外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 猫町

いつまでも覚えているねあのときにあなた笑って空を見たこと

なにもない街の氷った三叉路で小さく鳴いたあなたを拾う

生きていていいよと許してくれました この牛乳がせかいいちです

誰よりもラッキーな日であるように明日も明日も明日も明日も

大丈夫猫の神様だって君のことがきっと大好きなはず

約束をしよう あなたの声だけを信じることで生きていくんだ

終わらない日常という呪文さえ唱えていれば死なぬと思う

平行であるということそれだけを愛のあかしとして捧げよう

俺というかたち俺たちに変化する軒先みゃあと呼ぶ声がある

暮れていく空を並んで眺めてた明日もいい日だといいよなあ

眠りかたわからなくって温かいあなたの肩に身を委ねつつ

もうちょっとくっついてもいい? 俺たちの明日に世界のかたち見ていい?

いいことはあったかいって笑ってる黒猫ミルクに混ざって溶けた

天国の門のところで待っている忠義を尽くした猫が一匹

あげられるものはなにもないから君の手に委ねた喉のぬくもりだけを

俺たちさ、みかんのふさの一片のようによろしくやっていこうぜ

ふたりきりぐるぐる回る地球儀のハッピーエンドのなかで笑おう

そして君はたしかな声で言ったんだそうだってことちゃんとわかった

天辺におまえを置いた そのままで喉をごろごろ鳴らしていろよ

猫のいる町で降ります何度でもここが俺の帰る町です

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