外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

架空

架空 Ⅰ(夜に笛)
夜に笛聞いたら二度と帰れない最終列車にみんなで乗った 箱庭のそとから手を振るあなたにも不思議なものが見えていたんだ 瞬きはシグナルである空割れてトモダチ トモダチ トモダチが来る りいんりいんウィンドウこそSUNでありぱ […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅱ(就寝時間) 千年虫
金属のてすりのにぶさにつかまってお兄ちゃんなら捨ててきました 泣く子供がいるべき世界はここじゃない 冷たい冷たい神様が来る ねえきみは僕の名前を知っている? 走っていったまっすぐな靴 うまい絵を描けない僕はみにくくてばら […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅱ(就寝時間) ウィスプ
ほころびた庭にひたひた寄せる海だあれもいないはないちもんめ いつか死ぬために生きてる僕たちのさいごの呪いの言葉をきいて 絶望を知らぬ子供にころされるみにくいけものにひかりがさした こうやって、わたしは、わたしを、くみたて […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅱ(就寝時間) 就寝時間が過ぎたあとでも
かみさまがやってきて名前を呼んだ そうしてわたしは死んでしまった これはあか きみのいろだよ かみさまは いちばんさいしょに おしえてくれた 「殺し合いのゲーム会場へようこそ 女の子なの? 死に方わかる?」 王様を引きず […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅱ(就寝時間) 英雄譚の主役になって
教室で一番醜い子供に投げつけるための星は百円 テレビではみんな楽しく笑うのでいじめられっこはどこにもいない じゅげむじゅげむ最後まで唱えられた子に傘を貸すからこわがらないで 別々のサンドイッチとあんぱんを分けあわず見る午 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅱ(就寝時間) 女王陛下の剣
わたくしはとても醜い人間でシャワーノズルを手で触れない 心臓を焼いてる途中で離籍するのは非道ですデザートに虹 くるぶしのテンパリングは完璧な人形たちが冷えている夜 えいえんに氷のなかで生きること=いまも死んでるってこと? […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 驟雨
驟雨だけ俺の心をわかっててそうしておまえのことも嫌いだ 笑い声どれもが俺の人格の不適合を照射している 同じ星だと信じるに足る要素提示できないまま またひとり ふたりきり世界を壊しに行こうって約束してたはずだったろう 街灯 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 分岐ルート『静かな生活』
冷雨 午後からの予定に欠けているだれかの所在問うコール音 腐っている流しの梨を捨てられない優しいだけの人がいました ばらばらに崩れてしまうベランダで光合成に多すぎる閃 神様になってください簡単な手続きだけで光が出ます そ […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 八月
八月の嘘だよあなただけ残し世界が終ってしまったなんて 八月にあの街を爆破するために地図をおぼえた兵隊の春 爆弾は街のうえから落とされてそのままずっとそこにあります 溶け方を知らなかったのいつまでも知らないままでいられたは […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 真夏の川で死んだ子供
「死は救い? 馬鹿だな話にならないよ、それじゃあここに判子押してね」 幾晩もホットミルクを飲むことで掬われているいつかの子供 人間のからだの端のむこうからざりざりやってくる冬がある ハッピーなおうちのなかで壊れてる瓶に入 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) サインを送る
宇宙船落下したその瞬間に階段を駆け下りて逃げてた 僕だけが地球を守る力だと戦う胸のランプが落ちる 友達が死んだよ 星の光さえ実存として見えているのに 宇宙からやってきたから帰るんだ、星の光でサインを送るよ カレーライスば […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 極点の鷹
愛ゆえに凝ってしまう鳥ありきおまえを守る極点の星 肯定の言葉は最後にとっておき胃で生まれたるナイフを抜いた 不確定事項だ友情なんてものぼろぼろぼろぼろ 血の味がする ことばにはならない感情ばかり増え ならない できない  […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) エバーアフター
わたしたちどうにもならない恋をしてバックアップは破壊しました いいえもうわたしに食べられる部分はひとつも残っていなくてごめん ひともじも間違えないで引き写しこれでわたしはあなたになれる 壁 白い壁 てのひらを押し当てて  […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 猫町
いつまでも覚えているねあのときにあなた笑って空を見たこと なにもない街の氷った三叉路で小さく鳴いたあなたを拾う 生きていていいよと許してくれました この牛乳がせかいいちです 誰よりもラッキーな日であるように明日も明日も明 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) 涼ちゃんはいい子
きいろには絶望がないそれこそが彼の心の不確実性 かんぺきな少年の出す問題は不可抗力でどれも解けない まじないを解いてはひらく男の子ではないですから戦いません 男の子だったらもっと傷ついたじゃんけんいつでも負けでおしまい […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅲ(ふたりきり楽園に) ふたりきり楽園に
I like you.あなたとは殺しあうつもりはないですそぞろの闇夜 ふたりきり楽園に行くジャングルはどんな町でも公園にある クエスチョン・マークそのまま抱きとめてぶらんこに身を委ねていたの あかるさがとぼしいあなたのほ […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) ドアに鍵
神様になれと言われた。なりました。よるでもしらじらひかるまちです。 迷子にもなってみたいな待合の真白い壁に凭れかかれば 迷子にはなれぬ真白い顔の子が廃墟の俺を睨みすえたり まなざしに幼い顔が覗く時いつでも真白い恋をしてい […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) インスタント・マグカップ・チョコレートケーキ
カロリーメイトチョコ味食べ生き延びるいつもの平日おまえにやるよ こんなにも甘口にしたカレールーおまえは全部俺のものだろ おまえだけだよパトラッシュ粉雪が嵐にかわるときに眠ろう 「スイパラで食ったみたいな味だよね、俺あれば […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) 労働者
ドラゴンの工程管理のアルバイトまた三人も食べられました ひまわりを抱いた子供の幻影が死ぬまで生きろなんて嘘をつく おはなしはもう終わったから閉じちゃっていいのに明日のモンスターエナジー 当社製アイスクリームはドラゴンのブ […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) デッド・リミット
灯を灯す 楽園の夢のノイズから水蜘蛛を産む男の話 僕たちの幼年時代の終焉を告げられた夜電話は死んだ しあわせな夢を見ていた僕たちがテレヴィジョンへと消えてゆく夢 かちかちと人工知能は瞬いてうるさい! うるさい! 死んでし […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) 滅びる種
僕たちは悪い夢のただなかで明日の供物を拾い集めた 正義とは人を殺すということだそれでもごはんを君と食べよう はらからよつよきおまえの跳んだ日の殺人機械を今日受け入れる 裏切って僕らの永らえ続けるをおまえはきっと呪うのだろ […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) 百万年
こんにちは今夜の煮物さしあげる来ない人なら死んだ人だわ クレセントムーン片手に飲んでいるつまさきに猫声なき声で 大好きな子猫の声を聴いている午前三時に呪われている 「けいこうとう、かえないと、もう、あしたには、世界がおわ […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) 朽ちてゆく朝
「はぐきからちがでた」「おれをかんだから?」「おまえばかだな」「そうか、よかった」 真夏には食欲がなく買い置きの砂糖でできた子供を捨てた 体じゅう満ち足りているつま先を壊して光のシャワーをくれよ つま先を齧りつくした夕映 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅳ(百万年) ワールドエンド
ぼくたちが並行していたあの日さえ世界のすべては不足であった 本屋がない町で西方浄土から流れる音楽を聴いている がしゃぽんの空容器ひとつ仕舞われて世界の果てでまた会いましょう 移動図書バスを見送りさくらちるおやすみ、世界、 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅴ(架空の少女を殺害する話 あるいは宮本恭介について)
磨かれた鉄釘の銀ならびおり各々尖りて武器を構えつ ベルトさえあれば無敵だ今もまだ俺は全然変わっちゃいない 論述式試験の海のただなかでおもてをあげよ 空があかるい 蝙蝠は恬淡とまだ羽ばたいて春はこの世を捨ててしまった 街灯 […](更新日:2014月8月15日)
架空 Ⅵ(裏庭)
漂流のあとで拾ったおさなごの名前のための最初の仕事 魔女笑うバスの窓から目をそらしわたしは魔女で空を飛びます 蒙昧な妹のふり続けたらわたしはいつか海辺の迷子 まっしろ で あるかぎり救われているアスファルトには白いライン […](更新日:2014月8月15日)

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