外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空 Ⅱ(就寝時間) 就寝時間が過ぎたあとでも

かみさまがやってきて名前を呼んだ そうしてわたしは死んでしまった

これはあか きみのいろだよ かみさまは いちばんさいしょに おしえてくれた

「殺し合いのゲーム会場へようこそ 女の子なの? 死に方わかる?」

王様を引きずりおろして殺すよりひどいかたちのわたしを見せる

ほんもののモンスターの血を幻視するためのカードを差し込んでくれ

なまなましいひとみをいまだ開いてる 就寝時間が過ぎたあとでも

空想の戦場を現実にする強固な憎悪をどうぞわたしに

何度だろうさよならをいうそのたびにわたしが満ちて一片の星

遠い星になったんだって噂話聞きたくないのに耳を澄ませる

風景が駆け抜けていく校庭で手を取り合って「一緒に行こう」

トゥーランドッド姫は求めてる 王子が再び蘇る日を

川を見た話をしてよ川岸のわたしは三分間戦った?

逃げないで 今ここにいる人魚だけつかまえていて 歌を聞いて

きらびきという名の紙によく似てるおまえの額に指を重ねる

いくつもの校庭いくにんものこども空をみつめてこれが戦場

えらびとることをかさねてヒーローにわたしをつくりあげてください

三分間だけはあなたを守るからあとの二十三時間は頼んだ

飛び降りるときに感じる痛みこそ君に教えてあげたいことだ

逃げないよ わたしのはんぶんきりとって光の川の底に沈めた

泣くのってすてきね全てが終わる日はわたしと一緒に深山へ行って

愛し合うことは自由な子供だけ戸棚の奥に光らせること

箱型の装置のように待っているからねわたしにやさしく触れて

生き延びておまえに葡萄を食べさせるために深山を駆け抜けてゆく

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