もつなべを食べに行こうと言いました。夏の夏の夏の日でした。
みぎ ひだり 手のひらを出して問いかける「違いはそろそろ理解できたの?」
さらば敵よ愛よ希望よ大切な蝉の抜け殻たちの聖地よ
「恋愛は終わったつもりか」「そもそもが始まってねえよ」「よかったねえ」
夢にまで見てたっぽいんだウケるけど、あいつの、香水瓶の、成分
どろどろと固まりつつある冷蔵のさなかでゆっくり終わりと知った
「それじゃおまえ、終わるかどうかはまだ全然わかんないじゃん? かわいそう」
ビールではないもの二缶飲み干したあとの結論「蝶は死んだよ」
体臭を知らないままでなにひとつ始まらないまま閉ざされた部屋
髪の毛のかわりにギターの弦ひとまき青い袋をぐしゃぐしゃにして
焦がれているときのわたしを置き去りに死んでる蝶のために転んだ
「歩行者は安全だから加害者の意識を持って行動してね」
蝶だった頃に覚えた香りだけ探してドラックストアで零時
肝機能鍛えたら忘れられますかね? 酒は飲めない 悪いんだけど
いつのまにか神様のいない王国で階段をかけおりていく 自殺
「忘れないでね!」「歩行者は加害者ですよ!」突風
どうせぼくは家に帰って牛乳でにんにく臭を消すんでしょうよ
「もつ鍋を食べに行ってよ!」叩き割った香水瓶に溺れて道路
車はさかわいそうだね歩行者に絶対勝てない そうなんでしょう?