外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

実在 Ⅲ BADEND 『ゆういちくんのおよめさん』

振り返ってそこにおまえがいることと明日はきっといなくなること

誰ひとり誰かを救ってやれなくてただ単に雨 血の味の雨

きちがいを見つけてしまう まるのままかわりに生まれたみたいに似てる

いままさにおまえを殺してしまおうと思って幸せだから良かった

壊れてる玩具をそれでも拾い上げキスは我慢と繰り返してた

逆に言おう。人間として生きてゆくことの何に価値があるんだ?

間に合ってしまう予言で満ち足りた寒天状の世界を憎む

アイラブユー、アイラブユーって誤魔化して感情論より言葉が大事

殴り合いのゲームばかりをしていてもいいって愛を教えてあげる

地獄からハッピーエンドの声がする ここに住もうとはしゃいで言った

もう忘れてもいいんだよいつの日か俺が人間だったことなど

神として生まれ落ちたるわけもないあなたが負けたらとてもかなしい

子供からばらばらになる世界です あと三分を生き延びましょう

世界ならファーストシーズンからずっとあなたを殺すだけだったでしょう?

べつべつに生まれて育って生きてゆくはずだったのにかわいそうだね

ヒーローを隣に置いてもう二度と離れられない戦線がある

ぎりぎりのところであなたが気づかないサインを送り続けておくね

もう好きにならないために買ってきた抗アレルギー剤ひとつぶ光る

ワントゥーワンで生きる世界を受け入れる ぼくらのほうが歪むとしても

人生の無為を示した射的から救いがひとつも見出されない

輝きに満ちた言葉を告げるとき俺の名前と気づかなかった

世界には幸福状の物質があふれる海があるって話

ゾーニングされた真空パックにはおまえを入れてそこにいてくれ

正しさが俺を抱くとき死滅する未来が見える たくさん見える

くらげたちに気をつけてね世界にはぐにゃぐにゃになるポイントがある

べつべつのからだに各々たましいがとりのこされて向き合っている

めまいから逃れられない日曜にLINEであなたに既読を送る

ひとびとは敵ではないということを知りたいだけの旅をはじめる

許されてまた生きてゆくコンビニでおまえと分けるいのちを買った

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