ざりざりとひたすら落とすにんにくの強い匂いに満ちた夕暮れ ぐったりとしている庭で一日を水に浸してただ過ごしてる 溶けていく殻を剥いては落としてる紺色の夜に混じっていった 海辺には行けないままで食べているまだ柔らかい皮で包んで 綺麗だねひだがたくさんある肉の一番奥の赤いところは 水のない場所でぱりぱりになるまで焼いた気持ちを口に運んだ 指先が粉っぽいからしばらくのあいだ舐めてはおしまいになる 常温に放置している塩昆布まみれの板をぼんやり見てる 同じように並んでいればそのあとに成長できる機会があって あたためた日常をまだ待っている材料としてまた夜が来る
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フォロワーが餃子を作っていた作業通話にはいり、今日の短歌のネタが特にないという話をしたところ、じゃあ、餃子で……ということになり詠んだものです。今日は本当に本当に何にもしなかった。そういう日もある。