「うわほんとめっちゃ近くにあるんだねこんなちまちました町なのに」
医者学者政治家などをはきだした高校のある母のふるさと
母親の地元の町の高校に三十点差をつけられた夏
冒険をしたかったのねあの橋の欄干の上を歩いたあなた
「海の匂い」わたしのよこで得意げな顔をしているちいちゃんに言う
この道をずっと歩いていったなら唐突にある戦争の跡
ちいちゃんとおねえちゃんとが歩いてた道を振り返らずに進んだ
ココイチとイオンと100円均一と思い出せない元ーー家
「住民票の写し等も要りますか」ただしいところにまるをつけます
母が出て行った役所で座ってるぐるぐるまわるおさなごがいる
ちいちゃんが駆け回ってた町に住むための二万二千円を見た
戦争と海の匂いと古い木とちいちゃんの町とともに生きよう