明日から俺幽霊になることにするって兄が言った競馬場
逃げ場のない人生だった素晴らしい猫たちの群れもうさようなら
「存在をしないと言える?」「言えないね」1-1≠無
縦型の巨大装置の真上にはだれにもなれないあなたがひとり
「妖怪に返事をするな」梨の味かみしめている帰れない旅
熱された油の通うダクトのない体をひとつもてあましてる
電車には眠った子供と眠らない子供が見ている生きた鉱石
どこまでもまぶしいまぶしい旅でした送り火を焼く皿の青白
兄さんが死んだと知らぬあのままの猫たちと僕とさびしい地球
星たちが無関係です無理もない無惨な無謬のあじさいだった
梨が出てた、と言っておまえはいつか食卓の何でもない日に並べるだろう
ばらばらの星だ画竜点睛を無限に続ける終わらぬ夏よ
兄さんが死んでないって信じてる無邪気な信者のVR
世界には正解なんてないのだからどの層を主軸に置くとして卑怯(ではない)
VR 空間における人生を時折思う 殺されている
ただいまと言う時彼らがもういない部屋でおまえにさよならと言う