外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場
誰もいない王国
- おめでとう
- 彼は彼の住んでいる国を、はるか遠い国、と呼ぶ。それは僕の住んでいる国でもあるのだから、僕は生まれてからこのかたここ以外の場所に住んだ事はないのだから、彼がそういう言葉を使うたびに、違和感がある。でもとにかく、彼にとってこ […](更新日:2015月7月4日)
- おやすみ
- わたしには好きな人がいたはずだ、ということを、突然彼女は思い出す。彼女は自宅にいて、仕事を終えて、彼女の生活において最低限のラインの酒を飲んでいる。世間には朝が来ていて、彼女にとってはそれは夜だ。その逆転した生活を、彼女 […](更新日:2015月7月4日)
- ありがとう
- 角はアンテナのように彼のなかからあらゆるものを吸い上げてゆく。 そして彼は拘束されてあらゆる刺激を排除された部屋のなかにおり、何を見ることもない。何を見ることもなにを感じることもなにを考えることもない。 彼はもううしなわ […](更新日:2015月7月4日)
- ただいま
- 子供の頃の夢は平凡な家庭を持つことだったと彼は言う。そしてそれはある意味で叶っている。彼は養うべき人間を持ちある意味で家族と呼べるものを持ち彼らとともに暮らしている。彼らは賞金首を探し歩いてはそれを殺し賞金を手にしてまた […](更新日:2015月7月4日)
- さようなら
- インターネットをするのは禁止、と言われた。 教師と親が集まって、子供がインターネットをすることの危険性について話し合ったらしい。そうして彼は、いまいちばんおもしろいと思って遊んでいた楽しい楽しいおもちゃを取り上げられて、 […](更新日:2015月7月4日)
- はじめまして
- 彼は煙草を吸うことができない、ただふかすだけだ。彼は酒が飲めないし、ブラックコーヒーを飲むこともできない。彼は自分が「子供だ」と思う。彼は自分がそうであることを恥じていて、だから全部「できるふり」をする。 彼はトレンチコ […](更新日:2016月1月4日)
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