集まっているみたいだが正体は不明の単にきれいな十分な嘘
澱さらうスープストックの表面の夜風のようなはりつめた膜
この街はもしや天国ではないかなどと誤謬をあえて留め置く
まず水の飛沫を拾い集めたら糸を通したあとすぐ捨てて
あなたにすらわからぬ声と知りながら轟音越しにKISS,と言った
いやだいやだ間違いのない王国が存在している世界の汚辱
彼の名を呼んでるような蝉たちが落ちていく日の落日閉ざす
あおじろい顔をしている蜜蜂がぶんぶん唸る原罪の夜
どんなにか始まるだろうあなたさえいない生ならとうに終わって
ゆるしのないさらばを生きて生きながら罪を刻んだ熱の眠りを
わたくしをなくした街で見つからない名前を埋めたたくさんの嘘