外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 涼ちゃんはいい子

きいろには絶望がないそれこそが彼の心の不確実性

かんぺきな少年の出す問題は不可抗力でどれも解けない

まじないを解いてはひらく男の子ではないですから戦いません

男の子だったらもっと傷ついたじゃんけんいつでも負けでおしまい

かみさまに嘘つきましたあの子にはよろこび以外食べさせないで

部外者であるとき夢のなかで会うおとうとだけは汚辱を知らず

天性の無邪気に悪意をふくむときだあれもあの子の罪を見ないで

きいろには悲しみはなくねえさんもやっぱりきいろの花をみていた

涼ちゃんとあかるく呼ぶときほほえむがたがたとこわれろこわれろこわれてそして

いつまでも幸福でいてあなただけひかりのようにはばたいていて

おねえちゃん先に生まれてあんたの分世界をきれいにしておくからね

盛大なオーディエンスを背景に少年はただ星を探した

勝つという約束の花束にして揺れる電車で抱えていたり

あなたにはあの子を救えてしまうのねわたしとあなたは戦っていた

太陽を死地においやり僕たちは明日のサンドイッチをつくる

俺たちの生き延びたことあんたにもちゃんと全てが見えていたはず

勝つ方法よりも生きる方法がそこにはあったそして生まれた

僕たちは満員電車にのりこんで海までの距離考えている

生きようとそれぞれここで頷いた そうだね生きよう 明日も来よう

暗記したとおりに世界は進みつつあなたの願いが叶いますよう

空へ向けそうっと息をついているその向こうには星があります

友達のいる世界にて息をしてわたしはあの子の名前を呼んだ

わたしたち願いどおりの私生活デポジットして胸に飾るの

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