

輝きに呑まれる悪夢くるしくて光っているもの感情がない

指ひとつ折って数えてあしたには結論が出る恋だけほしい

雑然と並んだ蝋燭ぜんぶつけたぶんぜんぶがぜんぶいちどに

秒針を食べる生活 いちどきに一本ずつだけ食べてもいいの

谷にいる 皆人間ではないらしい ジャムのお菓子を渡されている

甘ったるい苺を食べて苺だけ実在しているような悪夢だ

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