はじめに
2025年ははじめてウェアを編んだ年だった。編み物を始めてからおよそ35年くらい経って急にウェアを始めた。
このHPは編み物の話をする場所では本来ないので解説しておくと、ようするに服やその他具体的に身につける実用品を編むようになった。
それなりにいろいろ編んだので、備忘録をつけておく。
ウェアを編むに至った経緯
そもそもなぜ編み物でベストやセーターを編もうと思ったのか、そのきっかけだが、2024年夏から2025年春にかけて、アニメ『オッドタクシー』と、その続編の漫画にすごくハマっていた。
万事感情が大きい質である。何かにハマっている間、つねに、激しい感情を持て余している。朦朧とするほど大きい感情を持て余した結果、ピンク色の毛糸を20玉と、『増補改訂版 セーターの編み方ハンドブック』を買った。
「愛」を編んで着なくてはならないと思ったため。
で、編んだのがこのベスト。

急にこれを編み、ウェアに目ざめたのだった。
これまでのこと
編み物はそもそも祖母から習った。何歳だったか忘れたが5歳から8歳の間のどこかだと思う。母も姉も叔母も編み物をしていたので、編み物を学ぶのは自然な流れだったが、服というか、身につけるものを作ることにあまり興味がなかった。
編み物の技法は好きだし編み上がったものも好きだったが、暑がりで、マフラーも手袋も使わなかったし、セーターもあんまり好きではなかった。30代になってようやくマフラーをまともに使い始めたくらいだったので、編んだものを身につけることに全然興味がなかった。
あわせて、体型が一般的ではないので、本の通りに編んでも全然体に合わない、と思われるのだ。というか、「服が体に合って心地よい」と思ったことがない。いつも無理矢理着ている。そういう感じだと、服を手に入れるのは面倒臭くて苦痛を伴う行為で、あまりポジティブな印象は持てない。
つまり、ウェアを編もうと思ったら本の通りに編んでも大抵多分着られず、自分の方で独自に調整したりやることが多いのである。まあ、面倒臭い。というか今でも面倒臭いには違いない。歳を取って面倒臭いということ自体に耐えられるようになってきたと思うが。
というわけで全然、ウェアどころか実用的なものはほとんど編んでいなかった。人生のうちで一番完成させた編み物はあみぐるみで、次点は鞄とか袋、ここ10年は数年おきにマフラーやスヌードを新調する程度だった。
ベストやセーターを編んだら着るかも、と思うようになったのは、歳を取って、若い頃よりは暑がりであなくなったから、というのもあると思う。
そんなわけでわたしは不真面目ニッターとしてチャラチャラと、好きな模様のスワッチだけ編んで特に何も完成させずに放置、とか、人の推しキャラを急に編んでプレゼントして手元になくてスッキリ、とか、編み上がって満足したのでおもむろに全部ほどいて編むところだけ楽しむ、みたいな感じで長らくやってきたので、編めるっちゃ編めるのだが、段数をまじめに数えたり、目の増減をまじめにやったり、そういうのはほぼやったことがなかった。編み図も読めるっちゃ読めるのだがそもそも編み図通りに編んだこと自体ろくすっぽなかった。
「大体のことは知っていて、手も均一に動かせて、やりたいことは大抵できるが、特にやりたいことはない人」だったわけである。
そんな感じだったのだが、10年来の友人が、ここ数年猛烈に編み物をしていて、ウェアを編みまくっていた。SNSでその様子を見ているうちに、なんとなく興味が出てきた、というのも、理由のひとつだ。友人には、編みまくってくれてありがとう、と思う。人がやりまくっていることって楽しそうだから。
ピンクのアランニットベスト

ウェア1枚目。
前述の通り、「愛」を着たいな……と思って編んだ。
形は『セーターの編み方ハンドブック』掲載の「Vネックベスト」(適当に調整したところもあり)、模様は自由にやった。袖も襟もの減らし目をする自信がなかったので、袖がまっすぐのデザインを選んだ。
アランニットを編むのにハマっていたことがあり、技法としては一番好きである。「愛、富、人生」をテーマに模様を組み立てた。総柄。がんばっている。
脇をゆるく作りすぎてあとから誤魔化したところがあるし、襟と模様がズレているし、襟のゴム編み止めもうまくいっていないところがあるのだが、それでもこのベストはとても気に入っているし似合うのでよく着ている。
手芸屋「ドリーム」のオリジナル糸「ウォッシャブル純毛合太」で編んだ。この糸は割れやすくてだるいところもあるが、とにかく軽くていい。サッとふんわり着られてよい。
編み込み模様のドードーベスト

2着目。
『オッドタクシー』に登場するドードーを柄として編み込んだセーターなので、これは二次創作セーター。写真の上では、ドードーの背に、わたしの推しキャラのフェルトブローチがくっついている(これも作った)。
ピンクのベストと形は大体一緒で、襟だけ丸くした。
深夜にどうしても編みたくなって、家にあったいろんな毛糸で場当たり的に編んだので、何を使ったのか不明。リブの分だけ買い足した。ダルマの「GEEK」。
これも今見ると反省が多いし、無計画に編み込みをやったので裏がグチャグチャなのだが、楽しく作れて良かった。同人誌即売会に着ていって、いろんな方に褒めて頂いた。
黄緑色のアランセーター

3着目。
そろそろセーターにも挑戦してみるか……と思った。
ダルマ「GEEK」の編み心地にハマり、もっと編みたくなって追加でたくさん買い足した。前述の通りこれまで編めたら良く、何の糸でも良かったため、こんないい糸をまとめて買ったのは生まれてはじめてだった。気合いを入れて模様を組み立てた。
『セーターの編み方ハンドブック』の「基本のアランセーター」を参考にしつつ、あちこち変えたり、一生懸命計算したりして肩を編んだはずだが、何を計算してどうして合ったのかもう全然覚えていない。
袖の2枚目を編んでいる最中に夏が来て触る気になれなくなり止まっていたが、寒くなってから無事完成。
ビギナーズラックにすぎないと思うが体型と希望にぴったりのものが編めて、とくに肩周りはだぶつかずぴたぴたすぎずに編めた。すごく着心地が良く、気持ちよくなり、ここで本格的にウェアにハマった感がある。
『amuhibi KNIT BOOK』より「RED CARDIGAN」(途中)

4着目。まだ途中なのだが、編んでたものということで置いておく。
RED CARDIGANという名前なのに全然青い糸で編んでいて申し訳ない気もするが、このカーディガンは丸くなったガーターの裾デザインが可愛い。丈や袖周りは体型に合わせて調整している。
GEEKがまだ編みたくて、もしかしてメリヤスで編んだ方が糸が映えていいだろうかと思い編んでみたもの。本体は編めたが仕上げ分の糸がぎりぎり足りなくなり、糸を買い足しているうちに年を越した。
こういうさらっとした羽織り物のほうが全然普段から着るような気がするよな……と思うが、セーターを編むのがとにかく面白く、今後進む先に迷っている。
魚類の進化セーター(途中)

5着目。これも途中というか、12月28日に編み始めた。
12月にamuhibiさんの実店舗に行く機会があり、そこで買った「Manchelopi」というロピヤーンで何を編もうか色々考えた結果、やっぱりアイスランドロピセーターを……と思って……思ったはずが編み込みで遊びすぎた。あと、急にトップダウン。
何かに準拠して編んでいるわけではなく、あらゆる丸ヨークの編み図を参照できる限り参照して、多分こんな感じ……と思い、探り探り編んでいる。あからさまな失敗も、悪くないけどこうじゃなかったな……もあるのだが、手探りで編むのも面白い。というかわたしのニッターとしての人生はずっと手探りでずっと場当たり的だったので、やっと自分らしく振る舞っている感じがして、それはそれで、いい気持ちである。
ニットキャップいろいろ
合間にニットキャップも編んでいた。ニットキャップって若い頃は本当に似合わなかったのだが、最近妙に似合うようになった。似合うなら、じゃあ、そんなの、じゃんじゃん編むよ。すぐできるんだから。
しかしニットキャップの世界も奥が深い。ぼちぼちがんばりたい。
IKEAのクマがモデルをやっています。

くげなつみ『わたしのえりまき』から。頭のサイズに合わせていたら作品意図とは違う仕上がりになってしまい、あんまりうまくいかなかったが、とてもあたたかいので風の強い日に重宝。

なんとなく適当にやったアランニットキャップ。お友達がニットキャップ欲しいと言ってくださったので性格のイメージに合わせて編んだもの。「突撃、勝利、財宝」って感じ。

アランニットのボンネット。『amuhibi KNIT BOOK』にボンネットが載っていて可愛くて編み始めたのだが、いろいろやっているうちにほぼ別物になってしまった。
大変似合うのでよく被っている。ちょっと小さすぎたので、リベンジしたい。
写真に撮るほどの段階ではないのだけど、旅行中4つ目のニットキャップを編んでいて、今魚類の進化セーターにかかりっきりなので放置されているが、編んだら終わるようなものなのでサッと編みたい。
あと、編みかけといえば実は、2着目と3着目の間にかぎ針編みのジャケットを編みかけていたのだが、かぎ針編みで大きいものを編んでいると高速で糸がなくなる。という、事実に、怯えてしまい、止まっているのでこれは解くと思う。相当軽い糸で編まないと重いと思うし……。
終わりに
服を編むことで、自分の身体について自覚的になって、それがよかったなと思う。あと、「普通の人の普通の生活」に感情があるので、特に伝統ニットについて読んでいると急に歴史が接続する感じがして、それが心地よい。
服に興味がない人生だったが、持てて良かった。2026年も色々編もうと思います。

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