外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) ふたりきり楽園に

I like you.あなたとは殺しあうつもりはないですそぞろの闇夜

ふたりきり楽園に行くジャングルはどんな町でも公園にある

クエスチョン・マークそのまま抱きとめてぶらんこに身を委ねていたの

あかるさがとぼしいあなたのほほえみに夜のコンビニ程度のあかり

深夜二時だいこんの沁みた色のこと並んで選びとろうとしてる

ノンホモジナイズドしよう恋愛と呼ばないくらいささやかな熱

かなしみのぶんだけミントジェレップを注ぎ入れたらもう忘れよう

僕たちの災禍は保険適用外こんなに巨大な隕石なのに

目を覚ますときに聞こえたささやきを抱えたままで夜を迎えた

おくすりを切らしましたねもう僕はパセリのようにみじん切りです

世界。世界。終わりつつある夕焼けがざらざらこわれてゆきすぎてゆく

幸せのおわりを包む無関心メロンソーダのように悲しい

わたしたちほんの小さな寝室でふたり並んでわらう うとうと

どこまでも終わりのない日なんてない 明日 また来て底を覗いて

手紙たち言葉をいくつ飲みこんで届かぬ地層に埋もれていくの

もういいよ世界の救い方よりも紙飛行機の飛ぶとこ見よう

おたがいのことばのきわを確かめるようにLIKEとくりかえし言う

ビタミンの糖衣程度のものになりきみのからだに入りたかった

春雨がただやわらかに降っていた おまえはあのとき笑っていたね

一面の青いサインに照らされて天国までは歩いて行ける

このままで銅像となる俺たちはひとつの塊となって眠ろう

おしまいの日がきた 満ち足りた炊飯ジャーをベランダに置く

ぱりぱりの海苔は開封される日を夢見る革命の使徒である

ピクニックなんてかんたんおにぎりをふたつ並べて置いたらいいさ

サンデーとジャンプを交換し続けて塔を築いてここで暮らそう

コンビニの街々ごとに点くように明るい声でおまえが好きだ

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