ファンタジー歯医者

ベランダで育てていた春菊を、肉うどんにいれて食べた。縁があってこういう野菜の苗のポットが定期的に発生する。

ベランダ菜園で育てると野趣が出すぎて香りが強く立ちがちの印象があるが、春菊の香りなんて強ければ強いほどいいので、美味しく食べられた。

春菊はよかったのでまた育てたいかもな~。強くて育てやすかったし。この「縁あって手に入る野菜ポット」以外に、野菜ポットを手に入れるすべが、この町にあるのかどうかわからないのだが……。


親知らずがぼんやり頭を出したままの位置で止まって長い。歯医者に、「抜くかどうかずっと迷っていたのだが、いったん詰め物をして高さを合わせる方向で行こうと思う。抜かないでいいならそれにこしたことないので……」的なことを言われ、詰めてもらう。

しかし、歯医者がどんなトリッキーなことを言ったとしても、イヤですとは言えないと思うのである。自分の歯がどういう状態であるべきなのか、細かいところは分からないからだ。その「まあ、ハイって言えばいいんだよな」という選択の余地のなさ、行って座っていれば終わるところを含め、歯医者は結構好きだ。


去年からようやくいきつけの歯医者ができて通い続けられているのでほっとしている。

引っ越してからすぐ通い始めた歯医者はとてもよかったが医師がおじいちゃんで、1年も経たずに閉めた。それからずっと迷子になっていた。

ちょっと前に通っていた歯医者は、腕はよかったと思うのだが、すごく……特殊だった。居酒屋風の、しかもかなりはっきりしたコンセプトのある居酒屋風の歯医者だったのだ。詳細は伏せるので、仮にこれをファンタジー歯医者と呼ぼう。

ファンタジー歯医者は、皆いわゆる歯科医師歯科衛生士風の服ではなく、ファンタジックな服を着ていた。BGMもすごく神秘的だった。相当荘厳な雰囲気でおちつかないのみならず、えせ科学のポスターがとてもたくさん貼ってあった。

歯医者は通い始めるとしばらく通いたいし、対応してくれる人ひとりひとりは普通だったので一年くらい行っていたのだが、急に耐えられなくなって、行くのをやめた。雰囲気って大事だ。

それからあとずっとどこに行くか決まらなくて困っていた。ファンタジー歯医者の呪いで歯医者選びに失敗するようになった人生。

今の歯医者は、黒っぽいいかにも歯科医歯科衛生士っぽい服を着ていらっしゃるし、BGMはごく普通の多分FMとかの音楽紹介ラジオ番組だし、流れているビデオでは歯石や虫歯の仕組みを説明しているし、ポスターは「二次カリエスに注意!」とかだし、申し分ない。歯医者らしい歯医者で落ち着く。助かる。呪いから逃れた。

よそとは違うことをやって遊びを出したいという欲は、自分もものをつくっていてかなりあるので、わからなくはないが、落ち着いた雰囲気を作るって大事だよな。


先週末から具合が悪くてできないことが色々あったのと、休んだんだか休んでないんだかわからない日々を過ごしているせいで、どうも落ち着かなかったが、ようやくちょっと出かけたり部屋掃除や軽い自炊など、休みの日にしてほしいことに着手できた。

休みの日のタスクをこなしておいてほしいというより、休みの日を作って仕事のことを一切考えないようにしないと、仕事が嫌いになる可能性を恐れている。


編み物が楽しすぎてどんどんやっている。手がうずうずして編みたくてたまらない状態が続いていて、夜のおしゃべりを解散させてからもひとりで1時間くらい編み進めた。

編み物をしている最中って思考が捗るというか整うので、頭の中はがんがんに仕事だったりするが、この日はあんまり色々考えずただ編んでいられて、本当は考えないために編んでいるのかもな、とも思う。

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