外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 分岐ルート『静かな生活』

冷雨 午後からの予定に欠けているだれかの所在問うコール音

腐っている流しの梨を捨てられない優しいだけの人がいました

ばらばらに崩れてしまうベランダで光合成に多すぎる閃

神様になってください簡単な手続きだけで光が出ます

それじゃあな俺は寛解するけどさおまえも星に帰るといいよ

ここでまだアポロをふたつに割っていて あんたに空が落ちちゃう前に

てのひらが内腑いずみからのびてひらりと弱く沈んでいった

うどん屋のうどんの熱さが罰してる俺を今すぐ救ってくれよ

扁平な腹から再度生まれゆきただ銀色に光りたかった

ねえルート選択できてないみたい あんたが生きてる分岐がないよ

湿り気が澱としていま遅い来る蛙の自殺が止められないの

関節球体人形がばらばらに床に倒れて投げかける キス

ウィンドウ並べた隙間にさしいれる罪深い夜ブラックアウト

できるだけあんたの言葉を聞いておく有事の際に持ち出すために

全員が彼の傷つく顔色を忘れたような静かな生活

もう二度と解凍されない包装をラップの向こうにかさりと触れる

防腐され守られている君全て限りなき愛パウチしておく

死に方は君さえいれば忘れない明日も明日も明日も明日も

システムを愛するという観点であんたのいない世界を作る

あんたより早くに死ねる権利まだ買えてないから明日も、またね

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