外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空 Ⅳ(百万年) 労働者

ドラゴンの工程管理のアルバイトまた三人も食べられました

ひまわりを抱いた子供の幻影が死ぬまで生きろなんて嘘をつく

おはなしはもう終わったから閉じちゃっていいのに明日のモンスターエナジー

当社製アイスクリームはドラゴンのブレスひとつで硬さが変わる

固まっていないアイスを啜っては床に投げ捨てバイトの夜更け

休憩の当番のやかん持ち上げて急いでみんな中に入って

ドラゴンは工業社会に不可欠です安全柵に登らないでね

土日祝キャバクラ嬢だと言いながらドラゴンの背にブラシをかける

あさ九時に帰宅したとき伯爵は二センチ浮いて怒ってました

嘘だけをつきつづけてよ金無垢の国で生まれた伯爵でしょう?

ぴかぴかを傍に置き眠るのはどうにも寂しく矛盾している

伯爵を車に乗せて海沿いをどこまでだってエクソダスする

ドラゴンを等間隔に並べたら仕上げに松屋とローソンで 街

ほんとうの歌をうたったあの人がもう逃げられないので絶望だ

ローソンで新発売のガリガリ君買えない理由が見つけられない

外国からきた人は珍しくないけどね伯爵 国へ帰りな

天井にちいさく空いてる穴をただ無心に待って夜明けの青だ

伯爵は呪文をひとつ囁いて「二度と眠るな」だなんてばかね

もう二度と眠らなくてもいいようにわたしのからだを金無垢にして

嘘つきの伯爵がドラゴンを刺すことのどこらに嘘があったの

海辺にはひとりで行くねドラゴンはたぶん絶対滅ぼせないよ

人類を死に向かわせるドラゴンを大事に育てる工業国家

伯爵のばらばら死体を抱き寄せてドラゴンだったらもとに戻せる

は・く・しゃ・く・は・う・そ・を・つ・く・た・め・う・ま・れ・た・の・で・す・か・ら・ど・う・ぞ・わ・ら・っ・て・い・て・ね

あさ九時に帰宅したとき伯爵はアイスクリームをせがんで鳴いた

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