迷子にはなれずにわたしとこれまでの街で続きを始める契り
夏の日の扇風機にはかき混ぜる能力がある最高湿度
麦茶、畳、薄くなった敷布団、蝉、背中を滑っていく汗のこと
食べ物のようにあなたの指潜る人体という密室に鍵
暴かれてゆく記憶にはない場所のぬかるみを踏むために生まれた
くうはくの恐怖に追いやる指がある、あなた、たぶん、全知全能
サンドウィッチふたりで食べたあの店であなたの指を見たことなどを
しんじつって具体的には何なのか実践したくて欲望の夜
その夜で全て終われよ我々は永遠を接続する獣である
はじまりが近づく夜のおしまいにあなたの指の血の味を知る