唐突に空の色から逃れられぬ閉じ込められた王国を知る
「いくら?」「二千円」「おまえを兄と思ったことはない」「じゃあ何?」保護対象。
灯油缶ひとつぶらさげ夕焼けを見ている俺はここにはいない
罪人として生きてきた証明としてのヒールが羽虫を踏んだ
透明になれたら家庭の全体にゆきわたる水になれるは ず ばしゃん
燃えたぎる血潮と同じ味をした灯油を飲んでいる 自殺
美しい家畜と呼ばれてにこにこと笑って肉を食わせてやりたかったな
神様が遺したきれいな子供には似てはいないね 胸もとの声
透明な水になれたらいつの日か曇天のあとまた、会おう
あの秋に俺の涙を受け止めた小さな指をしめす月光