教室で一番醜い子供に投げつけるための星は百円
テレビではみんな楽しく笑うのでいじめられっこはどこにもいない
じゅげむじゅげむ最後まで唱えられた子に傘を貸すからこわがらないで
別々のサンドイッチとあんぱんを分けあわず見る午後の校庭
あんぱんを買っている子にもう一個買っていいよと言えない雨だ
いい子から逃げ出したくて焼却炉 神様最近いいことあった?
じゅんばんに教室を見てまわるときさっきの部屋にだれかがいるよ
「むかつく」にたどり着くまで三段階ステップを踏む僕を笑うな
茹でたあと潰して砂糖をかけて煮て英雄譚の主役になって
許せない? どうだっていい? 怖い? 友達だったこと忘れたい?
今日は好き明日は知らない明後日は 光を空に帰してる道
教室の板目のひとつひとつからおまえをたすけてやりたかったよ
もう二度と手に入らない星屑をポケットに入れてもう忘れよう
特別なことはなにもない校庭でサンドイッチをはんぶんあげる
蝉が鳴く俺とおまえと両方は生き延びられない 目が痛い夏
嘘つきのあのひとのことくすくすと話すあの子のアイスの話
アイスバー半分に割り俺だけの夏への扉が開かれてゆく
育成をしましょう触って確かめることのできるきれいなものを
友達は校庭に投げた消しゴムのように小さく手を振っている