外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

実在 Ⅳ バラ色の日々 『天国旅行』

それだけの話でしかない煙を嗅いでいる男ふたりの枠で

剥がれないシーツの永久がない国の王とおまえは笑って呼んだ

戦いの日々だ装填したままの意思に長いお別れがあっても

絶望が甘いってこと地獄には愛しかないこと 名推理

言いがかりではない! 比喩として肉を焼くとき笑うんじゃない!

悪役を演じ続ける悪人を愛することの悪のさなかで

セックスをするため必要なもののなかで一番大事なものに呼ばれた

巣篭もりをしたいしたいと囁いて笑った人をゆっくり撫でる

わけばかりあるので大安吉日に俺を殺害するおまえの手

恋愛小説のようだねテーブルで酒を飲んでは頭を掻いて

永遠にこのまま消耗品としてあんたに携行される人生

だってこれは永遠だって続くってことなんだって 数を数えて

地獄から地獄へなんど動いてもどうせ地獄であんたとオレだ

煮えてゆく時間を見つめるだけの旅を続けているだけだった

いちご味キスを探してコンビニでやさしくしてるオレのヒーロー

意味なんてないんですよね愛情を見ないふりして目をそらされて

口づけを交わす予定もありはしないのに嫉妬して俺のもんだよ

結局はただの肉塊でしかないひとつのものになればよかった

ありがとう 誰が諏訪洸太郎を殺したか俺は全部をちゃんと知ってる

おとうふをたまごでとじてふわふわに仕上げてあなたに愛を捧げる

にやにやと笑いやがってあんたとは他人で生まれてこれて結構

バラ色の日々よ俺のおまえのいる日々よ絶望すらも見つめていてよ

なにひとつわかってないって顔をして継続だけを契約して 恋

「桜には攫われないといいねって言うのはやばいのでは? おだいじに」

それからは全部がイミテーションだった たぶん あんたはここにはいない

何もかも比喩であるという意味で妖精物語について話した

あるいはもう失われている王国でそれでも生きる男がふたり

蓄積をレコードしているだけの箱 世界の話 箱のある街

「かみさまはいるよ」意地悪な子供が笑いながらそれでもはっきりそう言っている

「行こう」「どこへ?」「地獄かな」「行ってらっしゃい」「一緒に来い」「はい」

それだけの話でしかない一年を過ごしてくれてありがとう、好き

ねえ隊長、どこまでも続く天国旅行にはあんたなしでは出かけられない

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