外マドレーヌ─哉村哉子いろいろ置き場

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ある晴れた日に

ある晴れた空に釣り針突き刺して向こう側まであなたを呼ぼう
立葵するりとのびて背丈だけあなたに似てきた細い首すじ
島にある墓をいくつか巡るため借りるレンタカーの白色
猫たちが一斉に散る室内は冷たい風が満ちてるだろう
おかえりを言われる前に来たよって端的に告ぐ帰宅ではなく
強情な人だと言った少女ひとり麦わら帽子をついと差し出す
助手席の子供がつまみあげている私の薬指の空白が
魚には生まれられずにあの夏をなかったことにしている家族
「大人にはいずれなるから母さんのかわりにしてよ」に気づかないふり
空からは唐突に降る縦線の雨に貫かれて留められる

Twitterには男同士のエピソードとして投げたんですけど、女同士の方が良かったきがしたので、こっちは女同士にしました。

田舎が島にあるので、夏というと島で墓参りという個人的な思い出があります。

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