隣人を吊るせ吊るせばオレンジの叩き伏せられつつある夕日
サンデイのアフタヌーンになめらかなハニーミルクをぜんぶこぼした
たんぽぽのわたげとなった朝のこと不穏なあなたとわたしの別れ
誕生日、兄はわたしに電飾をわたして孤独になれとささやく
電飾で首を吊るのは難しい みんながあなたのほうを見ている
ゆっくりと沈むましろのイタリアのきれいな車のなかを知らない
まっすぐでありつづけている困難がいつしかあなたを剥がして終わり
おしまいの日の不可逆を老人がたからかかたりつづける花壇
この町が死んでいるってわかっても地盤沈下は遠くの話
すぐそこの陸橋、そう、それ、ひとのしぬ観光名所を指差している
わたくしがとびおりたのちうたかたが元気な娘だったと残り
うたかたよたんぽぽたちよ死の町よとってもたのしい夜道でしたね
ひまわりよ大いなる日を望むときおまえは飛躍を望まぬ呪い
みんなしぬ 騒々しさがつきまとう集団寝所で天井を見た
がらがらの音楽性を確認し自分を寝かしつけるためのうた
目に留まるすべてを壊す方法としてのまぶたを青色に塗る
この国のすべての人の脳内に轟音を置く愛を捧げる
間違った形に開いた唇をこじあけるため鉄ペンを買う
鉄ペンが乾き始める悲痛さで書かれないまま封蝋を焼く