詩歌

外マドレーヌ(旧サイト)から移転が間に合っておりません。ぼちぼちやります。

  • 顔は見えなかった

    ひんやりと触れる光に似た声で兄がわたしにさよならを言う

  • 次は海

    あ、海、と気づいた瞬間の青が一番青く思える車窓

  • 脱走の夜

    月のない夜にみずから光るって決められたからひとりであった

  • 墓荒らし

    明日朝答えが欲しいと言っていたはずの朝から四十九日忌

  • 透明じゃない

    内側に広がっている迷宮はやわらかいのか望まぬままに

  • ノット・オフィス

    自由自在にはなれないがカーディガンの穴のひとつにリボンを結ぶ

  • 輪廻まだ?

    通風口ごしにつたえた約束が愛情だなんて思い込んでる

  • 裏庭

    「魔女なんて実在しない」だから何? 僕だって色鉛筆の黒でしかない

  • 架空の少女を殺害する話 あるいは宮本恭介について

    ミキ だれも 友達なんか いない から 地獄を裸足で歩くの平気

  • ワールドエンド

    あかねさすファイアウォールのかなたまで腐肉を拾いに行かねばならぬ

  • 朽ちてゆく朝

    朽ちてゆく朝おまえに焼くパンの焼き目がきれいで戸惑っている

  • 百万年

    ラーメンを食べに行こうよ約束を取りつけたなら自殺はやめだ

  • 滅びる種

    僕はただおまえが咲いたこの星で死ぬまで生きていたいだけだよ

  • デッド・リミット

    なにもかも忘れてしまえ祝福のない世界でのできごとなんて

  • 労働者

    ドラゴンは工業社会に不可欠です安全柵に登らないでね

  • インスタント・マグカップ・チョコレートケーキ

    致命的世迷い事はここにあり零距離射撃で止めどなく撃て

  • ドアに鍵

    神様になれと言われた。なりました。よるでもしらじらひかるまちです。

  • ふたりきり楽園に

    ノンホモジナイズドしよう恋愛と呼ばないくらいささやかな熱

  • 猫町

    終わらない日常という呪文さえ唱えていれば死なぬと思う

  • 涼ちゃんはいい子

    おねえちゃん先に生まれてあんたの分世界をきれいにしておくからね

  • エバーアフター

    あなたさえ汚しつくしてしまえたらわたしの夏は完璧だった

  • 極点の鷹

    俺たちは永遠に生きるのだ。人間はかたちなきものを信じる。

  • サインを送る

    寝ていいよ起きたらそこにいていいよ明日になったらオムレツにして

  • 真夏の川で死んだ子供

    ぼくたちは流れてくだろういっしんにまわる木の葉は沈みもせずに

  • 八月

    八月の嘘だよあなただけ残し世界が終ってしまったなんて

  • 分岐ルート『静かな生活』

    ねえルート選択できてないみたい あんたが生きてる分岐がないよ

  • 驟雨

    あのころに差し出されてた手のひらを俺はどうして食べなかったろう

  • 女王陛下の剣

    木々の群れ空から撫でた神様がそうだここに国を作ろう

  • 英雄譚の主役になって

    茹でたあと潰して砂糖をかけて煮て英雄譚の主役になって

  • 就寝時間が過ぎたあとでも

    何度だろうさよならをいうそのたびにわたしが満ちて一片の星

  • ウィスプ

    ゆめのなかできみにあうとき海辺でもくるしいほどにあたたかな腕

  • 千年虫

    わたしはね、ヒーローショーには行かないよ、月曜日には帰ってきてね

  • 夜に笛

    夜に笛聞いたら二度と帰れない最終列車にみんなで乗った