迷宮を腹に抱えてぽっかりとすごくおなかがすいた食卓
ざくざくに壊れた時計台みたいに見える豆腐のあたたかなこと
嘘だけはつかないままで交わされる誰の持ち物でもない小箱
愛すると誓ったために逃亡の手段をなくすわたしがひとり
迷宮を酒が流れてゆくときは言葉をなくして閉ざされた街
夜だからもうおやすみをしてもいいあなたはいつのまにかいなくて
いつの日かみんな死んだらそのあとで墓参りをして正直になる
ずるかっただけの眠りについたひと撫でてなだめて忘れてしまう
春になれば死んだ子供が死んだこと自体を忘れてしまうだろうし
魂が独自ルールを貫いている人格をさみしく呑もう