外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

Ⅳ 神様に生まれた罪『KISS』

集まっているみたいだが正体は不明の単にきれいな十分な嘘

澱さらうスープストックの表面の夜風のようなはりつめた膜

この街はもしや天国ではないかなどと誤謬をあえて留め置く

まず水の飛沫を拾い集めたら糸を通したあとすぐ捨てて

あなたにすらわからぬ声と知りながら轟音越しにKISS,と言った

いやだいやだ間違いのない王国が存在している世界の汚辱

彼の名を呼んでるような蝉たちが落ちていく日の落日閉ざす

あおじろい顔をしている蜜蜂がぶんぶん唸る原罪の夜

どんなにか始まるだろうあなたさえいない生ならとうに終わって

ゆるしのないさらばを生きて生きながら罪を刻んだ熱の眠りを

わたくしをなくした街で見つからない名前を埋めたたくさんの嘘

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