外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

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短歌と日々

百年

新聞紙折り紙にして空を飛ぶ時に一緒にいたのは誰だった?
ソース味ごちゃごちゃにして混ぜているおやつの時間は無限であった
さよならのまえにじゃんけんぽんをして勝った方から落下は自由
飛行機が燃えて終わってゆくならばいずれ焚き火でまた会いましょう
百年はこころのなかに見つかった見知らぬ石の凝った時間
まだ一緒に生きていると思う幻の友達のいた放課後きれい
放物線描いたボールどの位置で消え去ったのか見えなくなった
鹿などが駆けていったらもう森でずっとふたりでいようと思う
思ったより時間が早く進むとき立ち止まってはいけないのかな
あなたから受け取ってきた石を握って走る百年後また

今回で連続更新が百回になり、千首詠みました。夏の暑い盛りに毎日十首ひねり出すのはかなり何が何だか分からなかったので上手くなったとかそういうのは不明です。

お祝いにしゃぶしゃぶを食べに行きました。

千首になったから終わるとかは特に予定しておらず、明日も作ると思います。

どこへいく

上手ではない指先のゆくさきに咲いてる花の手伝いをした
こぼされた赤いしたたり満足にひらいたようで微笑んでいる
蝉たちがずいぶんうるさい校庭を横切ってゆく誰もいないね
もう秋が来るからひとけのない街をサボっていこう電車に乗って
河童には河童の法があるという赤錆びている鎖を抱え
手を繋ぐように叩いたスマートフォンまた明日まで熱を抱いた
海鳥が鳴く岸辺なら思い出になるのだろうと瞬いている
落ち葉からそろそろ黄色くなるという宣言を聞く夏が終わるね
ねえもっと先に行こうよ明日にはたぶん終わっている夏だから
しゃぼん玉大きく一個飛ばしたらあとはうつぶせに目を閉じる

夏が終わるなあ……。夏、ちゃんと終わるんだなあ……。

秘密の園

ベッドから見える地平がなによりも広くて狭い夜がまた来る
軋むのは夢魔がやってきたという秘密の園が見つかったせい
どうしようもないと千回唱えたらどうでもいいが来ないだろうか
眠りにつく前に聞こえた「明日というものを片付けておくからね」
あらゆるを食べる獏から盗んだのはあなたに捧げる猿の人形
順番を抜かさないでね間違いがないとまだはっきりしていない
猿だったことあるらしい我々の比喩の意味ではふさわしいから
全身にゆっくり触れる爪の端が輪郭を知らせてくれている
おいでって誘われたのは死んでって頼まれたのと多分同じで
臍の下あたりに秘密の園がある 奪われたからわたしではない

たまに発作的に性愛の歌が詠みたくなります。

夢のような場所

人間の意識が作り出してきた場所にまた来たようで立ち尽くしている
ずるずるとシーツ手繰り寄せた先ふと触れたのは湖だった
要らないよピンクの象が吐き出したしゃぼんの一番大きいやつも
願い事叶うといいな夢のような場所で願ったことなのだから
猫たちが円を作って踊りながらそのうち龍になると言ってる
牛乳の一番いいのをスーパーで買った夜なら眠れるだろう
耳に栓さして頭の中にいる閉じ込められたくうはくの中
今日の夜完璧に晴れた空の中飛び立ってゆくおまえを見てる
嫌になるならば食卓を離れてボートを漕いで光まで行く
美しい夢を見ていた放課後は夕陽に満ちてただの一日

とにかく忙しかった。記憶がない。たこ焼きばっかり食べてる。

いつもに増して深い午後

いつもにも増して深い午後の陽に落ちようかなとあなたは言った
終着のバスを降りたらギターソロ聴ける時間はとうに過ぎ去り
掃除したあとに約束しておいた花を揃えて活けておこうか
しずけさが満ちたところに一滴のソースをかけて夕食の時間
永遠に十八歳でいるという嘘を贈るよ秋の夕暮れ
塗り薬嫌いな子供はじゃんけんで勝つ予定から逃れられない
短くていい髪の毛がもう生えてしまったという悪い夢だよ
みずみずしいところがあるとわかってる国しか住めぬ生き物である
かかとから歩くクセには関係がなくなるような未来であった
いつまでもあなたが落ちていく夢を繰り返し見る少年時代

作業をし……作業をし……作業をしても作業があり……加筆が2万字を超えて……海を越え……。

28日までの作業なんですけど間に合うんでしょうか……。

入水

慎重に入水していくもう二度とかえらぬつもりでそのときだけは
曖昧な返事ばかりの関係の浮遊感すらいずれなくなる
夢で会う時はいつもの倍くらい話してくれてだけどそれだけ
遊びたいという都合に合わせてまるくなるときものびひろがるときも
ぎりぎりを歩いてみても続かなくなって激しい波に倒れる
ためらわず行きたい時に行けるのだろう鳩たち今は食べてる
美しいとかいう言葉を禁じたらなくなるだろうか鈍い痛みも
ガムテープ買い忘れてるから今は封じられない箱へやのすみ
街に住むひとを愛したことがある街を通り過ぎていく車窓
水を飲む時に水から見つからない要素を必死で探しています

データベース終わりました。やりきったのでめちゃくちゃねむく、この短歌は翌日にまとめて20首作られたうちの10首です。

終わりが来る

首を振る扇風機にもう夏が終わるんだってと説明してる
戸惑ったままでいつまで遊ぶのかわからぬままのサンダルを干す
めざましの音を鳴らしている時計以外に話さない部屋
知らないとわかっていても連絡をしてみようかな夢で会おうよ
雨の降る夜に終わりが来るというニュースを聞いてナッツを食べた
目を開けて眠っていたと気づいても今更閉じ方がわからない
どこに行こうと思って途中まで切符を買ってみんなうるさい
どこまでも行ける切符がないという理解の形で大人になった
また夜が来るまで一度目を閉じて終わりは繰り返されているから
銀紙の皺をつるつるにしていくことで罪から逃れる予定

引き続きデータベースと格闘しています。今週はもうずっとこれでしょう。

人は夢を見る

空を飛ぶ時に夢だと気づいたら落ち始めるから気をつけなさい
大きくも小さくもある一匹の熊に体を預けて眠る
焼きそばにソースたくさんかけておくから急いで帰ってきてね
感情が十二分まで増えたからこの二分をふやかして次のを
髪の毛が毎日伸びること自体どうも夢のなかじみている
人間はどれほど大きな夢を見る装置であるか誰も知らない
岸辺からゆっくり落ちてゆく時にあっこれ夢だ上がっていこう
おなかには入り切らないケーキから溢れ流れたクリームの海
熊が言うには早起きができるなら熊も明日ついていくだろう
落ち始めたと気づいたらまた上昇をする訓練をさあ始めよう

データベースを作るのが楽しすぎて一日溶けてしまった。

すきま

病気ではあるかもしれぬ朝方に起きてタオルを洗っていても
生真面目な王子様から贈られた決まったかたちの人形ひとつ
違いないって思い出していただろう戻らないって決めて出てきた
いずれ全てよかったという思い出になるはずだから飛ぶ 落ちていく
這い込んだ押入れの戸のすきまから射した光のような眩しさ
聞こえるよ思い出せない夢に似てあなたは笑って行けよと言った
恋じゃないかもしれなかった熱の日に喉が痛んでいるのに似てる
季節はもう終わって冬がくるという朝にタオルを冷やしてる風
灼熱が恋しがってる時はもう夏じゃないっていうだけのこと
濃い闇があれば瓶詰めしておいてペンに吸わせて手紙でも書く

急に「自分のシナリオ、多すぎて探しにくすぎ!?」と思い、データベースを作り始めたのですが、登録がすごく大変になってしまい、ヒーヒー言っています。そして古いシナリオのデータをまとめているとアップデートがしたくなってしまい、やることが永遠にある。

また明日

わかりたいと理解したい 似たようで違う気持ちを揺蕩っている
レモン色のカーテンを洗う休日に空の光に似てると思う
人間が組み立てている街というよくわからない場所で生きてる
フライパン火にかけたならスクランブルされる全てが黄色くなった
愛情があるというより惰性ではないかと思う音楽を弾く
音楽を組み立てる時十字路で風が吹いては呼び寄せていく
死んでいる人がたくさんいる町で結局人はいずれ死ぬから
黄薔薇には想像もつかないだろうさみしさを抱くのも音になる
友情をしめしているという説があって黄色のカーテンを干す
わかりたい ゆるしていたいと近似値にある錠剤を飲み下す朝

一日中TRPGをやっていて楽しい日でした。

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