友人が、キーホルダーを鞄からぶら下げていた。骨の形をしている。布を縫って綿を詰めた、いわゆるぬいぐるみである。骨の、ぬいぐるみの、キーホルダー。
見ていると気づいたのか、友人は鞄に手を伸ばし、キーホルダーを持ち上げて、言った。
「これ、わたしの骨」
「へえ」どう答えるのが正解なのかわからず、相槌だけ打った。友人は朗らかに続ける。
「足の骨を折ったときに、レントゲンをとって。そのときの写真を元に、ぬいぐるみ作家さんに頼んだの。ネットで探して。そんなに高くなかった。でもよくできてて嬉しい」
「なんで?」
「自分の内側を、覚えておくためだよ」友人は笑ってそう言い、そこで目的地に着いたので、話は打ち切られた。
時々思い出す。自分の内側を覚えておく方法について。自分で実行するなら、どんな方法がいいだろう。骨ではない、気がする。ハート型、と陳腐な連想をする。自分の内側ってこうなっているんだと、わたしはまだ、実感したことがないのかもしれない。形にする、ぬいぐるみ作家に依頼する、具体性が持てない。
内側に骨がある。そう確信して形にした、友人のことが、かなり、ずっと、羨ましい。骨。具体的になりたい。もっと。
